第十話:能力は意外とチートでした
この小説のヒロインは、全員何かしら抱えてたり…
困った事になった、非常に困った事に
な!
何故こんなチート能力に進化したかは分からないけど、これは強すぎる。
常識凌駕の新たな能力である常識を無視するという力、つまりはこの能力を使えば俺に出来ない事は無いって事になる。
この世界の常識の範囲内だけだと思うが、それも常識を伸ばすという元々の効果のおかげで、自分の中の…いや、世界の常識すら伸ばす事が可能だ。
使い方次第じゃあ最強になる可能性がある…が、欠点もきちんとある。
まず一つ、これは無視した常識の度合いによって疲労が激しく溜まる事。
魔法を使わず魔法を使わないと出来ない事をやると、世界の常識に逆らっている影響か、酷く疲れた。
疲労程度ですむのは良いんだろうな、下手に常識を無視すると、恐らくこれ以上のペナルティがあるかもしれない。
だが、これは真っ向から無視した場合に限る。ある程度の常識に沿ってそれを少しだけ無視したら、リスクはある程度軽減できる事が判明した。
俺が無属性魔法を使えるのも、無属性魔法が扱える可能性の範囲で、常識を無視したからだ。
無属性を使うには、詠唱を行わない事だ。既存の詠唱をすれば必ず属性が付いてしまう。
また、詠唱には適性属性が関わってくる為に適性属性が無い俺には詠唱は出来ても魔法を生み出す事は出来ない。
まぁその常識を無視した結果が無属性なんだけどな。そして無属性にはもう一つ特長がある。
全ての属性は無属性から付与されるもの。故に無属性は全ての属性に変化できる。けど俺には適性属性は無い、そこで常識凌駕の出番だ。
無属性の魔力を練った後に、常識凌駕を使って属性を付ける事ができる。たとえその属性適性が存在しなくても。
俺はこれを無意識にやってたから、あの時に炎の魔法剣ができたんだろう。疲労の度合いも他のに比べれば軽い方だ。だけどこればっかりは慣れるしか無いな。
とりあえず検証は終わった。今後の予定を立てるために宿に戻ろう。
☆ ☆ ☆
「あ、お帰り」
「お帰り」
「ああ、ただいま」
宿に戻ると、二人はトランプで遊んでいた。机の上に十枚のカードが並べられている事から見て、ポーカーでもやってるのか?まぁ良いけど。
ポーカーが終わるまで待ってるか。
「じゃあ始めちゃおうか、これからの事の話し合い」
「うん」
すると二人はトランプを片付け始めた、別に俺は待ってるのに…
「気を使わせてごめんな」
「ううん、気にしないで?」
「別に、暇潰してた程度だし」
何か二人に悪いな…まぁ、良いって言ってくれるなら話をしようか。
「えっと、俺の中に二つプランがあるんだ、出発は明日にして早めに出るか、万全の準備をしてから出るか。あ、目的地はクヴェランド王国な」
「クヴェランドって、ネルちゃんが言ってた平和な国?」
「ああ、先ずはそこで俺達のパーティの拠点を作ろうと思ってさ」
宿屋に戻る途中、常識凌駕の常識を伸ばす力で、この世界の常識をある程度調べていると、有名なパーティはリオナオン王国で拠点を作ってる事が分かった。
けど、リオナオン王国で拠点を作るのは、軍事国家という事から何か嫌な出来事に巻き込まれそうな予感がするから、比較的平和な方に拠点を作りたいと思ったからだ。
まぁ常識凌駕で分かるのは最低限の情報だけだけどな。
「クヴェランドに行くには国境を超える必要がある、ステータスカードがあれば問題は無い」
「手数料とかは?」
「一人につき銀貨十枚」
銀貨十枚か、この世界じゃあ金貨一枚=元の世界の一千万円だ、ちなみに銀貨一枚千円で、銅貨一枚一円だ。
「それ位なら、何とか出せるな」
「金銭面は問題無い、次は宿」
「えっと、クヴェランドの主要都市って?」
「首都リーンネイション、けれど国境からは少し時間がかかる。そこで途中の村で宿をとろう」
クヴェランドの首都リーンネイション、そこに辿り着くのが俺たちの目標だな。
「私としては明後日の出発が望ましい、丁度そこから私は動けるから」
「ネルちゃんにも事情があるの?」
「色々と」
ネル…いや、ネールディラスか。こいつも謎が多いんだよなぁ、俺達には偽名を使って、そんでかなりの実力を持った魔法使い。
ギルドからもA級(実はそこまで難易度は無い)クラスの依頼を任される程。
まぁいつか話してくれるのをゆっくり待つか、俺は俺でやりたい事の為に動くからな。
ここからだ、ここから俺の異世界物語が始まる。
元の世界じゃやりたくても出来なかった事だからな。
だから、この世界じゃ後悔しない人生を…送りたいな。
今度こそ、俺は縛られない生活をするんだ
☆ ☆ ☆
「なーんて事を考えてそうだよねぇ、私の想像通りの人なら」
豪華な飾り付けが施された部屋、そこに少女レリィはいた。
「うんうん、世界が変わったのが分かったよ、凄い力だなぁ…この世界に干渉する能力だなんて、本当に凄い」
少女はリクトが力を使ったのを分かっていた。それは少女がそれ相応の力を持っているから分かった事だ。
「えへへへ♪本当に凄いなぁ、この力なら私の同類確定だよ、でも本当に私と相性が良い力だなぁ」
レリィは楽しそうに。そう呟く。
「私と君は絶対に引き合うよ♪だってそれが運命だから、だから会ったときは覚悟してね?私から離れられなくしてあげるよ」
瞬間、部屋の扉が勢い良く開けられた。
そこには一人の青年が大剣を持ち、血走った目でレリィを睨みつけた。
「レリィ・T・アマテラス!お前のせいで僕の仲間が滅茶苦茶に!!」
青年は憎しみが宿る瞳でレリィを睨みつけ、駆け出した。
「うわぁぁぁぁぁ!!!!」
そして、大剣を思い切り振りかぶり、それを降ろそうと
できなかった。
「私に挑むなんて、余程憎しみが強かったの?でも君の事は知らないし、興味がないんだ」
レリィはゆっくりと立ち上がり、青年に近寄る
「可愛いね♪」
レリィは青年の耳元でそう呟く、その瞬間青年は武器を落とした
「っ………」
「でもごめんね?私もう好きな人出来ちゃったから」
君の物にはなれないんだ______
レリィの部屋を襲撃した青年は、路地裏で保護された。
意識はあるが、その精神は既に崩壊していた。その症状はある男達と同じ物、虚空を見つめ、だらしなく涎を垂らし、恍惚の表情を浮かべていた。
レリィ・T・アマテラス。
彼女はその国では、男性は関わってはいけないという暗黙の了解が存在した。
彼女と関わった男性は、例外無く心を奪われ、廃人にされる。
気に入った男性は存在しない、全てが等しい存在___だった。
彼女の興味を引く者が現れるまでは
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