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魔女の日記  作者: 和砂
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7ページ目


『○月×日 異世界十八週目

 きゃあ。バレちゃったわ、バレちゃったわ。どうしましょう、ルオス、だいぶ怒っていたわよ!?

 すっごい顔で仁王立ちしていたものだから、顔見た瞬間、思わず、リスト持って逃げて来ちゃったじゃない。あぁ、怖いわ。帰ったら、間違いなく、不機嫌そうなのに、ひとっ事もなく、無言で睨み付けてくることでしょう。でも、とっさに精一杯説明しようとして、「お小遣い、いっぱい」って苦笑いしてしまったけれど、これは火に油を注いだわね。迂闊だったわ。お昼間の散歩が終わってすぐリスト作っていたから、彼があんなに早く帰ってくるなんて、予想外だったのよ。

 パン屋の方を窺ってみる。あぁ、嫌。まだ家の外で待ちかまえているじゃない。しつこい男は、嫌われるのよ。帰れなかったらどうしてくれましょう。野宿決定じゃない。こそっと通りの角から眺めていると、あら、失敗。目が合っちゃった。でも逃げるのも癪だし、いいわ。正面から喧嘩を売ってあげる。

 「レイナ…」と静かな怒声。相当怒っているわね。でも、お生憎様。私、負ける気がしないし、そのつもりもないの。ルオスって身体が大きいから、家に入る時邪魔だったけど、つんと無視してあげたわ。すると、しっかり両手に持ったリストに手を伸ばしてきたから、足を踏んでやったわ。そして、きっと睨み付けて、―――…あ、少しだけ怯んだ。OK、OK。少しお話し合いをしましょう。私がどれほど成果を上げているか、きっちり教えてあげるわ。恋愛ベタさん。』








『○月×日 異世界十九週目

 前の週に、二日かけて話し合いをした結果、私に言い負かされたルオス。当然。これは、恋に悩める乙女と孤独な殿方には必要な物なのよ。それから晴れて恋人斡旋をする私。ちょっと裏事情に通じてしまった気分よ。

 うーん。でもルオスには、ちょっとだけ可哀想だったかしら。ほら、彼っていい年して、恋人いないじゃない。僻みや妬みも、ちょっとだけあったんじゃないかしら。まぁ、自他共に認める堅物らしいから、そんな事はないかもしれないけれど。

 気の毒だと思うけれど、それとこれとは話が別。

 早速、私はお風呂場の前に立った。カードと勘をフル活用。失敗したら、私も気まずいものね。スパーンと扉を開ける。中には湯船に浸かり、こちらを見て驚いたようなルオス。ごめんなさい、ダーリン。最近の女子高生は、ちょっとだけ、おませさんなの。

 というわけで、「激写!」 ---即座に扉を閉める、私。

 後から、「レイナ―――!!!!!」って叫び声が聞こえたけれど、無視よ、無視。』








『○月×日 異世界二十週目

 異世界生活、五ヶ月目。もうすぐ半年経つのね。何だか感慨深いわ。今日は休日だから、そっと部屋の窓から外を眺めてみる。日差しが暖かくて、眠くなっちゃう。でも、私は寝むれないの。後ろには、眉根を寄せて、不機嫌なルオス。

 うふふ。悪戯ばかりしないように、しばらく監視されることになっちゃったわ。後ろを振り向いて、「怒る、良くない」と言ってやる。でもルオスはぴくりとも表情を動かさないのよね。うぅ、負けちゃ駄目。

 やっぱり、前に入浴シーンを激写しちゃったのが良くなかったのね、わかっていたけれど。下半身は取っていないんだから、犬に噛まれたとでも思って諦めて頂戴。それか、春を売ったとでも。え、何。なお悪い?

 良いじゃない。”警察官ガーディアン”の副官長は人気者だったのよ。あの後、注文殺到したわ。下手に恋人を作らない貴方も悪いのよ。手がつかない初物だから、皆、目の色変えるんだから。…何、そう言う問題じゃない?

 えぇ、わかっているわよ。ごめんなさい、謝るわ。だから、そんな風に圧力かけて責めるのは止めて頂戴。これからは、入浴シーンは手を出さないから。え、他?

 ………。あぁ、もぅ、わかったわよ。もっと健全にするわ。許可貰ってからじゃないと、半裸なんて撮らないわよ。え、何、駄目?

 ちょっと、ルオス。どうしてよ。あ、やめて、返して。それは大事な物なの。あぁ、駄目、駄目。リスト返してったらぁっ!!!』








『○月×日 異世界二十一週目

 再び娯楽を奪われた、私。ちくしょう、ルオスめ。寂しい独り身だからって、酷すぎるわ。そんなこと言うと、「そういう問題じゃない」って溜め息吐かれる。お陰で退屈だわ。逆ナンでもして、“刺激を求めろ”って事かしら。じゃあ、早速行動してあげるわよ。

 そうして夕方街角で待っていると、声をかけられる。私もまだ捨てたもんじゃないわね。ちょっと安心したわ。言葉がたどたどしいのも受けたみたいね。でも、何か嫌な感じだわ。あのね、私、別に売春やら援助交際しているわけじゃないのよ。見かけが派手だから、恐らくそういう風に見えるんでしょうけれど。

 あぁ、止め、止め。興ざめだわ。そうして帰ろうとするけれど、放してくれない。ちょっとむっとして振り払おうとしたら、反対側から腰を抱き寄せられた。片方の頬が合わさって、ちらりと見たら…あら、レクタじゃない。美男子だし、この街でも有名な金持ちの息子、と、彼がその魅力的な笑顔と口先八丁で、周囲に居た男たちはどっかに行ってしまう。それと入れ替わりにやってきたのが、ルオスだったから、私、驚いちゃったわ。貴方達、タイプは違うのに、本当に仲が良いのね…。

 そして、レクタとルオスの両方から怒られちゃった。そうね、レクタ。貴方には感謝したいわ。”警察官ガーディアン”のルオスを呼んで、機転を利かせて危ない所を助けてくれたもの。でもね、ルオスは呼んじゃ駄目だったのよ。お説教中、むくれていたのがわかったのか、苦笑混じりのため息を吐いたレクタが喫茶店に誘ってくれた。ルオスが変な顔していたけれど、貴方より彼の方が紳士よ。もう少し、女性の扱い方を勉強するべきね。』


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