開くと始まるドッキリタイム
宿題するのを忘れた。
次の授業で出すのに。
今頃気付いても、もう遅い。
教室に向かって歩き、ドアのくぼみに手を掛けてスライドさせる。
すると大量の粉を含んだ黒板消しが頭を襲う。
みんなの笑い声が僕を包み、これがドッキリであることに気付く。
チャイムが鳴り、席につく。
いつものように先生が教室に入ってきた。
そしてプリントが配られた。
しかし自分だけプリントが回ってこない。
警戒心はどんどん膨れ上がっていく。
先生から問題が出された。
手を挙げていないのに僕は指された。
よく見たら前の女子のスカートが背もたれに引っ掛かって丸見えだった。
騒いでいる左隣の男子に先生が放ったチョークがこちらに向かってきた。
地震が起きて右隣の女子に抱きつかれた。
窓側の先頭にいる長髪の田中くんが短髪になっていた。
体操服を持ってきていないのに急遽体育の授業が決まった。
しかも、みんな持っていた。
黒板消しのイタズラからドッキリの疑いは始まった。
あれ以来、全部がドッキリに見える。
みんなが爆笑する明らかなドッキリは最初のひとつだけ。
でもいつもと雰囲気が全然違う。
警戒は絶対に解いてはならない。
授業終了のチャイムが突然鳴り響き、僕はドキッとした。
ドッキリの終わりのチャイムはまだまだ鳴ることはない。