第二十一話:村での休息
日常回はクスリと笑える?ような話が中心です。
ずっのシリアスじゃ肩こりますから(自分が)
クロウと別れ、関所を超えた商団と俺達は、当初の予定通り途中の村に寄って休息を取ることに決めた。
一日だけの泊まりだが、その間に商人達は村人相手にも取引するらしい。
俺達は商人達の計らいで、宿屋代も出して貰った。ここまでしてもらうのは気が引けたけど、商人の人達がどうしてもというから、有難く好意を受け取ることに決めた。
「はぁ〜、本物のアルタイルさんの子孫さんに会えるなんてぇ〜」
あと一つ問題があった、あれからどれだけ否定してもマナが俺をアルタイルの子孫だと言って聞かないんだ。
ネルはそういう能力ということで誤魔化しておいた。(それでも結構怪しんでた)
でもこの子は、何故かそれがカッコイイとか言い出す始末。全然信じてくれない。
せめて口止めくらいはしておかないと…今後厄介事に巻き込まれる可能性が増えてきそうだからな。
あぁそれと、マナの詳しい実力は見ておきたいな。
ネルが言ってたけど、マナがゴブリンロードに立ち向かった時に持ってたのは槍だったらしい。
でも俺がマナの装備を見ても、それらしき物はどこにも無かったんだよなぁ。
姿を見てみても、武器みたいなものは何処にも見当たらないし…いったい何処に武器をしまってるんだ?
「マナって、武器は何を使うんだ?」
「へ?私ですか?」
「あぁ、パーティを組むんなら、仲間の戦い方とか聞いた方がいいと思ったんだけど」
「あぁ、そういう事ですね。私は槍を使ってます、今は持ってないですけど」
いや、武器を携帯していないってのは危険なんじゃ無いのか?
「あれ、重いんですよねぇ。ですから私の異次元倉庫にしまってるんです」
「い、異次元倉庫?」
「はい!便利なんですよ〜」
にっこにっこと笑いながら嬉しそうに話してくる、名前から察するに彼女の能力か何かだろう。
つまり、マナは武器とかの物をそういった空間にしまう事が出来るって事になるな。
「珍しい能力を持ってる、収納系のは初めて見た」
今までベッドに転がっていたネルも会話に参加してきた。
収納系の能力は珍しいのか。なら彼女がパーティに参加したのはかなりの旨味があるな。
これから魔物のドロップアイテムや、魔石とかの物も悩むこと無く回収出来るってことか。
「それなら、迷宮でも腐らない良い能力。私も楽できる」
「やっぱり荷物持ちとしか見られてないです…」
「それが嫌なら、相応の実力を見せる事」
「そ、そうですね!頑張ります!」
迷宮か、やっぱり異世界にはあるよなぁ、そういうの。
「ねえねえ、迷宮って何?」
アマネが二人に聞いたら、マナが驚いたような表情をして、ネルが忘れてたと言わんばかりに表情顔を手で覆った。
いや、分かりますよ?アマネは初心者尚且つ異世界召喚されたばかりってのは。
ですから、そんな当たり前の事を知らないのかという表情はやめたげてよ!
