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忍ばせた棘
僕の友達の親友なのだから、きっといい娘に違いない。
友達の紹介みたいなものは、初めてだから緊張する。
少し気になる情報があるが、気にしない方がいい。
噛み癖があるくらいで避けていたら、誰とも出会えない。
綺麗だった。
会う前は良い方へ良い方へと、想像を掻き立てていた。
それなのに、現実は想像を越えてきた。
僕の友達ばかりが、しゃしゃり出て喋っていた。
その娘の声はあまり聞こえてこなかった。
控えめだけど、とても魅力的だと感じた。
あまり笑わず、声も小さい。
それが神秘性を高いものに変化させていた。
【読書です】
【えっ、僕もです】
趣味や生まれ月など、共通点が何個もあった。
飲んで喋りながら、その娘のことを知り、また引き込まれていった。
連絡先を交換したあと、居酒屋を出て街をさ迷った。
女性にホテルに誘われたので、迷わずにオッケーした。
部屋に入り、その娘の眼差しが少し鋭くなった気がした。
すぐに表情は緩み、今日一番の笑顔を見せてくれた。
すると、左右の鋭利な八重歯がチラリと覗いた。
僕はあることを思い出した。
それは、この娘に噛み癖があるということだ。
もしかしたらベッドでも、その癖が出てしまうかもしれない。
僕は、前歯だけで噛む性癖であれと願った。




