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第十七話:一閃

リクトVSゴブリンロード、開幕。

 危なかった、あと一歩遅れていたらどうなっていたか…

 二人共、良く頑張ってくれた、良く生きていてくれた。

 全く、本当に嬉しくなるよ。

 だから、今度は俺の番だな。俺の仲間は絶対に俺が助けてみせる。

 それが、仲間ってもんだろ。


「リクト、お前…」


 道中で手を貸してくれた冒険者、名前はクロウって言うんだが、まぁクロウは中々の実力者だった。それこそチートを持ってない俺じゃ勝てない位に。


「下がっていてくれクロウ、こいつは俺がやる」

「何言ってんだよ、お前一人じゃ明らかに勝てないだろうが」


 クロウの言い分も分かるけど、それでもこいつは俺が倒す。倒さないといけない。

 こいつを単独で倒せる程の力が無いと、きっとこの先は生きていけない。

 これは試練だ、あのゴブリンロードの何倍も強いこいつを倒せる程じゃないと、きっと…!


「頼むクロウ、お前は皆を守ってくれ」

「お前…全く、強情な奴だよ。死ぬなよ」

「ああ」


 クロウはネルとアマネともう一人の子を連れて下がって行く。

 不思議だ、頭の中がクリアになってる。

 落ち着いている、不思議と…


「グガァァァァ!!!!」


 奴が吼えたと同時に目の前の地面が抉れる。いや、正確には俺の立っていた位置が抉れた。

 間一髪で俺が後ろに下がったから、今の攻撃を回避できたんだ。


「は、速い!?」


 クロウの驚いた声が聞こえた。

 確かに速い、あのゴブリンロードよりも何倍も。

 でも、俺には見えていた。


 _ここだ_


 頭の中が真っ白になっている。


「ギャア!?」


 自分の直感に従うままに、斬れると思ったタイミングで斬る。

 切れ味がやっぱりあの刀より無いせいか、剣が堅牢な皮膚に阻まれて思ったよりもダメージが通らないな。


「アガウァァァ!!!」


 怒ったような咆哮が聞こえたと同時に、目の前を棍棒が覆い尽くす。

 けど、この程度の面積と威力なら、受け流せば良い。


「グゥァ!?」


 ほら、隙だらけだ。

 剣を逆手に持ち替えて、すれ違いざまに両足のアキレス腱を斬る。

 あ、駄目だ。やっぱり切れ味が足りないから一歩足りないや。


「グ………Gaaaa!!!」


 とうとう理性が無くなった。怒りで目の色が真っ赤に染まり始める。

 まぁ、いいさ。俺もそろそろ全力で行こうと思ってた。


 _無属性魔法発動、刀身を鋭く、丈夫にする。_


 さあ、第二ラウンドだ。


「Gigaaaaaaa!!!!」


 奴は、さっきよりも猛スピードで、尚且つ正確に俺を殺すような攻撃をする。

 うん、回避は無理だなこれ。じゃあ受け流そう。


「グッ!」


 キツ…素の筋力とか諸々が劣ってるからか?まぁ想像以上じゃないけどさ。

 …………?いや、これは


「な、なんて攻撃だ!」


 クロウが焦ったような声をするから、何事かなと思って後ろを見てみる。


 うへぇ、衝撃で立っていた木がグシャグシャになってら、辛うじて立ってるって感じだな。


「馬鹿!余所見しない!」


 後ろを見てたらネルに怒られた。まぁ当然か


「おっと」


 今度の攻撃は完全に回避できた、何だか身体も軽くなってる気がするな。

 というか、全体的に力が上がってる気がする。あの時はゴブリンロードに付いていくのに精一杯だったのに、今じゃ簡単に捉えれるんだから。


「まぁ、油断はしないけど」


 油断はしないけど、別に倒せればそれでいいんだから。

 切れ味が強化されたこの剣で、先ずは奴の攻撃を受け流す。


「Agaaaaaa!!!!」


 猛攻、瞬きする暇も無い程の連続攻撃。正直言って凄いおっかないな。

 まぁ、今も全然余裕というか、不思議と頭がクリアな状態になってるせいで。


 穴を見つけられるんだよな。


「そこだ」


 奴が攻撃をした瞬間の武器を持つ手、そこに突きを放つ。

 それは、見事に奴の指を切断した。


「Agaaaa!!!」


 ドンピシャだ。奴はもう武器を使えない。


「う、嘘っ!?」

「ありえない、あの速度の連撃を防ぐだけでも凄いのに、そこにカウンターを打ち込むなんて!?」

「凄い!凄いよリクト君!」

「こんなに、あっさり…私の苦労は…?」


 でも奴は戦意を失ってないな。

 まだ立ち向かってくる、武器を使えないなら格闘で相手をするってか?