俺?俺はまぁ便利な能力持ってるからね。
「アマネ、RPGのアレだと思えばいい」
「アレと同じでいいの?」
「ああ」
所々違う点はあるけどな、迷宮のラスボス倒せば特典が貰えるとか、迷宮は生きてるとか、そういう感じのが。
「あ、あーるぴーじー?ですか?」
「ああ、余り気にしないでくれ」
「そ、そうです?」
うん、下手にこっちの用語を覚えさせる気は無いからな。
「あぁ、そういえばアルタイルさんも魔王を討伐するです?」
そういえば、クロウも魔王がどうとか言っていた…そこら辺聞いてみるかな。
「魔王討伐って召喚された勇者がするんじゃないのか?」
「勇者だけじゃなくて、有能な冒険者も参加できるんですよ!」
「そっか、でも今はそういうのは考えてないな。冒険者になったばかりだしさ」
「アルタイルさんは新人さんなんです!?」
「俺と、アマネがな」
そりゃ驚かれるよなぁ、ゴブリンロードみたいな奴と戦闘するんだ。確実に強者だと思われる。そして高位ランクの冒険者だとも。
そんな奴がゴブリンロードを倒したとか、信じたく無いよなぁ。
「確信しました!やっぱりアルタイルさんは本当の子孫です!そんな凄い人とパーティを組めるなんて!嬉しいです!」
おいおい…何か勘違いを加速させちゃったか…というか、この子明るいな。パーティメンバー全員一度に失ったからって…
「マナちゃんは凄いね、あんな事があったのに…そんなに元気に振る舞えるなんて」
アマネが羨ましそうな表情をして、マナに聞いた。
やっぱりアマネも思うところがあるんだな、無理もない…#俺もあの光景を思い出したくもないからな。
初めて見た、人の死骸…
あの時は軽い興奮状態だったから良かったものの、あいつを倒して…その後死んだ人間の墓を作る際に、気分が悪くなった。
できればもう、見たくない…
「確かに辛かったです、苦しかったです。でもそんな時でも明るく笑顔でいないと駄目なのです!死んで行った人達の分も、その人達の分も笑って生きていく。それが私が心に決めたことなのです!」
屈託の無い笑顔で、彼女はそう言った。
強いな、この子は。俺も彼女のようにあるべきなんだろう。俺もあの死んで行った人の分まで、この世界で生きていく。
それが生きてる人間の、死んだ人間に出来る事の一つだ。
「そう、だな。その通りだよ。マナ」
「ふふん!です!」
でも、少し褒めたらドヤ顔になるのはムカつく。ムカつくからほっぺた引っ張ってやれ。
「い、いひゃいれふぅ」
「おお、柔らかい…」
むーにゅむゅ。
「所で、目的地に到着したらどうするの?」
確かにそういった目的は伝えておかないとな。
「まずは依頼をやって、不自由無い位の金を手に入れる。そんで家を買おう、でかい家がいいな」
「一つ屋根の下、男女の同棲。リクトは襲う気満々?」
「んな訳無いだろ!?」
「アルタイルさんは私達に興味無いです?」
な、何てことを言うんだこの子は!?
「ああ、それは平気。リクトは寝てるアマネの胸を揉みしだく位には、女性に興味がある」
「ぶふーーー!!?」
「ふぇ!?」
な、何てことを暴露しやがったこの女ぁ!?
「ネルお前!」
「おっと、私も襲う気?しかし私は今は動きたくない。残念だったね」
「クライスさんも襲うです!?ケダモノさんです!!」
「リクト君はそんな事しないよね!?ねっ!?」
あーもう何でこんなことになってんだよ、これも全てネル・クライスって奴の仕業なんだ!
「ね、ねぇ。リクト君」
「何だよ」
「駄目ですカグラさん!ケダモノさんなんですよ!?目が合ったら妊娠させられます!」
「俺はどんな生き物だ!?」
「アルタイルさんなら何があっても不思議じゃありません!」
「同感」
お、お前らぁ…!ま、まぁ確かに?「目が合っても妊娠しない常識」を無視すれば?不可能じゃないけど?
ん?やろうと思えばできるのか……
「そんな事を言うんなら、本当にそうするぞ?」
「さ、流石に冗談…でしょ?」
ネルが顔を真っ赤にしながら布団で顔を隠した。なんだその反応は?火種撒いたのお前等じゃないか。
「やっぱりそうなんですね!それで私達をどうする気なんです!?」
何かこいつ目が輝いてんな。不思議とそう見える。
「言うんです!具体的に!何を!どう!するんですか!?」
「お、おい、落ち着け」
「落ち着いて、いられますかぁ!?」
な、何でこうなる!?
だ、誰か助けてぇ!?
「えいっ」
「あうっ」
あっ、マナが後頭部からアマネに叩かれて気を失った。
ニコニコと笑ってるアマネの表情が、何だか怖い…
「さて、リクト君はさっきの私の胸を揉みしだいた件について、詳しく話を聞こうかな?」
あっ、ヤバイ。何がヤバイってそれは、笑顔なのに目が笑ってない。アニメとか限定だと思ってた現象が俺の目の前で起こってる、死ぬ。冗談抜きで死ぬ!
「ネ……」
「駄目。妊娠はまだ早い」
「助けろよぉぉ!?てか真に受けるなよぉ!?」
「リークートーくーん?お話の時間だよー?」
ひっ………!!!?
にぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
新たな仲間であるマナがパーティにイン!
果たして彼女はどんな戦闘をするのか…乞うご期待!




