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第二十三話:勇者は冒険者となり、トラブルと遭遇する

第二章ではワクワクするような冒険が待っている…!

「あぁ〜」


 冒険者登録をした後空いている席に座った俺達だが、ネルが早速全身を机に預けて垂れ始めた。

 相変わらずだと思いつつ、さっき注文したオレンジジュースを飲んでゆったりとする。

 元の世界のオレンジジュースと変わらないな、でも名前がオレンジじゃなくてオレジになってるけど。


「やっぱりのんびりだらだら過ごすのは良い…早くお金貯めてマイホームを買いたい」


 確かにネルの言うことも分かるな、拠点に宿屋を使っているのも何かとコストもかかるし、何より宿屋だと俺の理性との戦いが始まる。

 うちのパーティって、結構育ってるんだよな。マナは言わずもがなだしネルも前にバスタオル姿を見た時に意外とある事が分かったし、アマネは…直に確かめたし。

 それに、同じ部屋で寝るってのは青少年の俺にゃ辛いんですよ。うん。


「マイホームは俺も賛成、ていうか手っ取り早く稼ぐ方法無いのか?」

「魔物が落とす魔石や素材を売れば、幾らかの収入はある。手っ取り早く稼ぐならより魔物を倒せる迷宮(ダンジョン)に行くのが良い」

「やっぱそれかぁ」


 異世界生活というか、冒険者といえばそれだよなぁ。

 マイホームは俺も早く欲しいし、簡単な迷宮(ダンジョン)に潜ってどの程度かを見る必要があるかなぁ。ん?そういえばクリアしたら特典が貰えるって言ってたな。


「ネルは、クヴェランドには詳しいのか?」

「いや、そこまで詳しい訳ではない」


 ネルでも知らないとなると、ここは俺の能力(スキル)の出番だな。

 何何?ここら辺で簡単な迷宮(ダンジョン)はっと…ううん、迷宮(ダンジョン)自体が初心者にはオススメできないってのが分かるな。クリア特典は迷宮(ダンジョン)最深部のモンスターを倒したら、宝箱が現れて様々な物を手に入れられる。

 または、そのモンスターから稀に装備品がドロップされるか。確かこの世界のドロップ装備は、魔物の魔石が変化した姿だったか?

 魔石が装備となってる魔物は従来の物より手強い、いわゆるユニークモンスターって奴みたいだ。

 俺はまだ出会ってないけど、いつかは出会ってみたいな。


「まぁ迷宮(ダンジョン)に潜るかは置いといて、安定した収入を得るための計画は必要だよなぁ?」

「ゴブリンの魔石が物によるけど、基本レートは一つ銀貨1枚。まぁ雑魚だから数を集めればそれなりにはなる。」

「でも、余りにもそればかりを集めるとレートが下がる。だよな」

「その認識で合ってる」


 となると、ゴブリンだけを倒して稼ぐニートプレイも駄目…おいネル、不満そうな顔してんじゃねえよ。


「今まで集めた魔石も、殆どがゴブリンだもんね」

「確になぁ」


 もっと他にいると思うんだが、不思議とゴブリンとその上位種しかいない。


「そうなんですか?じゃあ別の魔物の討伐依頼を受けたらどうでしょう?」

「そうだな、討伐依頼を受けてみるか」

「えー、働きたくない」


 ネ、ネルぅぅ…!どうしたらこのグータラ娘を動かせるんだ?全く思い浮かばない。てかこいつにマイホームを与えて良いのか…?今更ながら不安になってきたぞ…!


「ネルちゃんネルちゃん、ここで頑張れば早くお家が買えるよ?」

「先行投資も、たまには悪くない」


 さ、流石アマネ。ネルの扱いは一品級だぜ!とにかくネルがやる気になってくれたおかげで、依頼が効率良くこなせそう。


「やあ君達…少々お時間良いかな?」


 …………


「ところでさ、受けるとしたらどんな依頼が良いかな」

「す、すまない、少し良いかな?」


 ………………


「あ、あの、アルタイルさん?話しかけられてますよ?」

「アルタイル?君はアルタイルというのかい?…クフっ」


 ん?俺が話しかけられてるって?嫌だなーマナなん。俺が話しかけられてるなんて幻覚でも見てるんじゃないか?


「あぁ〜、寝み〜」

「ネルちゃん、ちゃんと宿屋で寝なきゃ駄目だよ!」


 おおう、うちのパーティはフリーダムだな。てかお前が一番フリーダムだよネル!


「……そこのアルタイル君」


 お、気が付いたら飲み物が空になってた。


「さってと、お代わりでも頼むかな」


 ここのオレンジジュース美味しいからな!


