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せっけん

作者: 雪つむじ
掲載日:2015/05/23

最初に会った時から、ずっと、君はそうだった。

何にしたって、世界の汚れはもう。

自分が引き受けるんだって、そんな顔して。

きみは、もう、自分の居場所はここだって顔をして、そこに居たんだ。


それなのに、君の体ったら。

初めて会った時から、苦しそうに。

もう、弓なりにのけ反って。

そんなに、グイって曲がらなくたってさ、大丈夫だよって。

言った言葉も聞こえないふり、したんだ。


時折、君は。

僕の知らないところで、涙を流していた。

僕はそれに、気付いていたよ?

君を見た時、君の下が、涙で濡れていたことがあったから。

のけぞった体の上に、満々と涙をたたえているのだって。

たまに、そういうことがあることを。

内緒だけど、僕はみたことがある。

涙をたたえて。

それを、こぼさないようにして。

我慢して、我慢して。

それこそ、涙の縁に、泡を立てて、どうにか持ちこたえている。

そんな君を見ているのに。

その涙を、流させてあげることを、僕はしなかった。


久しぶりに、君を見た時。

もう、君は、小さく、小さく、しぼんでしまって。

もう、その体は、薄く、薄く、削れてしまって。

それでも、弓なりに、反っている所だけは、相変わらずだった。

手を伸ばして、何とかつかみ取ろうとしたけれど。

そんなことは、できないよって顔をして。

君は、排水溝の先へ。


どうして、逃げてしまったんだい?

穴を覗き込んで。

不謹慎だと思いながら、僕はそう叫んだ。

ねぇ、掴んだものが、するするって逃げていく時にはさ。

するするって行くのは、どんな気持ちでするするしている?

ごめんね、小さくなるまで、ごしごしして。

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