表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/83

犬飼さん、猫を飼う

犬飼さんには悩みがある。


犬飼さんは、犬飼さんにしか理解出来ないような、悩みを持っている。


それは『犬飼』という名前の通り、犬を飼っているのではと思われていることだ。


そして『犬飼』という名前の通り、犬好きだと思われていることだ。


でも実際に、犬飼さんは猫が大好きだった。


しかも、犬は触れられないほど苦手だった。


そのことが、最近、犬飼さんの頭の中でぐるぐると、竜巻のように渦巻いている。




玄関のチャイムが鳴り響いた。


犬飼さんが玄関のドアを開けると、そこには犬を連れた女性が立っていた。


どこからどういう噂を聞いたのか分からないが、たまに犬好きの人が訪ねてくる。


犬飼という名字の人は、犬の専門家ではない。


それに、賢い利口な犬を飼っているという根拠はどこにもない。


噂はただの噂でしかない。


犬飼という名字の他に、愛犬家を引き寄せているであろう心当たりは、犬飼さんの頭の中にひとつだけあった。


その心当たりというのは、息子だ。


息子の犬の鳴きマネは、無駄に上手い。


夜に結構長い時間、鳴きマネを続けていることも多い。


4歳でこのクオリティーなので、犬飼さんは息子の将来が不安でどうしようもなかった。




犬飼さんだからといって、犬を飼っているというのは間違いだ。


しかし、犬と猫の二択だったら犬はランキングが下に来る。


だから“犬下位さん”という意味では、合っているのかもしれない。


そう犬飼さんは思っている。


犬を連れてきた人には必ず、私のワンちゃん触っていいですよ、と言われる。


でも、毎回触ることさえも出来ずに、色々とツッコまれてしまう。


家に訪ねてくるのは犬ばかりで、最近は犬しか見ていない。


だから、犬飼さんは最近、猫が恋しくなってきていた。


犬飼さんは思った。


"よし、猫を飼おう"

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