推しの神官が崇拝する女神になりました。
「っ~~~~~!!!最高」
私には最近推しているスマホゲームがある。
それが「ひと時の救済を私に」というゲームだ。
通称ひときゅう。それにドはまりしました。
最近流行りの悪役令嬢ものではなく、昔からあった剣と魔法の王道ファンタジーだ。
ヒーロー達もよくある王道の王子に騎士団に神官……そう、神官がいるのだ。
聖職者が癖の私としたらやるしかないだろ!!とやったら……とんだ沼が待っていました。
なんだこのヤンデレは???
トゥルーエンド以外ほぼメリバなのですが???
他のキャラはノーマルだとお友達、ハッピーだと恋人と成れるのだが、神官だけは違った……。
ノーマルだと行方不明。ハッピーだと監禁。バッドだと国ごと滅ぼしてあの世でずぅぅぅっと一緒であった。何がこの神官をそうした???
一番先に主人公を心配してくれる優しい優しい神官様のはずなのに……。
なんでこうなるの???
トゥルーエンドでようやく主人公と結ばれるが……なんか不穏なんだよな。
トゥルーの最後の言葉はこうだ。
「神の言うとおりに」
この神は神官が信仰している女神、アナスタシアのことだろう。
復活の女神とも称されるこのゲームのなかでは唯一神だ。国教にもなっている。
そのアナスタシアからの信託を聞けるのは神官である彼だけだ。
女だったら聖女、男だったら神官となり、神の声を世界に広める。
そんな役割をもった男である。
いやぁ、まさか癖に従って適当に取ったアプリにこんな沼が待っているとは……。
あまり有名なゲームではないので二次創作も少ない。いや、無いと言ってもいい。
なら自分で書くだけだろ!!!と、言うことで私は今日もスマホをタプタプしながら女神×神官を書いている。
女神がもし、神官の前にだけに現れたら……。もし、神官が主人公ではなく女神に恋をしてしまったら……。という内容だ。もちろんアナスタシアは神なので人間の神官からの好意には気づいていない。
愛しい愛しい女神様への愛が隠しきれなくなったころに現れる主人公。そして女神から告げられる主人公を愛しなさいという神託。というところまでは書いた。
そこから筆が進まないのだ。
女神は人間である神官に興味がない設定だ。それをどうやってくっつけるか……。
「うーん……私がアナスタシアだったらどうするか……か」
いや、ぶっちゃけるとこんな良い男が自分にぞっこんだなんて愛する一択やろ。
「設定を変えるか……?いや、でもっ!!」
設定を全部変えるかとしたとき、スマホが光ったのだ。
とてつもない眩しい光で目が開けられない。
「世界へようこそ」
それが意識を失う前に聞いた言葉だった。
「女神アナスタシア様の加護があらんことを」
「ありがとうございます!娘を治してくださって本当にありがとうございます!!」
「いえ、それが女神の望んでいることですから」
気にしないで下さい。と微笑む男に見覚えある。
え??ひときゅうの!?
「リュカス様!またお一人で神殿を抜けだしましたね?」
「すみません。神から西の方に困っている人がいると言われましたので……」
「それでも聖騎士に一言おしゃって下さい。貴方はこの世界でたった一人の神官なのですから」
「すみません」
あははと苦笑を漏らす彼はひときゅうの神官リュカス・二クス、その人だった。
雪のような真っ白な髪に対して右側にあるひと房だけの黒髪、蜂蜜色の優しい瞳を持っている人物だ。
「さぁ、帰りましょう」
ピコン
「ん?……え?」
「リュカス様?どうしました?」
「そんな……いや、本当に……?」
なんかリュカスの前に青色のウィンドウが見えるんだけど?
なにそれ私は知らないぞ??
困惑しながら見ていたら
「アナスタシア様!!ずっと、ずっとお会いしとうございました……!!」
「へ????」
「リュカス様??」
「我が女神。どうして姿を現せたのですか?今まで何度願っても御身を見ることは叶わなかったのに……」
「えーと、人ちが」
「いいえ、貴女は我が女神です」
「リュカス様……今そちらに女神様がいらっしゃるの……ですか?」
「えぇ」
蕩けるような笑顔でこちらに跪く彼、リュカス。
いや!!!!好き!!!!!
顔が良い!!!声も良い!!!癖の塊!!!
そんな彼を無視できるはずが無かった。
たしか、この言葉だったよね。
「初めまして、リュカス。会えて嬉しいわ」
「神よ。私の名を覚えていらしたとは……有難き幸せ」
「私は貴方にしか見えないらしいわね。ほら後ろの方が困惑していますよ」
「神が私以外を見るなんて……」
「リュカス?」
「急いで神殿に戻ります。アナスタシア様も共に来ていただけますか?」
「えぇ」
「ありがとうございます」
「私は先に行っていますね」
「かしこまりました」
そして急いで帰る彼らを見つめながら何があった?????と困惑しかない頭を抱える。
これ、私が書いてた二次創作の冒頭じゃね????
ある日神託で病気の子を治したら神を見れるようになったっていう……。
「え、ちょっと待って!!私神殿の場所知らないよ!!??」
先に行っていると言ってしまったが……。
ピコン
【神殿に行きますか? YES/NO】
さっきリュカスの前に出てきたウィンドウの黄色いのが出てきた。
「えーい!!YES!」
ぱぁという光に包まれたと思ったらなんかめちゃくちゃ豪華な場所にいた。
デカい石の像……?これたしか……。
「アナスタシア様!!遅れてしまい申し訳ございません!」
はぁはぁと息を切らしながらリュカスが目の前に来る。
「永遠の救済を我らに」
リュカスが挨拶をしながら跪く。
「楽にしていいですよ」
「勿体なきお言葉」
「ほら、折角会えたのだから顔をよく見せて?」
「アナスタシア様……っ!!!」
いっけめーーーん!!!うるうるとした目可愛すぎん??
走ってきたからか少し汗をかいて頬が赤く染まっている。
こんなの襲ってもいいですか案件やん。
ピコン
【リュカスを堕落させますか? YES/NO】
のおおおおおおお!!!!
なるほど、これは駄目だ。こんないい子を堕落させてはいけないっ!!!
「アナスタシア様……?」
「いいえ何でもありません」
「はい……」
犬耳見えるんだけど???なに?キスの一つでもしてよかった??
堕落させたろかな?
「リュカス様!!神が見えるようになったと!!」
「騒がしいですね……申し訳ございません女神様」
「本当に……そちらに女神様が……?」
「えぇ、いらっしゃいます」
おぉ……だの、永遠の救済を我らになどと聞こえてくる。
「チッうるせぇ……皆様神の御前ですよ」
「それで神は……!アナスタシア様は何とお言いで?」
「暫くここに留まってくれるそうです」
「リュカス!?」
「そうですよね?女神様?」
「あ、はい……」
ダメだ、こんな良い顔で言われたらはいしかねぇや……。
「女神様は私にしか見えません。女神様の為に私は暫く神殿に篭もります」
「それが神のご意思ならば」
「え、えーと??」
「よろしくお願いいたしますね、女神様」
にっこりとした笑顔にどこか暗さを感じたのは気のせいですかね???
こうして私はリュカスと共に居ることになった。
神官が癖ということに気づきました。
続くか続かないかは未定です。
神官推しの話をもっと読みたい……。