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16話 ドキドキ?水泳授業

夏、それは光り輝く青春の季節。

青春とは何ぞやと、具体的に言うと、アレですよアレ。


今日は、水泳の授業があるのです。


水泳の授業と言うと、野暮ったいスクール水着で、だらだらと適当にプールに入るだけだと思うだろう?ふっふっふ、うちの学校は違うのだ。いや、授業内容はだらだら遊ぶだけという情報は得ているが、問題はそこじゃない。


なんと、私物の水着でも参加おっけーなのですよ。

大多数は、スクール水着かもしれないが、月夜さんは絶対私物の水着だ。だって、お嬢様だからね。それも、きっと目に毒ないけない水着だ。

優しい友人の水着姿を想像して、わくわくしてはいけないと思う。

だがしかし、これがわくわくせずに居られるだろうか。


「あら、縁さん、今日は笑顔で楽しそうですわね」

「う、うん、月夜さんとプールで遊べるからね!」

「それは嬉しいですわ。期待に応えられる様に、頑張りますわね」

「うんうん、私も楽しみです。大日さん」

「ドキドキ水泳授業で御座いますね。ぽろりもあるよ?」


俺の期待に応えるように、大きな胸を張る頼もしさ。

その姿に、俺の期待はさらに高まる。

千早さんも楽しみにしてくれてる様で、とても嬉しい。

ぽろりもあるんですか、と瑠璃さんを問い詰めたい。


期待に胸を膨らませ、体育の授業に思いを馳せる。




キーンコーンカーンコーン


授業終了のチャイムがなり、起立、礼、着席を終えて、体育の前の休み時間になる。


「次は水泳の授業ですわね。縁さん一緒に行きましょうか」

「ごめん! 先に行ってるね!」


一緒にと言ってくれた月夜さんには悪いんだけど、今日はのんびり着替えてられないのだ。

水着に着替えると言う事は、裸になると言うことで…さすがに、普段の体育の時の下着姿にどきどきはまだしも、恋人でもない女性の裸を見るのは、まずいと思うんだ。

だから、先に着替えてプールの方で待つつもりなのだ。

お泊り会の時みたいに、鼻血だしてダウンするのも嫌だしね。油断するとこの体、興奮しすぎで鼻血まで出すんだもの…。

それにさ……皆の前で裸になるのって、恥かしいよね。




速着替えなど、元男の俺にとっては楽々だ。

正味一分もせずに、着替えて皆を待っている。

妹よ、家で練習した甲斐があったよ。


「ふはははは、さぁ皆、早く来るといいのだ」

「今日の大日はやる気ね。いつもは、適当に流してるっぽいのに」


女子の体育担当教師様が、俺のやる気を認めてくれる。

ふ、今日やる気を出さず、いつ出すというのですか。


いつもの授業でやる気がないのは、頑張りすぎると危険だからです。俺の体が。


先生と二人でのんびり待ってると、第一水着人がやって来ました。

その人物は、スクール水着を着てゆっくり通路を歩いてくる。

ロールを装備するその方を見て、先程までのやる気が霧散する。


お嬢様である月夜さんが、まさかスクール水着だとは…。

煌びやかで、目の保養になる水着を期待してたのに…。くっ、この世に神は居ないのか。


「縁さん、先に行くなんて寂しいですわ」


俺を見つけて、小走りで寄って来る。

………たぷんたぷん、いや、たゆんたゆん、だろうか?