「貴様…ここまで僕を無視するとは、いい度胸じゃないか!風よ…!」

「すみませーん、お代わり下さーい!」


 何か涼しいなー、まぁ俺には関係無いかなー


「目の前の怨敵を撃ち抜く…!ウインドアロー!」

「にぎゃあ!?」


 い、痛たたたた。何か吹っ飛ばされた。


「リ、リクト君!ちょっと貴方!」

「麗しいお嬢様、怒りをお鎮め下さい…」

「ひぃぃ!?」

「寒っ」


 あーあ、グラス割っちゃったよ。これ弁償物だよなぁ?幾らかかかるんだろ?これ


「あの、これ幾らかかるんですか?」

「え?えっと…その、銀貨三枚ですけれど、お客様?その…大丈夫なんですか?」

「はい、銀貨三枚と迷惑料に金貨一枚ね」

「え、ええ!?お客様!?」


 結構痛い出費だ。これで残りの金貨はあと三枚かぁ。これは早急に迷宮(ダンジョン)に行かないとなぁ。


「悪い悪い、ドジった」

「ドジったってレベルじゃないよ!?」

「良い突っ込みだアマネ、だが甘いな」

「私突っ込んだ記憶無いよ!?」

「まだ、僕を無視するか…!」


 はぁ、意図的に無視してんの分かんねぇのかこいつ。

 てか、明らかに下心満載の気持ち悪い笑顔向けてきて話しかけて、仲良くなれると思ってんのかこいつ。


「ふん、大方怖いのだろう。C級冒険者の僕が。まぁ良いさ、僕は強いからね」


 C級って強いのか?何か最近インフレが進んでるから自分の中の基準が壊れかかってるんだよなぁ。

 多分強いと思うんだけど…相手をする気無い。


「貴様!聞いてるのか!」

「そうよ!ラルド様を何時までも無視して!」


 あぁ、こいつのパーティも頭悪そうな女…てかまじでめんどくさいからどっか消えてくれないかなぁ。


「リクトリクト、私は眠いから寝るよ」

「何か俺も眠くなってきたんだが」

「なら、私の抱き枕になる?」

「え、ん、りょ、します!」


 何言ってんだこいつ。

 何言ってんだこいつ!!こいつを抱き枕にしたら……うへへ。


「そうか、あくまでも僕を無視するのだな?」

「要件は?」


 この変なの相手にしたくないけど、する事にした。今更何言ってんだと言われそうだけど、できるだけ穏便に事を進めよう。


「金が欲しいの?銀貨一枚あげるからお家にお帰り」

「初心者風情が侮辱するかァ!!」

「ア、アルタイルさん!?」


 おーおー、煽ったら激怒しやがった。うん、反省。誰でも怒るなこれ。

 でも後悔はしていない…して、いない。あ、ネルが笑いを堪えてら。微笑ましい。


「まぁ冗談はさておき、そのCランクさんはどういったご要件で?」

「決まっている!初心者風情が、しかもアルタイルの名を騙る愚か者に鉄槌を下しに来た!」


 酷い人だなぁ、アルタイルを名乗る若い初心者がいるってクロウが言ってたでしょ!

 てかさ、クヴェランドにもこんな奴はいるのな。


「あいつ、最近リオナオンから来たっていう…」

「災難だなあの初心者、止めるか?」

「まぁ初心者だし、危なくなったら俺が出るわ」


 あ、なるほど、周りの人の会話から察するにこいつも余所者なのね、てか俺の中でリオナオンの株がだだ下がりなんですけど…どういう事なの?リオナオンって魔境なの?


「そして貴様は卑怯者だ。アルタイルの名を騙り彼女達を誑かしパーティに引き入れている!故に貴様を倒し彼女達を解放する!アルタイルの偽物!貴様に決闘を申し込む!」


 あー、これはいわゆる異世界召喚された勇者に起こるテンプレってやつですか。今気がついたわ。

 まぁ俺のパーティは贔屓目に見なくても美少女軍団だし?羨ましのかな?

 はっはっは!安心しろ!少なくとも俺にその気は無い!多分。


「貴様のような卑怯で、優しさの欠片も無い人間が彼女達とパーティを組むなど許せん!」

「は?」


 ん?アマネ、今何か普段のアマネから発する事が無いような言葉が聞こえてきたような…


「大方彼女達を騙しパーティに入れたのが誇らしいのだろう?アルタイルの武器の偽物を使う程だからな!」

「あ?」


 あのー、マナさん?さっきまでオロオロしてたマナさんは何処に行ったんですか?そんな視線だけで人を殺せそうな顔しないでよ。


「そんな人間だから分かるさ!僕の能力(スキル)が語る!貴様は適性属性も無い無能のゴミだということが!」

「…………………」


 おいネルさーん?、静かな動作で立ち上がらないでー?。後なにか喋れ。喋ろよ。喋ってください。


「あ、あわわわわ」

「恐怖で震えてるのかい?だがもう遅い!貴様は許されない事をした!」

「ふん!今更謝った所で遅いわよ!」

「そうよそうよ!」


 あぁ、恐怖で震えてるよ、事実だよ。だからもう黙れお前!

 馬鹿なのか!?阿呆なのか!?周りを見ろ!他の冒険者達も顔を青くしてるじゃないか!


「うん、少しお話しよっか」

「……………」

「小物が…妾のリクトを侮辱するか」


 おい、若干一名口調変わってるぞ?お前の事だよマナ!

 てか、まーたアマネからハイライト消えたよ!ネルお前喋ろよ!

 だ、誰かこの状況を何とかしてくれぇぇ!!!


「この冒険者組合には訓練所がある、そこで白黒はっきりしようではないか!」

「いいね、その方が分かりやすいよ」

「……………潰す」

「ふむ、どう料理してやろうかのう?」

「はは、どうしてこうなった…」





『報告、リクト・アルタイルに称号「苦労人」が追加されました。これによって後々にあるイベントが発生します』

次回!恐怖!三人の乙女!?


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