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兎に角、リハビリ!特急列車④

作者: 黒猫
掲載日:2026/10/22

『リハビリ順調のようですね!』


「今日は、ジャンプをしても大丈夫だったよ!」


『知らねぇぞ。』


努力の積み重ねが良い方向に進んでいることが分かり、とても嬉しいテミスだった。


「これからも骨盤運動、頑張る!でも、いつも体が緊張状態なんだ。」


『おうちなのに、リラックスが出来ていないし、人前だともっと緊張するからな。テミスは、睡眠があまり取れていないんだ。最近は、昼寝をしていないからな。』


アテナは、黒縁眼鏡をかけてタブレットで検索している。


『副交感神経ですね。自律神経がやられていると思います。』


『そうだ。テミスは、美味しいものを食べてリラックスすることが出来ていないんだ。働き始めたらもっとリラックスは出来ないだろう。自分の体のことは、自分で調整するしかないぞ!』


「はーい!」テミスは、先生に教えてもらった肩を一度上にあげて、ストンと落とすことを頑張ろうと決めたのだった。


『テミスの場合は、フルスロットルだからな。いっぱいいっぱいだ。余裕がないのだからな。テミスのおばあさんも、俺の一族もだもんな。』


『血筋ですね。』


灰色狼は、列車の進行方向をじっと見つめていたのだった。


窓から見える景色はすっかり夜になっていた。


あちこちに街灯が立ち並び道行く人を照らしている。


突然、室内灯が消えて、辺りが真っ暗になった。


灰色狼がすぐ魔法でろうそくに火をつけてくれたのだった。


その時、何か黒い物陰が目の前を横切った気がした。


灰色狼がそのものを照らしても、太いしっぽが見えただけだった。


『何だあれは? 』


テミスが暗闇の中をじっと見つめて楽しそうに笑っている。


『猫ちゃんだ! 目があったよ! 翡翠色だった!』


『猫か? 狸じゃなかったか?』


灰色狼の問いにアテナは、首を横に振り、テミスの瞳をずっと見つめていた。


『あの猫は、翡翠の瞳を持つ者が宿っているのです。テミスと共鳴していることが分かりました。心配だったのでしょうね。』


「見に来てくれたんだね! ありがとう!」


テミスとアテナは、あの猫が見えるように大きく手を振っていた。


灰色狼は、テミスの鞄から財布を取り出す。


そこには、たくさんついたストラップの中に一つだけ違うものがあった。


『テミスやアテナが言うようにあれは、猫だな。今年は、神社で縁結びのお守りを買っているから、あの人に会えると思うんだがね。』


テミスに手渡すと、桜色の縁結びのお守りを、目を輝かせながら触ったり眺めたりしているのだった。


列車は、追い風と共に終着駅を目指し走り続けている。


その風は、車内にいるテミスに囁いたのだ。


* * *


生前、検査をして皮膚癌のステージ4だと分かった時、俺は長くないと思った。


だから、8月14日にみんなに会えた時、聞いたんだ。


『テミス、いい人いない?』


『いないよ。』


あの時、テミスが嘘をついているとおじいちゃん分かっていたんだ。


どんどん綺麗になっていたからね。


心に決めた人がいると思った。


相談をしてくれていたら、告白をすることを止めることが出来たんだ。


あの人のタイミングを待ちなさい。

今は、話をする時間を大切にしたらいいんだと伝えることが出来た。


でも、テミスは、あの人が、仕事がやりがいだと教えてくれた気持ちを大切にしたかったんだね。


発注の時間に話す時間は迷惑になると感じて、自分も仕事を頑張ろう!そう考えて告白をしたんだね。


テミスは、あの人が異動をする前に仲直りしたかったんだ。


灰色狼の言葉をしっかり聞いてね。


『言葉が足りない。』と話した後に、『自分に自信がないと告白は出来ない。みんな、振られると分かっている人には怖くて告白しないんだ。でも、振られると分かっていて諦めるために告白する人もいるんだよ。でも、そんな人は、あまりいないんだ。』と、テミスは、言われているんだよ。


おじいちゃんは、テミスが他の人と違うことを知っているからね。


* * *


テミスの翡翠の瞳が、輝いている。


五徳(仁・義・礼・智・信)を高める聖なる石なのだ。


精神的に成長し、冷静さや忍耐力を養うことが出来ればその力は開花すると遥か昔から言い伝えられている。


灰色狼は、テミスが大人になるための鍵を知っている。


それは、テミスが自立することだ。


今は、考えすぎると頭が燃えるように熱くなって痛みがあっても、こうすれば一番良いという選択が出来る力。

自分を幸せにする力。


それが翡翠の瞳である。


大切な人と一緒に幸せになるために特急列車にテミスは、乗っているのだ。

灰色狼『あの人もテミスも肝心な時に怯む。自分達では、どうしようもないから助太刀がほしいんだがな。』


灰色狼に心はあっても、冷たく鋭くなるのだった。


緋色の目は、頭の良い者に宿ると言われている。


アテナ『何か奥の手でもあるのですか?』


灰色狼『このままだとあの人は、来ないだろう。テミスが凛として、美しい女性になることだ。』


テミス「つむちゃん!」


かたつむりのつむちゃんが住みかにしている容器を持って来た。


つむちゃん、足を長く伸ばしている。


アテナ『ストレッチをしていますね。テミスも始めましょう! 』


テミス「うん! 頑張るぞー!! えいえいおー!」


テミス・灰色狼・アテナ『「時間がかかっても、それでいいんだ。どんな、未来でも受け止める。」』

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