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第八話:勇者は能力を活用する

「ええっ!?そんな事があったんですか!?」

「まぁ、な」


街に戻った俺達は、今回の出来事をギルドに報告する事にした。

ゴブリンロードの強さがDランク程度だということ、そのゴブリンロードが変異した事、ブレイヴという男の事を。


「ブレイヴ…リオナオン王国で有名なSランク冒険者で異名は『疾風の剣舞』。何でこの王国に?」


受付のお姉さんが困ったような表情を浮かべてそう呟いた。


「リオナオン王国って?」

「軍事国家」


アマネちゃんの疑問に端的に答えたネル。端的すぎるせいでアマネちゃんが理解できていないな。

だから俺は能力を発動して、リオナオン王国についての詳細を確認して、伝えた。


「リオナオン王国は、優秀な冒険者と兵士が溢れている。別名冒険者が集まる国って言われているんだ、主に有名なのはさっき言ってた『疾風の剣舞』ブレイヴ、『傾国の女神』レリィ、『星の守護者』のメル。この三人が王国の誇る冒険者だ」

「そうなんだ、凄い人だったんだね」

「ああ、しかもブレイヴは本気じゃ無かったしな」


こういう時には常識凌駕(ルールキャンセラー)は役に立つな、こういう知識は役に立つ。


「勿論この国にも冒険者はいるのだけれど、Sランク冒険者は問題児しかいないのよ」

「へぇ」


ついでにこの国の所属冒険者について調べてみる。

『七色の空』シャル。

『憤怒の化身』ディーン。

『流浪の剣客』フロウ。

この三人がこの国の最高の冒険者。最強の三人。


そもそもSランク冒険者は他の冒険者とは扱いが違うようだ。Sランク冒険者は国に認められた三人の事を言うらしい、その際にその三人は冒険者の身でありながら国の根本的な部分に関わる事ができる。


「えっと、Sランクの冒険者って?」

「Sランク冒険者は、国に認められた冒険者。より強く、より特別な存在がなる事ができる。ただしこの国とリオナオンにしか存在しない。クヴェランドにはいない」

「クヴェランド?」

「平和な国だよ…何処よりも」


ネルが微笑みながら国の名前を言う。

表情の変化が乏しい彼女のその微笑みが珍しく感じた。

それより、平和な国か…能力で見た所、クヴェランドはネルの言う通り平和な国みたいだ。

興味が出てきた…よし。


「なぁ、提案があるんだけど」




☆ ☆ ☆


とある宿の一室。といってもただの宿では無い、一泊するだけで普通の宿に一月は泊まれる程の大金を注ぎ込み、ようやく一泊する事ができる文字通りの高級宿屋。

そこに二組の男女の姿があった。一人は小柄の金髪の少年、もう一人は長い白髪を後ろに束ねた少女、二人共年齢は12程の少年少女。


「いやぁ!参った参った!」


そこに豪快な笑いと共に一人の男性が入ってきた。その男はブレイヴ・X・リテイク、Sランク冒険者のブレイヴだった。


「煩いよブレイヴ」


そう言い放ち、ブレイヴに冷たい視線を向ける少年。そんな彼にブレイヴはニコニコしながら近寄る。


「硬いこと言うなよメル!久方ぶりに倒しがいがありそうな奴に出会ったんだぜ?」


ブレイヴがメルと言った金髪の少年は、溜息と共に視線をブレイヴから外す。


「勇者じゃないんでしょ?なら僕は興味無いや」

「ったくよお、ノリ悪いぜ」

「僕は忙しいんだ」


メルはブレイヴの事は気にせずに本を読み始めた。そんなメルの失礼極まりない態度にブレイヴは苛つく様子は無く、ただ笑いながら椅子に座った。


「あいつは強くなるぜ、なんせ適性属性無い癖に強化魔法使いやがったからな!」

「は?有り得ないよそんな現象」


ブレイヴの言葉を聞いてもそう言うメルだが、白髪の少女はその話を聞いて飛び上がった。


「ねぇねぇ、それ使ったのって黒色の髪の男の人?」


その少女__レリィは期待に満ちた表情でブレイヴを見つめた。


「そんな見んな、獣になる…ってか知り合いか?」


レリィから急いで視線を外したブレイヴは、それとなく彼女に聞いてみる。するとブレイヴもメルも驚く答えが返ってきた。


「ううん、でも一方的に知ってるよ。同類だから」

「同類だって?」

「はぁ?お前みたいな天災と同類だぁ?」

「うん、分かるんだ♪」


屈託の無い笑みを浮かべ、楽しそうにそう言う。レリィの答えにメルも興味が湧いたのか、読んでいた本をパタリと閉じる。


「勇者ではないのに彼女が同類と言うのか…僕も少し興味が湧いた」

「全く素直じゃねえなぁメルは!」

「暑苦しい!」


まるで兄弟のようにじゃれつく二人をニコニコと笑いながら見守るレリィ。

そんな光景、何時もの彼らの光景。


そんな光景に彼が混じるのを、レリィは視ていた。



「やっと見つけたよ」



レリィは心の底から嬉しそうに、そう呟いた。





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