「クソッ!」


 速い、さっきよりも何倍も速く蹴りが飛んでくる。

 面積は狭まったから回避しやすいし、相手の右手の指も無くなったから、左手でしかパンチが飛んでこないから予測も立てやすいとはいえ…こんなに違うのか!

 こんなんなら、武器を使ってくれた方がやりやすかった!


「リクト!」


 視界の端で、アマネが文字詠唱を使用としたのが見えた。


「ネルちゃん!待って!」

「でもリクトが危ない!」

「リクト君は任せてくれって言ってた!私はそれを信じたいの!」

「それが原因でリクトを死なせたくない!」

「お願いネルちゃん!リクト君を…リクト君を信じて!」


 心配してくれるのか?ネル…結構意外だな…へへっ。

 何か嬉しいな。


「リクト!油断するな!奴は何かを狙っている!」


 クロウの声に気を引き締める、狙っているって何をこの状況で…?



 なっ



「し、しまった!リクト!!」


 迂闊、奴の落とした棍棒に足を躓いて体制が崩れた。

 奴はそれを見てがニヤリと笑って、飛び上がって俺を踏みつけようとした。


 誘導されたって事か、それでこれがお前の切り札って訳か!


「駄目だ、詠唱が間に合わなっ!」


 けどなぁ、俺にも切り札はあるんだよ!



「無属性!」


 無属性魔法によるブースト、剣先から魔力が放出されて俺の身体を飛ばしてくれる。


「なっ、何だ!?」

「また、リクトの能力(スキル)ッ!」

「Gya!?」


 奴も予想外だったんだろう。俺がいた場所を踏みつけてから一瞬周囲を見渡した。

 隙だらけだぜ!


「頼らないって決めた矢先だけど!頼らせて貰うぜ鷲の刀ァ!!!」


 剣をしまって、刀の柄を手に取り居合の形を取る。

 そして、魔力を放出させる。すると俺の刀の周囲を風が纏い始める。

 俺は無属性のままで出してるのに…ということはこの刀は風の属性を持った武器って事か?

 なら、話は早い!


「一閃!!」


 すれ違いざまに、一閃する。

 刀は軽く、振りやすかった。居合なんてやった事が無い俺でも居合もどきの攻撃ができる程には。そして




 奴は上半身と下半身が真っ二つに別れ、絶命した。










 ☆ ☆ ☆



「ハァ、ハァ、ハァ」


 もっと苦戦するかと思ったけど、刀を抜いたらこんなもんか。

 やっぱり性能が段違いだな、この刀…俺の力で何か分からないかな。


 ちょっと確認しようか



「リクト!」

「ぐへぇ!?」


 痛った!思いっきり鳩尾入ったんですけど!アマネももう少し勢い弱く…って


「ネ、ネル?」

「馬鹿、馬鹿、馬鹿、本当に、馬鹿!」


 い、意外だ。いやマジで…こういうのはアマネの役割じゃ無かったのか?

 あ、アマネ見てみるとあっちもポカーンとしてら。やっぱり意外だったんだな。


「来るの遅いし、来たら来たで無茶するし、変な能力(スキル)使うし、馬鹿馬鹿馬鹿!!」

「お、おう。えっと…」


 ど、どうしたら良いんでしょうか?


「ひぐっ、えぐっ、うっ、えうっ、」


 な、泣き出しちゃったんですが…取り敢えず頭撫でとこう。こういうのは何も聞かずにそっとしておくのが一番良いからな。


「う、うぅ、うわぁぁぁぁ!!!」


 それにしても………お前にもこんな一面があったのな。ネル………

















『報告、リクト・アルタイルが初めてA級モンスターを討伐した為、称号「強者に挑む者」を獲得しました』

開幕と同時に退場するゴブリンロード、チートだからね、仕方ないね!


着々とリクトハーレムが進んで行きます。えぇ。


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