第四十話:スピード狂には、俺はなれない……
シリアス前のギャグ回
「ありゃ?もう戻ってたんです?」
「あぁ、買いたいものは無事買えたからな」
謎の女の子と一悶着あって暫くしたら、マナとアマネが戻ってきた。ネルは今は俺の隣で本を読んでいる、何でも今クヴェランドで人気の小説で「STARTUP!」っていう題名らしい、後でネルに借りて俺も読んでみようかなと考えている。
「どんな道具を買ったの?」
「あぁ、スキルポーション」
「「ぶっ!?」」
「ななな、何ですそれ!?神です!?スキポが何で道具屋に売ってるんです!?」
「そ、それで何を手に入れた?」
アマネが何を買ったのかを聞いてきたから、普通に答えた。
そしたらネルとマナが吹き出しながら俺に問い詰めてきた、まぁスキルポーションの価値を知ってたらそういう反応だよなぁ?現にアマネは頭の上に?マークが出ていそうな不思議そうな顔をしてるし。
「まぁ値段は滅茶苦茶な金額だけど、おかげで唯一能力を手に入れたよ」
「「ユ、唯一能力!!??」」
「ほぇ?」
「馬鹿っ!声大きいっての!」
二人が大声を出しながら立ち上がったからか、滅茶苦茶目立って周囲の注目を浴びてしまった。俺は周りの人達にお辞儀をしてから二人を席に座らせた。
「リクト、これがどういう事態か分かってる?」
「ユ、唯一能力なんてA級クラスが持つような能力です!下手したらリオナオンに目をつけられるですよ!?」
そ、そっか。その可能性を考慮していなかった。確かにリオナオンに目をつけられるのは勘弁して欲しいって思うな。
「唯一能力を持つ人間は、A級以上の冒険者。しかもそれを持つ人間は極わずか」
「極わずかって、それならS級はどうなんだよ?」
「S級に上がるのには、唯一能力を持っている事が最低条件だと言っておく」
まじか、半端無いなS級の門は……でも俺はそんな大層な存在になる気は無いし、仲間内だけに共有するだけに留めておくか。
といっても、それなら常識凌駕が特別の枠に入ってるのが解せないな。効果だけならテクニカルアーツよりも強力……あっ、危険性の問題か。
「そ、そんなに凄いんだ」
「凄いというレベルを超えてる」
「私の異次元倉庫も唯一能力じゃないです、見る人が見たらチートだって言うこの倉庫でさえですよ?」
「確かにマナのそれも異常だけど、彼女の話通りなら……そんなのでも唯一能力には到達しない。そもそもスキルポーションを使って唯一能力を手に入れたなんて聴いたことがない。恐らく世界初の現象」
確かに格付けされているしな、能力同士のレア度もそこら辺に関連しているんだろうな、でも世界初とは思えないんだよなぁ。世界初を達成したらそれ相応の称号が手に入っても可笑しくない。
「リクト、称号に『世界の開拓者』という称号は無い?文献通りならそれがある筈」
「残念ながら、そんなのは無いな」
「なら、既に誰かが達成してたか称号獲得には関係無かったという事に……」
成程なぁ、それが世界初の偉業を達成したら獲得できる称号って奴か。随分とまぁ俺好みの称号じゃないか、今後はこいつを獲得する為に動いてみるか。
「でも凄いです!アルタイルさんは本当に凄いんですね!」
「へ、へぇ、すごいんだーりくとくんは」
マナがめっちゃ純粋でキラキラした瞳で見つめてくるけど、横のアマネが何か汗が滝のように出ているんですが……ま、まさか。
__悪いなアマネ、全てを見透かす瞳発動__
俺はこっそりとアマネのステータスを確認した。
アマネ・B・カグラ
能力 音楽奏者
性質 竪琴、■■
能力事態は増えてないけど……これは、文字化けとベガ……君も手に入れてたのか。
てか、性質に文字化けってどういう事なんだ?勇者特有の現象なの文字化けって。
それに、名前が地味に変わってんな。ベガの性質を手に入れたらこうなるのか?俺もアルタイルって性が後付けとはいえ手に入っているし……
「あ!銀河の冒険団の皆様!」
思考していたら、不意に俺達に声がかけられた。声をかけてきたのはリーネさんだった、という事はもう時間になったって事になるな。
「先程アーラ様御一行が到着された模様です、これからアーラ・ベガルデ様の元へご案内しますね」
ニッコリと太陽のように眩しく笑ったリーネさんの言葉を聞いて、俺とネルとアマネは無言で頷いた。それは……
「アーラ様ぁぁぁぁぁ!!!!!」
「ちっくしょう!速すぎんだろあいつ!」
「うぇぇ!?瞬間移動!?」
「馬鹿な、私が見えない程のスピード……だと?」
確実に暴走するだろうあいつを止めるため……だったのに相手の方が一枚上手でした。
「リーネさん!急いで案内を!奴を野放しにしたら、どれ程の被害が出るか!」
「わ、分かりました!」
急いであいつを止めないと……って!!
ビュン!!!!!
「「「速すぎるっての!!!」」」
リーネさんもまた、人外の一員だった、目にも止まらぬスピードで俺達の前から姿を消して……
「ぐふぅ!?」
一瞬で姿を現した、マナを引きずりながら。
「ふぅ、久々に能力を使いました。さあ皆さん、改めて付いてきて下さいね!」
いい笑顔をしながら、マナをそのまま引きずりながら酒場の外へ出ていくリーネさん、左手に装着されたメリケンサックらしき物なんて俺は見ていない。本当だよ?
「よ、よし、行くか」
「規格外……」
「なんか、一人だけ別世界で行動してそうだなって思いました。はい」
何かアマネの口調が可笑しくなってるし、ネルは珍しく目を見開いてるし。俺?俺は既に現実を見ていないぜ?いやー、世界と接続出来るっていいなぁ、HAHAHA。
俺も速度が可笑しいぞって?あんな変態になれる訳ないでしょ奥さん、人間と人外を比べちゃいけません!お父さんとの約束よ!
「HAHAHA☆」
「リ、リクト君が壊れましたと思った私でした。はい」
「二人共壊れてる……」
受付嬢は強くないとやってられません、暴漢とか出るし仕方ないね。




