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第六話:勇者に新たな仲間が入る

「うらぁ!」


 一撃。

 何の変哲もない剣による普通の攻撃、だが魔法による強化で鋭く重い一撃に変化したそれは、確かに変異したゴブリンロードに手応えを感じさせる一撃だった。

 実際に奴は俺の一撃を喰らって、叫び声を上げつつ後ろへ下がった。


「逃がさない」


 そこへネルが炎の刃による魔法攻撃を打ち込み、ゴブリンロードに休ませる機会を与えない。

 だがゴブリンロードはその炎の刃を喰らっても大したダメージにならないのか、炎の刃を簡単にかき消した。


「どうやら炎の属性に耐性を持っている」


 ネルの言う通り、奴には炎の魔法の効果は見られない、つまり他の属性でダメージを与えないといけないって事になる。

 なら無属性魔法を使えば良いんだろうけれど、無属性魔法をどう扱えば良いかのイメージがまだ俺にはない。

 炎とかのイメージだと炎属性に変化するし、他の属性に変質させるのもこの状況じゃあ試す余裕が無い。


「ええい!」


 アマネちゃんも弓矢で牽制をしているけど、ゴブリンロードにはあまりダメージが入ってないのか怯む事は無い。

 そしてゴブリンロードは、執拗に俺を狙い続けている。


「ぐっ」


 ゴブリンロードの猛攻が激しくて、反撃に移ることができない。せめて少しでも隙があれば…


「轟く雷鳴、閃光と共に敵を射る。サンダーアロー」

「Gaaaaaaa!!?」


 ゴブリンロードの胸に雷の矢が貫く、ネルの魔法による援護だ、そしてゴブリンロードは大きく耐性を崩した。

 この隙を逃す訳にはいかない、持てるだけの魔力を放出して、ゴブリンロードの懐に飛び込み



「だぁぁぁぁぁぁ!!!!」



 一閃する。


 鋭すぎるその刃は、ゴブリンロードの右腕を切り落とした。


「今!」


 ネルは雷魔法を、アマネちゃんは傷口に直接矢を撃ち込む。二人の援護により俺に反撃は来ない、この隙に俺は左手に無属性の魔力を集中させ、不可視の塊を作った。無属性の魔法が無いけど魔力は練れる、ならそれを直接ぶつけるんだ。


「これでも…喰らっとけ!!」


 その魔力の塊を、ゴブリンロードの腹に打ち込んでから剣による切り上げ攻撃で右腕も切り落とした、魔力の塊による攻撃は成功だ、攻撃力をちゃんと持っている。


「Goooォォォ…」


 度重なる攻撃で弱り、少し押せば倒せる程に弱ったゴブリンの王。俺はもう一度剣に魔力を込めて、それをゴブリンロードの胸に突き刺した。

 それと同時にゴブリンロードはビクン!と身体を震わせ、絶命した。


 終わった、ゴブリンロードの討伐は今終わった。


「や、やったの?」

「ああ、多分」


 アマネちゃんがフラグを立ててるけど、ゴブリンロードが動く気配は無い。念のためにもう一度剣を突き刺してみるが、反応は無かった。


「お疲れ、これでこの依頼は達成した」


 ネルがそう言うと、ゴブリンロードから魔石を取り出す、するとゴブリンロードの身体が溶けはじめ、何枚かの皮と牙を残して跡形もなく溶けきった。

 魔石を取り出すと魔物の身体は溶け始める、この世界の魔物は魔石が心臓部分なんだったよな。


 ふぅ、変異種っていうから手強いと思ったけれど、案外簡単に事が進んだな…まぁ無属性の魔法剣を使ったからだろうけれどな。


「さて、貴方達の事を話して貰う」


 分かっていた事だけど、彼女はどうしても俺達に話を聞きたいらしい、アマネちゃんの方を見ると、ネルと同じような表情で俺を見ていた。

 そういえば魔法の適性がないって言ってたな…そこら辺もどう説明したものか。


「そうだよリクト君!魔法の適性が無いのに、なんで炎の魔法使えるの?」

「適性が無い?」


 アマネちゃんの言葉にネルが表情を峨しい表情に変える、やっぱり適性が無いのに属性魔法が使えるのってマズイよな


「詠唱が無い、適性が無い、それなのに炎の魔法を使うし魔法剣を使った。話してくれる?」

「話す気は無いよ」


 実際に話したら面倒臭そうな事になりそうだしな、そうしたら自由に旅ができそうにないし。


「でも、それくらいの力があったら足でまといにはならないよ!カズト君達と合流しよ!」


 アマネちゃんが嬉しそうに言うけど、俺的にはあんましあいつらと関わりたくないんだよなぁ。

 ただ何となく嫌な予感がするんだよ、ああいう正義感溢れるタイプの奴ってさ、使命がーとか義務がーとかさ、そんなの俺の柄じゃないし。

 そんな事より俺はこの世界の隅々まで調べたいんだ、折角の異世界だからな。


「カズト君達と合流するのは後でもできるだろ?あいつの能力(スキル)の前じゃ俺達はどうしても足でまといになっちまう」

「そ、それは…」


 アマネちゃんが困ったように狼狽える、多分彼女も理解はしているんだろうな。あいつと俺達にある絶対的な差を。


「だからこそ俺達はあいつに負けない位の力を付けないといけない。合流はそれからでもいいだろ?」

「そう…だね」


 お、おう、何か釈然としなさそうな様子だけど良いって言ってくれたぞ?ちょろいなこの子。

 悪人とかに同情しそうっていうか、他人を無条件で信じそうっていうか、危なっかしいな。


「教えてはくれないの?」


 と、そんな事を考えていたらネルが不満そうな表情をして聞いてきた。教えてやりたいとは思うけど、簡単に教える訳にはいかないよなぁ、たとえ可愛い女の子の頼みでもな!


「まぁ、残念ながらね」

「そう、なら私も付いていく」

「はぁ?」


 突然何言ってんだこの子は、それが意味する事を分かっているのか?


「お前、どういう事か分かってるのかよ?初心者とこの先もパーティを組むって事だぞ?働きたくないんじゃないのかよ」

「うん、だから私は基本的に戦闘に参加する気は無い」

「おい!」

「大丈夫、私の生活費は払う。それとも、それすら払えない無能だと思った?残念だったね」


 どや顔でこっち見んな!あーもう!その顔は分かってんな!?その頼みを断れないっての!

 こっちからしたらベテラン冒険者はいる方が助かるし、魔法使いはパーティに必要不可欠な存在だし、断るって選択肢は無いんだよ!


「分かったよ!でもどうしてもって時とかには働いてもらうからな!」

「素直でよろしい、それに私が働く時にはそれ相応の仕事はする、期待は裏切らない」

「ならいい!」

「ふふっ、思ったより君、可愛い」


 クソっ、負けた…何に負けたのかは分からないけど、とにかく負けた!


「とりあえず街に戻ろう」

「そうだね、これからよろしくね!ネルちゃん!」

「う、うん」


 アマネちゃんは凄い嬉しそう、女の子で異世界人の友達ができなのが嬉しかったのかね?ネルちゃんもその勢いに軽く引いてるっぽいな。


 はぁ、これからどうなる事やら





『報告、リクト・アルタイルが初めて変異種を討伐したため、LUKの値にボーナスポイントが割り振られました』

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