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かまくら

作者: 森永ダリオ

pixiv様主催の『執筆応援プロジェクト~雪~』に投稿する為に書き下ろしたノンフィクション作品です。

より多くの方達に読んで頂きたいと思いこちらにも投稿する事にしました。

それではごゆっくりご覧下さい。

年が明けたばかりの令和7年1月2日。

僕はこの日、残念ながら帰省出来なかった弟夫婦を除く父と母それに年末に帰省した姉とその子供達と午前中までに近所の神社へ初詣に出かけた。

帰宅後は各自で適当に昼食を取り、難しい年頃になった姪っ子と双子の甥っ子達に多少の気を遣いながらもそれなりに楽しいひと時を暫く過ごし、雰囲気的に小休止した方が良さそうだというタイミングを見計らうと離れに在る自室へと向かう事にした。

母屋を後にし、空を見上げるとねずみ色の雲が有りながらも太陽が顔を覗かせ積雪も無く比較的過ごしやすい天候であったこの日、ふと自宅の敷地内の一角に目をやると僕の頭の中で幼い頃のある思い出が蘇った。


「(そういえば昔、此処でかまくら作ったよな・・・。)」


今から何十年も前の事。

奇しくも三が日の内の或る日。

年明け早々、大雪が降り積もり辺り一面銀世界なったこの年。

当時保育園児だった僕は家の敷地内で自分の兄弟と正月休みに我が家を訪れていたいとこ達と雪遊びをしていた。


時折、長靴の中に忍ぶ様にして入り込んで来る雪の冷たさに奇声を発しながらも夢中で遊んでいると恐らく姉が提案したと思うのだがかまくらを作ろうという事になり大方の場所を設定した後、各々で雪をかき集める為、兼業農家である我が家が農作業用として所有するスコップを取りに行く。


まだ幼かった僕はスコップ越しに伝わる雪の重さに腕を振るわせながらもドーム型になる様、懸命に作業をしたのだった。


皆で積み重ねていった雪が150センチ程の高さにまでなった事を確認すると今度は内側をくり抜く様にして空洞部分を作っていく。

朧気ではあるがこの時僕は砂遊び用のスコップで作業を行っていた様に記憶している。


数分後。

念願だったかまくらが完成した。


喜びに浸っている最中、此処に居る子供達の中の誰かが家の中で暖を取りつつ談笑している大人達に声をかけたのだろう、完成記念にと今は亡き祖母が『ごろっとグレープフルーツ』というグリコ協同乳業(当時)が販売していた果肉入りのグレープフルーツゼリーを持って来てくれた。


姉を含む数人の子供達は遅れる様にしてカメラを持ってやって来た父によりかまくらの中でゼリーを食べているところを写真に収めてもらっていたのだが、何故か僕は中に入らずにいたのだった。

憶測ではあるが当時の僕の心境としてはかまくらの中に入りたいという願望よりもかまくらを完成させたという達成感で満たされていたのだろう。

そして、記念写真を撮ってもらっている姉達を横目に僕は母屋の玄関前で一人、『ごろっとグレープフルーツ』を食べるのだった。

果肉をプチプチと潰しながら噛み締める様にして食べたあの時の『ごろっとグレープフルーツ』の味はかまくらを作る為、寒い中懸命に作業した後という事も有りとても美味しく感じられたのだった。


在りし日の思い出をそっと懐かしみながらも離れの自室へと戻った僕はノートパソコンを立ち上げると机の引き出しから黒と白のUSBメモリをそれぞれ取り出すと2日後の1月4日にニューエピソードの投稿を控えた自作小説『Selfish Life』、『魔法少女メルシールー』の最終チェックを行うのであった。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

ご意見ご感想等が有りましたらお気軽にお寄せ下さい。

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