呼び出しから帰ってきたら尋問されるよね?
全ての生き物が等しく持つエネルギー「玉」を駆使して生きる人々。
「玉」のスペシャリスト「演算士」によって繰り広げられる戦いに憧れ、巻き込まれながら成長していく1人の青年の物語。
応接室から戻るとみんなはバスに乗る準備をしていた。急いで自分のクラスの列に入る。もうすでに1組のバスは動き出していた。
「1組じゃなくて良かった。」
と思いながら席に着くと、すぐにユッケが聞いてきた。
「なんだったの?やっぱり測定ミスだった?」
「違った。でもマジでヤバイから聞ーてよ。石神隊長がいた!なんか基本術式をマスターしろとか言われたけど!」
「フッなにそれ。まあいいや。それで、応接室ってどんな感じだった。」
あーこいつ絶対信じてない。相当ショックで空元気出してると思われてる。それでいて追究してこない。話を変えた。応接室がどうなっていたかなんて気にならないくせに。また気を使われてる。そんな反応されるとより惨めになるだろー。ていうか石神隊長と会ったのは事実だかんな!別に惨めに感じることなんかないよ!…いや、俺変数値0だった。それと、応接室がどんなだったかなんてあんまり覚えてないぞ。石神隊長にビックリしすぎて。確か黒と白のシンプルな感じだったっけ。
「スタイリッシュな感じ。シンプルでスマートな。へへへ」
「そっか…」
情けねー。うん。なんか情けねー....
学校に到着するとすぐに「玉」についての授業がある。この学校の伝統なんだって。別に明日で良くないか?帰らせてくれ。社会科見学後の特有な気持ちに浸りたい。とゆーか変数値でショックを受けてるから1人になりたい。
「えーまず、玉について説明します。玉とは全ての生き物が等しく同じ量持つエネルギーです。その玉は、体外に放出する際に変数値によってエネルギーを増減させることができます。完璧に変数値を使うには基本術式をマスターする必要がありますが、演算士でない限り、簡単な2つの術式を覚えるだけで事足ります。」
「玉」の説明で1時限分使った。
基本術式は全部で4種類あり、四則演算のようなもの。そして、加術、減術、乗術、除術がある。そのうち、最初の2つは誰でも習得することができるほど簡単で、後の2つはものすごーく難易度が高い。さらに除術の実用性がほぼないため、乗術を覚えたところで止まってしまう演算士が多いとか。
「玉」のエネルギーの量は赤子から老人でも関係なく人間なら誰でも同じ量であるため、変数値でどれだけ「玉」を大きくできるかが重要らしい。
はぁー圧倒的に俺は不利だ。変数値が8のやつは加術で「玉」を9個分にできる。俺はというと0。だから、素の1個分の量の「玉」しか出せない。
休み時間になるとぎこちなくみんなが話し始める。出会ってまだ1週間。そりゃそーか
俺はというとこのときもユッケと一緒に傷を舐めあった。
次の授業は「玉」を実際に放出する授業である。中にはすでに「玉」をある程度放出できるやつがちらほらいる。そーゆーやつは見せびらかしたいのか知らんが、教師が説明している時に玉を放出する。黄色とオレンジの中間のような色の光を発する半径10cmほどの球がそいつの手の上に現れる。
「おーいまだ説明している途中だぞー」とゆる~い注意をする担任の新人教師。入学式の日に自分は新人だと自己紹介するほどの新人教師。優男って感じ。だからナメられてあーゆー輩が現れるんだよ。と思いながら授業を聞く。
説明された通り実際にやってみると案外簡単に「玉」が出た。中には「玉」を出すのに苦労している生徒もちらほらいるみたい。はっ俺の方が才能あったみたいだな。俺は変数値0だけど。。。
授業を終えるとすぐに下校になった。昼前に終わるとかで弁当不要とか言ってたけど授業が長引いてもう14時である。伝統クソくらえ。
いつも通りユッケと一緒に下校した。正直この時何を話していたか覚えていない。気にしないと思っていても、変数値0ということを考えてしまう。
基本術式の難易度
加術、減術の難易度を1とした時、乗術が10
除術が50と言う具合です。