何人
掲載日:2017/08/31
声にならないものほど無力なものはなく
痛みにならないほど痛ましい傷はない
悲しさだけで成り立つ痛みなど
幻にすぎない
僕がいなくなっても
貴方がいるから
誰も悲しむことはない
だって誰も
僕がいたことに気付くことはないのだから
僕が貴方である限り
僕は切り離してもよい部分にすぎない
貴方の愛した僕は一体貴方だったのでしょうか
それとも僕だったのでしょうか
僕の名前が分かりますか
貴方は覚えているのでしょうか
誰にも知られないはずの
僕の記憶を
引き裂かれる悲しみも
何度も大声で叫んだことも
貴方が付けた傷も
もうどこにも見つからない
もう闇から出られない
だからきっと
貴方は僕を知らないまま
終わっていくのでしょう




