第二話:異世界に来て初めてやった事は、開拓する事でした
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異世界召喚されて勇者になった俺達は、宿屋から出発して弱い魔物を討伐した。カズトと俺が前衛、アマネちゃんとスズカちゃんが後衛といった感じで。
流石勇者というべきか、魔法も簡単に使えるし威力も半端じゃなく、弱い魔物…今回はゴブリンだったが、そいつらを一瞬で片付けた。初めて見るゴブリンは本当にゴブリンだったな…
カズト君も敵をバターみたいに切り刻み、勇者らしく魔法を駆使しながら前衛をこなす、正に正統派勇者だった。俺?俺は適性属性無いから魔法は使えないよ。肝心の能力も戦闘じゃ役に立つ訳ないしな。でも幾つかは気付いた事もあるから、今後はそれを課題にして頑張ろうと思う。
魔物を倒した俺達は宿屋に戻って、これからやる事を決め始めた。今の俺達は右も左も分からない状態だから、今後どういう活動方針で行くのかを決めないといけない。
カズト君は一刻も早く魔王を討伐する為に、手っ取り早く名を上げたいらしい。そのために冒険者登録所へ行って冒険者登録をして、依頼を受けるべきだと言う。
確かに俺も冒険者登録をする事には賛成だが、正直俺は魔王を討伐する事はあまり興味は無い。折角異世界召喚されて未知が溢れる世界に辿りついた、これは簡単に考えればチャンスなんだ。
今まで常識だと思っていた、人間には魔法は使えない。魔物なんて存在しないという現実が覆った、正直魔王討伐よりやりたい事は沢山ある。
だけどカズト君は人々を安心させるために一刻も早く魔王を討伐したい、邪悪なる魔王が人々の平安を脅かすのだからとの事。まぁ魔王による被害が出てるならそうした方が良いんだろうけどね、けど魔王は復活してから目立った行動はしていないんだよこれ。
まぁその話は追追して行くとして、今俺はこのパーティをどうやって抜け出そうかと考えている。正義感の塊みたいなカズト君は正直俺には眩しすぎて辛い、少しだけの付き合いだけどこいつは俺の苦手なタイプの人間だって事が分かった。
ダメ元でも良いから、それっぽい事を言って諦めて貰おうかな
「カズト、悪いけど俺はこのパーティを抜けようと思う」
「な、何を言ってるんだ君は!?」
凄い勢いで立ち上がり、大声を出して俺を睨みつける。ちょっとストレートすぎたかな?でも説得はしないといけない。
「まぁ落ち着いてくれ、先ずこのパーティでやって行くにも俺は足を引っ張る。確実にな」
「そんな事は無い!同じ異世界召喚された勇者同士、特別な」
「その特別な力が残念で、適性属性も無い。お前らも薄々気が付いてると思うから言っておく、さっきの魔物との戦いでも俺は全然活躍できなかったからな」
「で、でも」
アマネちゃんが俺をなんとか庇おうとしてるし、カズト君もそれを分かっているのか、唇を噛み締めて悔しそうに拳を机に叩き込んだ。スズカはただクスクスと笑ってるだけで何を考えているのか分からない。
「それに、パーティを離れてもお前達のサポートくらいは出来る筈さ、俺には俺の出来ること、お前達はお前達ができる事をやってくれ」
「そこまで分かっていて、何で…」
カズト君が泣きそうな表情で俺を見つめる、さっきまで睨んでいたのに偉い違いだな、でも俺は決めたからな、それに…少ししか一緒にいなかったけどカズト君は信用できると思った、こいつは良い奴だ。
「俺はお前達が魔王を倒す事を信じているからな、だから俺の分まで頑張ってくれ!」
「なんだよそれ、言ってる事は屑じゃないか」
「心配すんな!自覚はある!」
「プッ、アハハハ!」
さっきまでの暗い顔に笑顔が戻って、カズト君が笑いだしたらアマネちゃんまで笑い出した。
「じゃあこうしよう、お前が抜けるんじゃなくてパーティを二人一組にするんだ。足りない戦力はきっとこの世界の人達が力を貸してくれるからな」
「えっ」
「あっ!それ良い!それ良いよ!!」
は?え?ちょ、待って、俺一人で行動する気満々なんだけど?
「なら私とカズト君、リクト君とアマネちゃんならどうかしら?光に適性があるアマネちゃんなら回復魔法も使えるし、私の適性属性に光は無いからカズト君と一緒が良いわ」
「よし、じゃあそうしよう!」
そうしよう!じゃねえよ!やべえ、計画が狂った、アマネちゃんがいるんなら魔王討伐するとか言うだろうし…正直俺いらないと思ってた程にカズト君は強いし!
