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第三十二話:ネルと一緒

やっと、ほのぼの異世界生活に突入したんだなって

 

「はっ!?」


 目が覚めたら、真っ白な部屋のベッドに寝転がっていた…てか良く見たらここ宿屋の中だった。何で俺はここにいるんだ?確か俺は外でアマネと…そういえばウェアウルフウルフの群れに襲われたような。でも俺はここにいるし…夢?まさかな。


「起きた?」


 あっ、ネル…まぁネルはいるか。今やほぼ宿屋の住人と化しているからな。


「じゃあリクト、早速行こうか」

「へ?」


 行くってどこに?ていうかネルが俺を誘うなんて珍しいな、というか他の二人は一体どこに?

 そんな事を考えていたらネルが俺の手を引っ張ってベッドから引きずり出した。


「リーンネイションの商業区に良い出店があった、一緒に行こう」

「出店ってお前」

「つべこべ言わないで来る」


 何だそりゃ、でもまあ最近は依頼ばっか受けたりして日々忙しかったからなぁ。お金にも余裕はあるし屋台巡りも良いかな、俺もこっちの料理をゆっくり食べて回るのはしたこと無かったし…うん。


「分かったから引っ張らないでくれよネル」

「ん」


 俺が行くって言ったからか、彼女は短く一言だけ言ってから頷いた。お金はある程度あるけど家を買うっていう目的の為なら節約…いや、ネルの為にそういうのは考えないようにするか。何時も頑張ってくれてるから今日はそういうのは考えない事にするか。


「じゃあ行くか」

「わっ…」


 さっきのお返しに俺はネルの手を取って部屋を出た、少なくともベッドから引きずり出したささやかな仕返しだ。お前の苦手な早いペースに無理やり巻き込んでやる!ふはははは!


(だ、大胆だぁ…はぅぅ)


 こうして俺は無理やり彼女の手を引っ張って商業区に向けて進み出した。
















「はっ!?私の知らない所で何か抜け駆けされた気がする!」

「い、いきなりどうしたんですぅ!?」



 ☆ ☆ ☆


 ネルの言う出店、まぁリーンネイションの出店何だけどここは相変わらず凄い賑わっているな。

 色々な所で商人の人達の活気付いた声が聞こえてくる、そういえば依頼に忙しかったからここら辺はじっくり見ていなかったっけ。

 そうだなぁ、C級…っ!?そういえば試練はどうなったんだ?それにアマネは無事なのか?


「言い忘れてたけど、二人は無事にC級に上がってるから」

「そ、そうか」


 タイミング良くネルが教えてくれた、無事にC級に上がってるって事はそういう事なんだろうな。アマネの姿は見えなかったけれど無事なのは確かだ。

 なんかどっと力が抜けたな…はぁ。


「これ」

「何だこれ…」


 そんな事を考えてたらネルが何か持っていた、元の世界でいうタコスみたいな料理だな。


「美味しいよ」

「そ、そうか」

「あーん」

「え?」


 惚けていたら、何かネルがタコスみたいなのを持ってあーんとか言い出した。いやいやまさか、俺にリア充筆頭の甘々イベントが起こるなんて事…


「はよ」


 妙な威圧感を放ち始めた、ここは素直に従っておこう。若干怖い。


「んむ…」

「どう?」

「美味い」

「そう、良かった」


 タコスもどきは美味かった、これは元の世界の牛肉にそっくりな味わいだ。程よい辛味とソースの味が中々絶妙な味わいを生み出していた。とにかく美味しい。


「これは何て料理なんだ?」

「タコス」


 そのままかよ。


「じゃあ次に行こう」

「あ、ああ」


 何時もよりもちょっとだけ行動的なネルは新鮮だな、というか何かデートっぽいよな…やべ、意識すると顔が熱くなってきた、ネル贔屓目に見なくてもめちゃくちゃ可愛いし前の俺じゃ考えられない出来事だな。


 これはネルルート来てるか?…いや、現実の女はそんな単純な訳ないし向こうはそんな気は一切無いよな。勘違いするなよ俺ぇ。

 その後俺はネルと歩幅を合わせつつ、彼女が食べたい物を一緒に食べて歩いて廻った、まぁ食べ歩きみたいな感じだな。


「美味しいね」

「そうだなぁ」


 確かにリーンネイションの出店は美味しい物が沢山ある、元の世界に似た食べ物があれば全く知らないものまで…特にフェフェフェの肉詰めが一番謎の食べ物だった、何か牛タンみたいな食感だったとだけ言っておこう。めちゃくちゃ臭ったが。


「少しは息抜き出来た?」

「え?」

「最近頑張りすぎだって思ったから」


 ネルは心配そうに俺を見上げてきた、確かに戦闘中倒れるなんて論外だよな…自覚は無かったけどそこまで疲れていたのか俺は?


「アマネ達にも迷惑かけたから、きちんと謝る」

「うっ」


 確かにその通りです、はい。

 というかネルにも心配かけているって事になるよなこの場合って。


「ごめん、心配かけた」

「……………別に心配してないし」


 何だ、ネルは心配してなかったか。考えすぎだったのか?アマネ達が心配してたって言うからてっきり…でもまぁ


「それでもだよ、ごめんなネル」

「…………」


 それでも彼女に誤ったら、何かそっぽ向かれた。嫌われてはないだろうけど機嫌を損ねちゃったか?……本当に嫌われてないよな?女の子と会話なんてノベルゲームかこっちでの異世界ぐらいしかした事ないぞ?

 現実世界?思い出したくもないね、あんなモンスター。


「そろそろ帰る!」

「お、おう」


 何か怒ってる!?リクトさん何も悪い事してない…よな?

 そして俺は終始ネルのご機嫌を伺いながら宿屋に戻っていった。













(何でっ、何でこんな…!うぅ、ズルイズルイ!)




 また、ネルが顔を真っ赤にしていた事にリクトは気付いて無かった。





しばらくこんな感じでゆっくり進んできます。

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