蛇の罠
「…………え……」
大至急私氏、状況確認。なぜ私はベッドに倒れ込んでる??……答えは明瞭。押し倒されたから。では次 。私を押し倒した目の前の銀髪は誰だ。こんな青年を私は知らない。脳内に候補としてはルーフェ、というものが一番に出たのだが、ルーフェは蛇のはずだ。人の言葉を喋りはしたが、外見は蛇のはずだ。
……蛇のはずだったんだけどね…
「ルーフェ、かい??」
私はベッドに倒れ込んだまま、私を見下ろしているルーフェであろう人物に問いかける。
「ああ、そうだぜ。ってか、他に誰がいるんだ。」
ククッと笑いながら、ルーフェが答える。笑った際に揺れた白銀の髪が部屋の明かりを反射し、キラキラと光る。
妙に、その姿に惹きつけられた。
「姿、変えられるのかい…?」
「ああ、基本何にでもなれるぜ。お望みだったら変えてやるぞ??何がいい。…ああ、女だったら白馬とかか?…最も、冠被った王子なんてご大層な代物はここにはいないけどな。」
いかにも傑作だ、と言わんばかりにルーフェがニヤニヤと笑う。普通、こんな馬鹿にされたようなセリフ、人に言われたら不快に思うはずだ。「なんて失礼な物言いだ。」と。だが、不思議なことに先ほどのルーフェの発言に対して、私は不快の感情も、苛立ちの感情もなにも湧いてこなかった。………むしろ、
「……綺麗……」
その人を小馬鹿にするような笑い顔が美しい、と思ってしまった。
「ああ?どうしたんだよ雨織。俺の顔がなんか変か?」
「あ…いや……」
ルーフェが顔を近づけてくる。その一挙一動に目が離せない。いきなりファーストネームで呼ばれたことすらも、気にかからなかった。
「大丈夫、だよ……」
どうにか声を絞り出す。
視線が、頭が、身体が、動かない。骨の髄まで目の前のこの男に支配されているようだ。しかし、支配されていることに不快感は感じない。むしろ、一種の心地よささえも感じていた。頭がぼーっとする。
「おーい雨織??聞こえているか??」
ぺしぺしとルーフェが私の頬を数回軽く叩く。
「うん……大丈夫だよ……ルーフェ…」
すでに私の脳は半分機能していない。その脳に聞こえるのは自分の声とは思えないほどの甘ったるい猫撫で声。
「…………やっと、効いてきたか。『確定相愛』が……」
ルーフェは顔を私の顔から離し、悪人じみた表情を浮かべる。
「俺の『能力』………『確定相愛』…俺の意思で自由に相手の恋愛感情を操ることができる能力…ククッ……疑いようもないほどに"色欲"だよなァ……」
………『確定相愛』……?恋愛感情を操る能力………?じゃあ私の『これ』もルーフェの…………………
ああ、もう何も考えられない。何もかもどうだっていいや。今はルーフェに…………
ルーフェ、以外のことは考えられなくなってきた。ただ、ただ、目の前の白銀が愛おしい。そんなに強い力で叩かれた訳でもないのにも関わらず、先ほど叩かれた頬が熱を帯びる。
ルーフェの口からでる言葉が麻薬となり、私の脳髄を支配する。
これ以上ないと思える程の、快感だった。
--もっと、この快感がほしい…
「ルーフェぇ……」
「ん?…なんだ。」
「もっと………………」
私はルーフェに向かって手を伸ばす。ルーフェはそれに答えるように私の手を握ってくれた。
私はその手を引っぱり私の顔に近付け 、ルーフェの手のひらを私の頬にくっつけさせた。
「どうした雨織。」
「もっと……もっと触って?」
「………………………」
「ねえ……だめ…?」
「…いいんだな…?」
ルーフェがセリフは確かめるような、だが口調はもうそれは決定事項であるかのように、いう。
「うん………だから、早く……」
「オーケー、……上手く堕ちてくれたな。」
ルーフェは私の上に私の頭の横に手を置き、私に多い被さる形でベッドに四つん這いになった。そして私の制服をたくしあげ、顕になった私の腹に、噛みつくようなキスした。
お久しぶりです。澪標です。
今回は色欲さんのターン!
次回はもしかしたら、ちょっと年齢制限がかかるかも……?
年齢制限がかかったやつを読まなくても話は繋がるようにはします。