「じゃあ今後の方針を決めるよ、俺達は今後この街の冒険者登録所に行こうと思う」
「そうねぇ、私もそれで構わないわ」
「私達はゆっくり考えるよ」
もう…どうにでもなーれ
・・・・・
会議が終わった後、俺は全員には内緒で街の外に出ていた、試したい事があるからだ。
この世界の魔法は、詠唱によって魔力を生み出し魔法を放つという事、詠唱の内容によって個人の適性属性と詠唱が反応して魔力を生み出すといった感じだ。
火属性の初級魔法のファイヤーボールを初めとした火属性魔法は火の適性がないと発動しない、詠唱によって火の魔力が生み出されて、それを魔法が発動されるまでの量まで増幅して、魔法を放つという流れになっているからだ。
例えば火の適性を持ってなくて火属性の魔法詠唱をしても、火の魔力を生み出すことができないから詠唱だけで魔法は失敗に終わる。
そして詠唱が終わり魔法を放つといった時にも制限みたいなのがある、詠唱が終わり魔法を放つのに必要な魔力が貯まり次第に、魔法が即座に発動するんだ。
だからこの世界では適性属性が一つでもあれば魔術師として華やかな道を歩めるということになる。正直使い勝手が悪いと思うけどな、一つの属性しか使えない魔法使いなんて。
でもそのおかげか一つの魔法を極めた人間は強い、それに適性属性が複数ある人間もいるし、一つの属性の魔法の数が思ったよりも大量にある。恐らく一つしか使えないからそれをより研究し続けていった結果だろう。まぁここからが本題だけど
考えていた事がある、俺の能力の常識凌駕についてだ。こいつはこの世界の常識を教えてくれる、俺の中の常識を伸ばすためにな。
だけど俺はこう考える、ここは俺の住んでいた日本と違って異能が存在する世界だから、この世界のルールからは外れているんじゃないかって
実際この世界て俺の価値観はぶっ壊された、魔法が使えない魔物は存在しないという固定観念が壊されたんだ。なら今更壊れるのが増えたって問題は無い筈だ。
そして俺は、思考を初める。
第一何故詠唱をしないと火の魔力を生み出せない?それは誰が決めた?魔法を生み出したとされる人物?違う、詠唱を発見した人物だ。詠唱をした結果偶然にも魔力が生まれ、それをなんとか利用できないかと考えた別の人間がそれを魔法へと変えた。
魔力をどう扱うかのイメージを描き、それを詠唱中に自動的に組み込まれるようにして、魔法を放つ。こうしてこの世界の魔法が生まれた、だけどそれは世間には知らされていない。誰もが詠唱をしないと魔法が使えないと思い込んでるのだ。
これは世界の常識だ、世界が知っているけど人間は知らない常識なんだ。世界が知っている常識なのに人間が知らないなんておかしな話だと思ったけど、それを知った俺はこの能力の意外な使い方を知ることができた。
この能力は、この世界の一般常識の穴を付くことができるんじゃないか?と、もしも適性属性がなくても魔法が使えるならば…俺はそれを証明できる。
詠唱した結果魔力が生み出されたなら、詠唱によって引き出された魔力をなんとかして引き出さないといけない。大事なのは恐らくイメージだ、イメージさえあれば良い。大事なのは信じる事だ、俺ならできるって事を信じるんだ。
「っ!」
来た、何かが俺の中で変わった。まだだ、信じるんだこの感覚を、自分ができるということを。すると身体の内側から力が湧いてくるのを感じた、熱い何かが込み上げてくるのを感じた。
これが魔力?でもこれは…
「ここにきて適性属性の障害か」
魔力なのは間違いないけど、それはただの魔力だ、火の魔力でも水の魔力でもないただの力の塊。試しにそれを具現化してみた。
すると掌の上に透明な塊が生み出された、恐らくこれが魔力なんだろう。
「あ、あれ?」
そういえば詠唱から全てが自動的に進む本来の魔法とは違ってこれは自分の意思で生み出すことができる、つまりこれは
「無詠唱魔法で、しかも存在しない魔法?」
属性が何もない魔力、すなわち無属性。火とか雷とかに耐性がある魔物に無属性の魔法が通るのはゲームで良くある事、そしてこの世界じゃ無属性なんてものは存在しない、つまり
「え?思い付きで無属性作っちゃったの?俺」
適性が何もないという事は、どうやらデメリットだけではないみたいだ。
『報告、新たな魔法属性である無属性が誕生、それによりリクト・アルタイルの称号が追加されます。また、カズト・テンドウのプロフィールも更新されました』
名前 リクト・アルタイル
称号 魔法の開拓者
職業 勇者
特別能力 常識凌駕
適性属性 無
性質 強欲、大鷲




