お尻の国からはるばると
僕の名前はのびスケ。特に特技もない、平均以下の中学生だ。
そんな僕の前に、ある日突然、未来から妙なロボットがやってきた。
「やあ、のびスケくん。僕、アナルえもん!」
出会いから名前がピー音案件だった。
「……え、アナ、なに?」
「ア・ナ・ルえもん。未来の肛門系ロボットだよ。君の肛門を救いにきたんだ!」
「帰れ!!」
僕は反射的にランドセルをぶん投げた。彼の顔面にクリーンヒットするも、アナルえもんは表情ひとつ変えない。
「無駄だよ。僕はスカトロ合金でできてるんだ」
「なんだよその合金……」
こうして、僕とアナルえもんの、汚れた日常が始まった。
***
「ほら、これがアナポケットだよ。中は無限収納になってるんだ」
見た目は普通の尻ポケットだ。なんでそんな位置にあるのか問いただす気力もない。
「これが未来の道具、『快便プロモーター』!」
「それちょっと使ってみたいかも…」
「時々、故障して1か月フン詰まりになる」
「やっぱダメだこのロボット!」
ツッコミが追いつかない。僕の脳みそが悲鳴を上げていた。
***
ある日の放課後、スネ汚とゴリジャイに絡まれた。
「のびスケ、今日もヘタレだったなぁ!」
「ケツ貸せや、ケツ!」
「なんで!? いじめの方向性おかしいよね!?」
逃げる僕。追いかける変態二人組。そんなとき、アナルえもんが走ってきた。
「アナルえもーん!!」
「任せて、のびスケくん!これを使うんだ!」
「なにそれ……『肛門シールドX』?」
「そう、君のアナールを鉄壁に守る防御装置だよ。装着すると敵の攻撃をはね返す!」
「なんでそんな物騒な道具持っているんだよ!!」
アナルえもんの言う通り、ケツに装着してみた。
「ぎゃあああ!?なんか入った!?冷たい!!」
「我慢して!すぐ慣れるから!」
「慣れたくねえよ!!」
すると、追いかけてきたスネ汚が尻を蹴ろうとした瞬間、バチン!と火花が散り、スネ汚が吹っ飛んだ。
「いってぇ!?なんだこれ!?」
次にゴリジャイが腹パンを放とうとしたが、その拳も肛門シールドXによって弾かれた。
「まじかよ……のびスケ、急に強くなりやがって……!」
二人は逃げていった。
「……やった」
「これが肛門の力だよ」
「間違ってる気しかしないけど、ありがとう……」
複雑な感情のまま、僕は夕日を背に帰宅した。
***
ある日、クラスで転校生がやってきた。
「私、しず子。よろしくね」
天使が来た。
僕はその瞬間、初恋に落ちた。
「アナルえもん、俺、しず子ちゃんと仲良くなりたい!」
「それなら、この『スカスカ恋愛促進スプレー』を使うといいよ」
「それ名前が致命的すぎるだろ!」
「安心して、匂いはただのラベンダーだから」
アナルえもんが渡してきたスプレーを、しず子ちゃんのそばでこっそり使った。
「……あれ?なんかいい匂い」
「う、うん!ラベンダー!俺の自然体の香り!」
「え、そうなの?……なんか、癒されるね」
作戦成功だった。
「アナルえもん……ありがとう!」
「恋も肛門から始まるんだよ」
「違うよね!?そこじゃないよね!?」
***
その夜、僕はアナルえもんに訊いた。
「なあ、アナルえもん。君はなんで未来から来たんだ?」
「それはね……未来の君が、肛門事故で大変なことになるからなんだ」
「事故!?どんな事故!?」
「便座が爆発するんだよ」
「いやいやいや!!」
「でももう大丈夫。僕がいるからね。君のアナールを、ずっと守り続ける」
なんか、感動的なこと言ってる気もするけど、尻に集中しすぎてて素直に感動できない。
でもまあ……悪くないかもしれない。肛門を守るってだけで、こんなに騒がしい日常が楽しくなるなんて。
僕は、未来にちょっとだけ期待を抱いた。
変な方向だけど。