小走りに走る月夜さんを見て、俺は自分の浅慮を悟る。


水着に包まれた双丘は、足が動くたびに上下左右に大暴れだ。

その様は、まさにたゆんたゆん。

内包する攻撃力を、はっきりとアピールしているのだ。

一般的な水着ではなく、スクール水着という大人しいデザインの水着に包まれる事で、その跳ねる姿は逆に扇情的だ。


あぁスクール水着よ。君を野暮ったいとか言ってた俺が悪かった。

俺がまだまだ未熟だったよ。ナイススクール水着。


「縁さん、どうしましたの?」

「な、なんでもないよ!」


月夜さんの素敵な部分を、ずっと見つめて居たい。

しかし、他のクラスメイトもそろそろ来るはずだ。

最初の予定外の感動を教訓に、俺は覚悟を決めたのだ。


さぁ皆、ばっち来いなのです。




「お嬢様も大日さんも、先に行くなんて酷いですよね」

「寂しいからって、ぐちぐち言うのは止めて下さい。絶壁」

「ちょっとはあるんですよ!」


通路の方から、よく知った二人の声で漫才が聞こえてくる。

月夜さんがスクール水着だったので、あの二人も同じだろう。


そう思い、のんびり二人が来るのを待っていた。


「お嬢様、大日さん、置いていくなんてずるいですよ」

「大日様、白くて清純で素敵な水着ですね。純真潔白」

「アウトォォォオオ! 二人ともアウトォォオォオ!!」


普通に話しかけてくる二人に、速攻でツッコミを入れる。


「「どうしたんですか?」」

「どうしたじゃないよ! おかしいよ! 二人とも自分をよく見るといいんだよ!」

「「えっと?」」


ユニゾンでボケ倒す気か。負けない。負けないんだ。


「まず千早さん! サラシとフンドシはおかしいでしょ!」

「遠泳の特訓などは、いつもこれなのですが…」

「何処の世界に、その格好で水泳の授業を受ける女子高生が居るの!? ここ!? 駄目でしょ!」

「まったくです。前から気になってましたが、趣きがありませんね。江戸時代」

「そう言う瑠璃さんもアウトだよ! って言うか、瑠璃さんの方がアウトだよ! チェンジだよ!」


瑠璃さんの水着は、水着と言うか、胸の部分がピーーーで、下もピーーーとなってて、大人と言うか、露出と言うか、変態と言うか、結論を言うとありえない。

男の子な俺ですら、ドン引きですよ。


「やはり、少し派手すぎましたか? 装飾過多?」

「少しじゃないし! それに、装飾少ないよ! 先生助けて!」

「二人共、指定の水着があれば着替えてくる事。なければ今日は見学する事」


先生が冷静に注意してくれて、二人はしぶしぶ更衣室に戻る。


「うわ!? ナンネ!? さっさと着替えて行ったと思ったら、あんたら変態!?」

「「失礼な」」


通路から、鳴さんの叫びが聞こえる。

叫びたい気持ちは、とても分かる。


「そういえば、月夜さんは、あの二人の格好知ってたの?」

「……知ってましたわ」

「注意しなかったんだ?」


常識的な優しいお姉さんと思ってた月夜さんだが、アレを許容するなら、認識を変える必要があるかもしれない。


「水泳の訓練の時などに、あの二人が堂々とあの格好をしますので、アレが正しいのかと思ってましたわ。……そうですわよね……おかしいですわよね……(わたくし)は、間違ってなかったんですわね」


あぁ、よかった。月夜さんは、こっち側の人だった。


「「はぁ……」」


授業が始まる前から、物凄く疲れた溜息をする、俺と月夜さんなのでした。




クラス全員揃ったが、俺以外は全員スクール水着だ。

皆の水着姿を見るはずが、逆に皆に見られてる。

恥かしい。


「さて、今日は初日なので、水に慣れる事が目的です。泳げない人は、練習するとして、泳げる人は自由に遊んでていいから」


なっちゃん先輩から聞いてはいたが、本当に遊ぶだけなのか。

でも、泳げない人は練習かぁ。


「じゃあ、泳げない人は挙手~」


俺はピシッと手を上げる。

ハッハッハ、陸上でも運動オンチなのだから、水中でなんて、なお無理なのです。


「泳げないのは、大日さんだけね。じゃあ、大日さんは私と練習、他の人は危ない事はしないように、自由にしていいわよ」


そう告げられ、一人先生にドナドナされる。

同級生の女の子達と、きゃっきゃうふふと水着で遊ぶ予定が、先生とマンツーマンで練習に。


「水に顔はつけられる?」

「つけられます」

「そう、じゃあ、そこに手をかけて、バタ足から練習しましょうか」

「はい」


目上の人の言う事は、しっかり聞かねば。

自分で扱える程度に力を抜きながら、一生懸命バタ足を始める。




それから約40分、先生と一緒に練習したが、浮かぶ事すら出来ませんでした。


浮かないのは、理由があるのだ。

皆と違い、二つの浮き輪がないから浮かないんだぃ。


楽しく女子との水遊びをする為には、泳げるようになるのが必須のようだ。


難易度高すぎだよね……。




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