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第三十六話:彼の心中

皆様、長らくお待たせしました!

色々と落ち着いてきたので、投稿を再開します!

「痛い」

「自業自得だ」


 リーネさんに引っぱたかれて目を覚ましたネルは、不機嫌そうな表情をしているけど当然の結果だと思う。よりにもよって、会議中に寝るとかいう事を仕出かしたからなコイツ。それよりもリーネさんに聞きたいことがあったんだ。これを聞かないと動きたくても動けないからな。


「それよりも、具体的に俺達は何をすれば良いんです?」


 とりあえず、さっきから気になってる事を聞いてみる、護衛とかいっても色々とあるからな。それをリーネさんに聞いたら、忘れていたのかハッとした表情をしながら、リーネさんは慌てて説明を始めた。


「えっとですね、今回は皆様でアーラ・ベガルデ様の専属護衛をお願いしたいんですよ。できれば有事の際には直ぐに対応できるように付きっきりで」


 専属護衛で付きっきりで護衛をするってマジかよ?アイドルのプライベートも何も無いな。いや良いのか?向こうが指名してきたって事はそういうのを覚悟しているって事だよな?だとしたら覚悟しろ、うちのドルオタは半端無いぞ?ほら……


「せ、専属護衛を…うひっうふひひひ」


 マナが女の子がしてはいけない表情をして笑ってる、うん…俺は今見たものを早いところ記憶から消しておこうか…マナの名誉の為にも。


「それじゃあ私、早速その護衛対象の所へ向かうわね?カズト君にも今の話、伝えないといけないし…また会いましょう?リクト……チュッ」

「ぅひ!?」

「「んなぁ!?」」


 へ、変な声出た…いや、何で去り際にほっぺにキスして来るんですか貴女は!?しかもさり気なく胸当てて来たし…うん、ありがとう。


「スススス、スズカちゃん!?」

「ふふっ、またね」


 妖艶な微笑みをしたスズカは、意味深な視線を俺に送ってから軽く手を振ってから外へ出た。

 まだほっぺに感覚が残ってる…


「……」

「いでっ!?痛いって!抓るなよ!」


 ちょっとほっぺをさすってたらネルとアマネに思いっきり抓られた。仕方ないじゃないか!男なんだし!

 ま、まぁとにかく…二人共外言っちゃったけど、大丈夫なのか?


「あっお二人共行っちゃいましたね…」

「別に勇者なんか頼らなくても良いし」

「クライスさんが何時もより口が悪いです!」

「心外」


 心外って…まぁ確かに普段のネルよりはずっと口数が多いような…気の所為ならそれで良いんだけどさ。

 それより、気になるのはカズト君の態度の変化と、これから来る天道十二門の存在だ。魔王の側近のような相手なら今の俺が相手になれる事はまず無いと思ってもいい、恐らくカズト君の能力(スキル)なら…あるいは。


「でも、天道十二門って魔王の側近…なんですよね?」

「ええ、特に水瓶を司るアラヌン・S(ソルディ)・アクアリウムは残忍な性格をしています。十二門の中でも特に厄介な者です。今回はこちらに来る事は無さそうですが…」


 うーん…それにしても良くそんな情報が手に入ったもんだ。裏で伝わってる情報って言ってたけど、そんな情報が伝わるなんて魔王側のセキュリティどうなってんの?

 普通こういうのは徹底して知らされないようにするのに、裏で伝わってるレベルの緩い情報規制、まるで俺達に警戒させ(・・・・・・・・・・)るのが目的みたいだ(・・・・・・・・・・)

 これは少し警戒した方が良いのか?うーん…それとも…。


「難しい顔してるよリクト君、深呼吸してリラックスしよ?」


 考え事をしていたら、心配そうな表情をしていたアマネに言わて、彼女の言葉通りに深呼吸する。

 うん、若干気持ちが緩んだ。難しく考える必要は無い、俺は俺に出来る仕事をすれば良いんだ。


「ありがとう、ちょっとリラックスできたよ」

「えへへ、どういたしまして!」


 俺が彼女にお礼を言ったら、彼女は満面の笑みで返してくれた。


「この依頼、何としても成功させます!この私の名に掛けて!」

「別にそんな有名じゃない」


 これでもかという程にドヤ顔をしたマナに、冷静に突っ込みを入れたネル、さっきまでお前寝てたよな?と言いたいけど、そんな野暮な真似はしないリクトさんでした。


「さっきまで寝てた寝坊助さんに言われたくないですぅ!」

「戦争だね?うん、受けて立つ」


 台無しだよコノヤロウ。



 ☆ ☆ ☆



 よりによって、彼等がこの街に来ているなんて…何て巡り合わせなんだ。せめて別の街に行ってくれれば…!


「あらあら、随分と悩んでるみたいね?カズト君?」

「君か…嫌な役を押し付けて済まなかった」


 彼女にはあの場に残してしまった罪悪感がある、僕ももう少し別の方法を取っていれば…いやよそう、過ぎたことだ。


「全くよ、あの子達をフォローする私の身にもなって頂戴」

「なら、お詫びにスイーツを君に奢らせてくれ」

「あら?良いのかしら?それは願ってもいない事ね」


 これで少しは彼女に対して償えるのなら、安いものさ…リクト。臆病者と言ってしまった僕を許してくれとは言わない、せめて今回の事で僕に悪い印象を持ってくれれば、それで良い。

 そうすれば今後僕と関わろうとはしない筈だ、そうすれば君達は魔王討伐には向かわない筈。

 この世界を生きていて、分かった…この世界は僕達には厳しすぎた。魔王によって滅ぼされたあの街を…あの惨状を見るまでは、僕はこの世界を本当の意味で理解していなかったんだ。

 魔王は僕が倒す…だから君達二人は勇者とは関係無いところで、この世界を生きてくれ。



「ふふ、流石に決意は硬いわね?カズト君」

「君も同じだろうに、僕はこの世界を心の底から救いたいと思っていなかった…あの惨状を見るまでは。だからこそ、僕はあの日に本当の意味で勇者になったんだ。僕はこの世界を必ず救ってみせる。

 その為にもアーラさんのコンサートに現れる天道十二門を倒さないとならない。絶対に」


 そう、僕は魔王達を許さない、許す訳にはいかない。固く心に誓ったんだ、僕はこの世界を必ず救うと…!






























(カズト君は優しいわね?でも残念…私はそうは思わなかったわ、でもあの日以来目的が出来たっていう点では…貴方と同じよ?そのためには…あの子の協力が必要ね…フフッ)










『報告、リクト・アルタイルとカズト・テンドウが二度目の邂逅を果たしました、これにより運命が動き出します』


カズト君は善人です。これは揺るぎません

まぁ変な所に力を入れるおっちょこちょいではありますけど…

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