41/83
【一時間歩き続けても誰とも擦れ違わない】みたいなそんな世界で
ここはどこだ?
ここは本当に地球か?
ここは本当に、今まで生きてきた、あの地球と同じ場所なのか?
知ってる民家が並んでいる。
知ってる庭の木たちが揺れている。
知ってる空と知ってる雲が流れている。
ただ、誰もいない。
誰もいないから、人工的な音はない。
風が織り成す音だけが、虚しく通りすぎてゆく。
深夜なら、それでいい。
深夜なら、人がいなくても、何にも気にならない。
ただ、今は真っ昼間だ。
真っ昼間に、人がいないとなると、人類が滅びてしまったのかと、考えてしまう。
自分一人だけ、ここに生き残ったというのなら、僕の命もここまでだ。
頼りに頼りまくって生きてきた、そんな人生だったから。
頼れなくなったら、そこで終わる。
破壊されている箇所は、この街には、ひとつもないのに。
なのに、静かに壊れていった街として、この景色を見ていた。
スマホを取り出して、友達に電話をかける。
しかし、呼び出し音という電子音が鳴るだけ。
規則的な音、人工的な音、それを久し振りに聞いた気がする。
一時間ほど歩き続けたが、誰ともすれ違うことはなかった。
ずっと人間関係に、悩んでいた。
たまに、ひとりで居られたらいいのに、と思ったこともあった。
でも今は、人が恋しくて恋しくて仕方がない。




