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欠陥神話  作者: 澪標ぜろ
5/10

不運《ラッキー》

Side???


もう、どうしていいのか、わからない。ねえ、××××さん、どうして、どうして、ねえ、どうして私以外の女の子の隣で、そんなに楽しそうに笑っているの?なんで、貴方の隣で笑っているのは私じゃないの?貴方は私に言ってくれたよね、「愛してる」って。あの言葉は嘘だったの?貴方の恋人は、貴方にとっての1番は、私じゃないの?なんで、そんな冷たい目で私を見るの?もういらない、邪魔だって言ってるみたいに。私、なにか貴方に嫌われるようなこと、した?なんで、私以外の女の子に「愛してる」って、言ってるの?


貴方にとって、愛してるって、そんなに軽い言葉だったんだね。便利な道具だったんだね。それを真面目に受け取って、貴方のただの遊びにこんなに踊らされて、挙句の果てには捨てることすら忘れられる。いっそのこと、捨てられてしまえば楽だったのに。私、馬鹿みたい。

…………ねえ、××××さんにとって、私はなんだったの?いつでも使い捨てられる消耗品の人形程度にしか考えられてなかった?

…………ははっ……もう、涙も出てこないや。


………××××さん、私は貴方を本気で愛してました。貴方の微笑んだ顔や、漆黒の髪、鮮やかな真紅に染まった両目、髪の毛一本から、つま先まで全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て全て――――――大好きだった。



なのに、貴方はどうして、どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして………………………どうして……?


















side 雨織



「わたし達達の大罪は『悪食』。全てを飲み込み、支配する者。………………改めてよろしくね、『嫉妬』のお姉ちゃん。」


……全てを飲み込む"悪食"か………なるほど、"傲慢"、"悪食"、"嫉妬" 、そして"大罪"。ここまでキーワードが揃うと、いくら鈍感な人間でもわかるだろう。私も、ある程度は予想がつく。人間の負の感情を司る『七つの大罪』。これに人物を当てはめているのだろう。……………ということは、最低でもあと4人、滞在になぞらえた人達がいるのか……はっきり言ってめんどくさいね…………


私が自分の考察にうんざりしながら四五に、「こちらこそ改めてよろしくお願いするよ、四五ちゃん、九十ちゃん」と返事を返すと四五は満足そうな顔で一度頷いた。

「じゃあ、用も済んだし、"傲慢"のところにいこっか!………あーあ、遅くなっちゃったから機嫌悪いだろーな、あのおっさん」

…………どうやら"傲慢"なる人物はお年を召した男性らしい。そしてはっきり言って、遅くなったどころではない気がする。私が最初のモノクロの部屋で目覚めたのは昼頃、それに対して今現在、窓から外を見ると空はあかね色に染まっている。いくら気の長い人間でもそう何時間も待つことができるだろうか………


「四五ちゃん、いくらなんでも待たせすぎではないかい……?機嫌悪いどころでは済まないんじゃないか?」

「……ん?ああ、大丈夫大丈夫。あのおっさんだからそのへんの心配はいらないよ!」

軽くあしらわれてしまった。大丈夫な理屈はイマイチよくわからないがとりあえずは大丈夫らしい。………こんな長時間待たせても怒らないなんて、"傲慢"の人柄が心配だ。


「んじゃ、いっきまーす!」

と、ドアを開け、部屋から出ていく四五。私はすぐに後を追う。またはぐれるのは御免だ、今度は見失わないようにしないと……


多少の意気込みをしながら四五のあとをついていくと(九十は私の隣にいる)、さきほどのT字路についた。


「それにしてもお姉ちゃん、強運だね。」

T字路を真っ直ぐ進みながら唐突に四五は話を切り出した。

…………あ、なるほど。あのとき、『右』じゃなくて『左』に進めばよかったのか。

「強運…………どういうことだい?」

「…………だってさ、さっきの角をこちら側に進んでないでしょ?」

「確かに、こちら側には来ていないが……それが一体どうしたと…「お姉ちゃん、ちょっと危ないよ」…え…?」


ガッシャーーン………


私が再度、四五に問いつめようとしたその時、

「………………ほんとに、あのおっさん毎回毎回めんどくさいなー…もう……」

私の先を行く四五の頭上から、なにか畳1枚ほどの大きさの鉄の塊が落ちてきた。…………あれは、形状から推測するにギロチンの刃…?なんで、そんなものが…侵入者対策だろうか……?

いきなりギロチンの刃が落ちてきたことにももちろん驚いたが、さらに驚くべきことにギロチンの刃の攻撃を受けた四五は上から落ちてきたギロチンの刃を「手に持つ和包丁で弾いていた。」四五の隣の床には弾かれたギロチンの刃が深々と刺さっている。…………あんな小さい体のどこにこんな力があるのだろう……


『四五、おみごとー!!』

隣で九十が手を叩きながらはしゃいでいる。この九十の慣れきった反応と、さきほどの四五の発言を踏まえると、このギロチンの刃が落ちてくる現象は今回に限ってではないらしい。これがここの通路を通るたびに落ちてくるのだとしたら、面倒くさいことこの上ない。

私は床に深々と刺さっているギロチンの刃の横目に、ギロチンを受け止めた腕をまわしたり、軽く揉んだりしている(やはり、多少ダメージはあったぼだろう)四五のそばにいき、試しに四五の腕をつかんでみた。………なるほど、細い。曲げたら折れそうである。


「お姉ちゃん、どうしたの?」

四五が不思議そうな顔で私に聞いてきた。それはそうか。

「いや、この細い腕のどこにさっきのような力があるのかと思ってね。」

「力………?……ああ、なるほど、それは当たり前のことだよお姉ちゃん。」

四五がケラケラと笑いながら言う。……当たり前?

「当たり前とは?」

「んー…説明するのは面倒くさいから、そこらへんは全て"傲慢"に聞いてー。ま、とにかく、私たちとお姉ちゃんとでは決定的に違うんだよ。」

「違う………ねえ……」

「そう、違うの。」

「ふーん……あ、さっき四五ちゃんが言っていた強運というのは、このことか。」


ふっ…とさきほどの四五の「強運だね」という言葉が脳裏をよぎった。確かに、あのときこちら側に曲がっていたら私はこのギロチンの餌食になっていた。



T字路を左に曲がる私、そして私の脳天めがけて落ちてくるギロチンの刃。

砕けた頭蓋から脳漿が飛び散る。ギロチンの刃は私の頭蓋を割るだけでは済まさず、体もまっぷたつに裂く。臓器が辺り一面にばらまかれる。きっと、痛みなど感じずに、即死だろう。



------ああ、なんて《 羨ましい》--------


ドク…ン…


「……………っつ………!」

鮮明な『死』のイメージと共に起きる、例の発作。くそっ……最近は起きていなかったから油断していたよ……………


「お姉ちゃん……?」『どうしたのー?』

私の様子がおかしいことに気づいたのか、四五と九十がこちらを見ている。


「…いや、特になにもないよ?それよりも…"傲慢"はどこだい?」

2人にこの体質を悟られてはいけない。私は強引に話の話題を変える。


「あ、えと、この先にある部屋の中にいるよ。」

「そうか…やっと、会えるのか……さあ、行こう、相手も待ちくたびれている。」


私は襲い来る発作を必死に押さえつけながら、傲慢の部屋へ、急いだ。

閲覧ありがとうございます!こんにちは澪標です。

今回は前半を特に頑張ってみました。

雨織、頑張れーといいたくなるような回です。



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