○△□
丸さんは美しすぎる。
美しさが全身に溢れすぎている。
絵に描きたい人が殺到している。
写真に撮りたい人も殺到している。
様々な絵が描かれた。
忠実なものから、少し崩したものまで。
その崩した、デフォルメ似顔絵というものに、批判が殺到した。
あんなに美しいものを薄めるなんて、失礼だと。
そして、新たな法律のようなものが創られた。
丸さんの絵を描くには、難関の資格が必要になった。
丸さんを描く資格は、デフォルメ似顔絵に怒った国民の声から創られたのだ。
資格を持っていない人物が丸さんを描くと、重い罰が待っている。
丸さんは商業施設を訪れていた。
飾ってある、丸と三角と四角だけで描かれた似顔絵をずっと眺めていた。
そして気に入ったのか、その人物に似顔絵を描いてもらうことにした。
しかし、その似顔絵師は丸さんを描く資格を持っていなかった。
「私が証明してあげるから」
その後、丸さんは頼み続けて、ついに描いてくれることになった。
その資格を丸さんは、別に要らないと思っている。
でも、その資格は勝手に出来て、勝手に突っ走り続けている。
すぐに○と△と□だけの絵は完成した。
「ありがとうございます。すごく気に入りました。出来映えを○か△か□かで言うと、もちろん◎です」