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西花丘オリロリタウン

家から近い場所に、小さなショッピングセンター的なものが出来た。小さいといっても、出店している店舗は沢山あって、全部回れば足が棒になる余地があるほどだ。ここは“西花丘オリロリタウン”という名前のショッピングセンターである。“オリロリ”はハワイのマハロハ的な言葉だろうか。でも、マハロハという言葉も正確かどうかは定かではないし、ハワイ系の言葉で合っているかどうかも定かではない。


ここはまさに、普通のショッピングセンターといった感じだ。オープン直後ということで、人がかなり多いことが一番の特徴だ。違和感があるとすれば、お店にもお店の前の通路にも、店員が一人も見当たらないということだけだ。全部の店舗がセルフレジということではなさそうだから、疑問が残る。


先ほど、全速力で女性が風を切って、横を通りすぎた。そして今もまた、陸上選手のように女性が横を通りすぎた。その女性は、タブレット的な端末を操作しながら走っている。服装や態度からしてかなり店員っぽいから、たぶん店員なのだろう。歩きスマホが問題になっている今日この頃の世の中で、走りタブレをするなんて、本当にヤバすぎる。


雑貨屋が気になり、足を踏み入れた。雑貨屋にはかわいいものが沢山溢れている。色々好みのものがあり、その中に素敵な時計を見つけて、レジに向かった。貼り紙が貼ってあり、貼り紙の指示通りにボタンを押した。すると、例の女性がすぐにぶっ飛んできた。そして、目にも止まらぬ早さで、素早くレジ打ちを終えると、すぐに走り去っていった。


例の女性が気になりながらも、ショッピングを楽しもうと本屋に入った。綺麗な表紙の本、お気に入りの作家の本など、沢山の本が並んでいる。そのなかに気になる文庫本を見つけて、レジに向かった。そして呼び出しボタンを押した。またあの女性が現れ、決まった動きを坦々と繰り返し、去っていった。


女性が去ってすぐ、レジ横のブックカバーが気になってしまった。意地悪したいという気持ちを持たず、ただただ欲しいという気持ちだけで、またボタンを押した。すると、女性がまた走ってやってきた。しかし、女性の息は全然切れていない。むしろ笑顔が増している気がする。レジ待ちが全くないことが、本当に不思議で仕方がなかった。


複数の店員がいるような、変な錯覚に陥ってしまっている。もしかしたら、本当に複数の店員がいるのかもしれない。実はあの女性が一番遅い店員で、他の店員はもっと速すぎるから見えないのかもしれない。でも、さすがにそれはない。あのスピードを越えるものが、存在しているはずがない。店員さんは素早くレジをこなすと、すぐにその場から消えた。


果たして、本当に一人で切り盛りしているのだろうか。もしかしたら、エリア分けをしているのかもしれない。試すには、あの方法しかない。でも、罪悪感があり、それが少し決断を遅らせた。罪悪感はあるけど、端の店のボタンを押してから全力で反対側の端の店に行って、そこのボタンを押してみようかと思う。これがもしも立証されたら、恐怖に似た震えは押し寄せてしまうだろう。でも、モヤモヤを少しは掻き消せるかもしれない。


これでも私は、昔1500メートルの選手だった。だから、走ることには慣れている方だと思う。でも、学校の廊下も走ったことのない人間が、施設内を走るという背徳感に触れてもいいものなのだろうか。恥ずかしさよりも、何よりも、今は真実の方が大事だ。


そういえば、さっき真ん中辺りのお店にあの女性がいたかもしれない。あの女性と同じ服装の人が、Tシャツを畳んでいたかもしれない。いやっ、これは確実に畳んでいた。記憶がしっかりと目に焼き付いている。やはり、キャストは仕事の出来る女性ひとりで構成されている。それで決まりでいい。もう、検証はしなくてもいいだろう。もう、それでいい。西花丘オリロリタウンのオリロリは、オンリーロンリーの略なのか?

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