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禍を転じて福と為す

全ての生き物が等しく持つエネルギー「ぎょく」を駆使して生きる人々。

「玉」のスペシャリスト「演算士」によって繰り広げられる戦いに憧れ、巻き込まれながら成長していく1人の青年の物語。

部活には入らないことにした。変数値はそれなりに関係が進んでから聞くのが世間一般のマナーらしい。「最低でも家族構成を知っている相手でなくては失礼」とネットに書いてあった。だから変に友好関係を広げず、変数値0の拡散防止のためのぼっち。やむを得ない。



ちなみにユッケはバドミントン部に入り、毎日一緒に下校することはなくなった。週1くらいかな。俺と一緒に帰ってくれるとは、なんて優しいヤツなんだユッケは。良い友達に恵まれたことを噛み締めるが、帰ってもすることがあまりなく、時間が有り余ってしまった俺は、雨の日以外は山に行って、基本術式習得に向けて練習している。



そんなこんなでゴールデンウィークに突入。友達もあまりいない俺は家族旅行以外の予定は皆無だった。ユッケは部活が忙しいらしい。内心焦っていたが、「べ、別に自らぼっちになってるだけだし」と自分を落ち着かせ、ゴールデンウィーク初日に朝っぱらから山に籠り基本術式の練習をしていた。山での自主練を始めて早1ヶ月。マジで代わり映えしないから辛い。それに「玉」を放出しきってしまうとものすごい倦怠感がある。インフルエンザの熱ないバージョンみたいな。それも辛い。寝たら治るけど。

しかし、今日は進展があった。放出した「玉」が消えたのである。おそらく、乗術によって「玉」のエネルギーに0が掛けられてなくなったのだろう。難易度が桁違いと言われていたが俺にとっては加術と減術の難易度なんて知らねぇーし。俺にとっての乗術は左足の親指に力を入れながら左目をかっぴらく。そうしたら放出したはずの「玉」が消えたのである。これが多分乗術の俺だけの感覚かぁ。いやこんなん分かるかぁー。




「今日は多分乗術ができるようになったぁー

あぁぁぁーー疲れたぁぁーー

1歩前進だな。いや後退かな?」


日が暮れて間もない頃、俺はそんなことを言いながら両手を広げて伸びの姿勢をした。すると、山の奥深いところから「ゴソゴソッ」という何かがいる音が聞こえた。


「うわっびっくりしたぁ。

ここら辺に動物とかいたっけ?

でもこーゆー時って、た、大概なんでもないよな」


ビビりながら癖の独り言を発する。


すると兎に似た何かが飛び出してきた。

目は腐ったみたいに白く変色し、背中から黒い骨のような物が飛び出している。それに、普通のうさぎよりもかなりデカイ。



「これって玉獣?1メートルはあんじゃない?」


確か、参考書に書いてあった

玉獣とは動物が基本術式を習得してしまい、「玉」を抑えられなくなり、体が変形したものらしい。

というか物心ついた頃から「玉獣には近づくな」とみんな言われて育つ。俺も親からそー言われて育って来たし。



玉獣なんて始めて見た。基本術式マスターしてるってことは俺より優秀じゃん。逃げる?でもせっかく「玉」を練習したから試してみたい気持ちもあるが、自分の今の能力は「玉」を消せるだけの雑魚中の雑魚。

自分以外の玉も消せればただのデカくてキモい兎だ。

こーゆー時って意外と冷静に物事を考えられると初めて知った。



兎の玉獣が「玉」を俺に向けてぶつけようとしてきた。向かってくる「玉」に対して右手をかざし練習した通りにやってみるが消えない。手の平に熱い感覚が走る。火傷してる。痛い痛い痛い痛い痛い痛い



俺も負けじと「玉」を変形兎に発射する。運良くあたったがまだ死んでない。そう思っているとまた「玉」が飛んできた。今度は、自分も「玉」を発射し、「玉」どうしで衝突させた。その時敵の「玉」も消せるとなんとなく思い、乗術を発動。その時、右目だけでなく、左目も無意識にかっぴらいていた。痛みも忘れ、何故かワクワクしている自分がいた。またもや「玉」が飛んできた。しかしさっきの感覚を参考に火傷覚悟で敵の「玉」に乗術を発動してみると、きれいに「玉」が無くなった。




火傷を抱えながらなんとかして、変形兎を討伐することができた。その後、痛みがだんだんと増してきたため、急いで家に帰った。右手が使えないことにより、片手で自転車を運転していたので、途中で壮大にコケてさらなる怪我を負ってしまった。


「痛いよぅ」マジでキツイ。痛い。


なんとか帰宅し、母親に案の定怒られながら応急処置をしてもらい、次の日病院へ行った。俺だけ家族旅行には行けなくなり、4つ下の弟に嘲笑されながら俺はゴールデンウィークは引きこもることを決意した。

変形兎の死体は後で警察に通報し、演算士が処理しました。主人公は警察に危険人物を見るような目をされながら個人情報を聞かれ、納得しないまま従いました。


火傷に関して、主人公は左利きのため、大ダメージは避けたと自分を言い聞かせて、甘んじて受け入れました。


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