プロローグ
この世で一番嫌いなものは?と聞かれたらキミならどう答えるだろうか?動物、食べ物、スポーツ、乗り物、人の名前を挙げるヤツもいるかもね。まあ、人の数だけ種類があると思うよ。
私はと言うと、自分が一番嫌いだ。目も耳も髪も胸も腹も足も、性格も、この私を司るもの全てが全て大嫌いだ。極端な話、この世に存在する人間は全て同じ外見でいいと思っているよ。……え?それは流石に言い過ぎだって?ごそれは済まないね、たしかに同じ顔の人間しか居なかったら気持ち悪いね。
要するにね、私は自分に対して異常な程のコンプレックス、もしくは他人に対する「嫉妬」を持っているんだ。
ホントにコレは異常だよ。……なに?そこまで言う必要は無いって?いやいや、私は異常さ。例えばだ、キミは他人への「嫉妬」と自分へのコンプレックスのあまり過呼吸になって倒れたことがあるかい?"正常"な人間ならそんな経験あるはずがないと思うよ。しかも一回だけでも異常なのに、こんなことが度々起こるんだ。こんな私を異常と呼ばずになんと呼ぶんだい?
……まあ、最近はだいぶ感情をコントロールできるようになったから倒れることは少なくなったね。ふらつきはするけど。
……そうそう、話は変わるけどキミは「七つの大罪」を知っているかい?キリスト教の用語なんだけど。 人が誰しも少なからず持っている七つの罪。「傲慢」「嫉妬」「憤怒」「怠惰」「強欲」「暴食」「色欲」の七つのことだよ。
この世に生きるもの誰しもが少なからず持っている七つの罪…のはずなんだけど私は不思議なことに「嫉妬」以外の感情が あまり表面にでてこないんだ。自己愛精神なんてもちろん持っていないし、何かに激怒することなんてない。面倒なこともとりあえずはやるし、何かを強く渇望したこともない。食はむしろ細いほうだし、他人に欲情したこともない。私にあるのは、狂おしいほどに溢れかえった醜く、穢らわしい「嫉妬」の感情のみ。
「嫉妬」。これが私、時雨 雨織(しぐれ あまおり)を形作る全てと言ってもいい。
………思ったより話が長くなってしまったね。ここまで私の話を聞いてくれてありがとう。"サイゴ"にキミと話せてよかったよ。話せたと言っても私が一方的に喋ってただけだけどさ。
ところで私の現在位置は私の学校の屋上、フェンスの外側だ。……私がこれから何をするのか察しがついたかな?反対意見は聞かないよ。これは私が決めたこと。私はこの「嫉妬」の人生に終止符を打つ。ありきたりな言葉だけど、もう生きていくのに疲れたんだ。
バイバイ、愛すべきはずだった世界。 大嫌いだったよ。
私が屋上から身を投げようとした、そのとき、
「御前を失礼いたします。我らが『嫉妬』の君。」
いきなり「目の前」に現れた金髪の爽やか系イケメンは、恭しく私に一礼した。
着ている服が燕尾服なもんだから、礼もすごく様になっている。
……でもね、1つ言わせてもらうと貴方が立っているそこ空中だよ? なんで立っていられるんだい?
私が急な事態に唖然としていると、イケメンは更に言葉を重ねた。
「お初にお目にかかります。『嫉妬』の君。挨拶もそこそこで失礼いたしますが『大罪』の皆様が貴女様を連れてこい、とのことです。ご同行お願いいたします。」
……このイケメンは何を言っているんだ。
いや、お願いいたしますって言われたって状況が一切わからないよ…そもそも『大罪』の皆様って誰だい…?
私がなかなか返事をできないでいると、イケメンは面倒くさい、とでも言いたそうなため息を一つ吐き、
「時間がございませんので少々失礼いたします」
と言うが否や、
いきなり私の腹を殴りやがった。
腹部への刹那の激痛。
なんかもう失礼を通りこしている気がする。飛び降りる前に殴られた痛みで死にそうだ。
薄れゆく意識のなか、最後にみえた彼の背中には純白の羽が生えていた気がした……
初めまして!!澪標ぜろと申します。私の小説の閲覧、ありがとうございます!!
この度は初めての小説投稿。緊張しました:(;゛゜'ω゜'):
今回は初回ということで、プロローグです。
読んでいただいた方にはおわかりになられるかと思いますが、基本的には話は暗いです。私の趣味全開で執筆しております。
楽しく執筆ができたら幸いです。
………………さて、短いですがここであとがきを終了させていただきます。
次回からいよいよ本編。
気合を入れて頑張っていこうと思います٩( 'ω' )و