表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/270

愛の価値は

ふわりと現実に引き戻される。


なんとなく、気配と声を感じたような気がしたからだ。




「あっ、起きたっ!ぷーっ…

いたずらしそこなったわ」




「ん…あれ……」


机に伏せて寝てしまっていたらしい。


顔を上げると、ドリームランドで撮った皆の笑顔の写真が目に入る。

昴が写メを現像してきてくれたものを写真立てに入れてあるのだ。


そしてその隣には、翔の両親と妹の絵。

さらにその隣には、翔と里桜の寝顔の絵。


どちらもクマが描いてくれたものだ。





「おーい、まさかの無視ぃー?

俺のこと認識してる〜?」



ボーっとそれを見つめていると、

上から声が降ってきてようやく気が付き振り向く。

歪んだ視界にぼんやりとその姿が映りこんだ。



「…昴?…びっくりしたぁ…」


「さっきからずっとノックしてたんだけど〜

やっぱ翔の部屋にいたんだな。」



「ごめん、寝ちゃってたっぽい…」


苦笑いしながらこめかみの辺りを指で押す。

昴とようやく視線を合わせると、なぜか昴は驚いたように目を丸くして凝視してくる。




「……?」



「… 里桜……

なんで……泣いてるんだ?」




「………え?」





言われて初めて気がついた。


頬を触ってその指を見ると、透明な液体が光った。





「はは…なんだろ……

変な夢でも見てたのかなー?」



そう言って笑ってみせたが、違うと感じた。


私は多分……




「…怖いんだ。」



また写真に視線を落とす。

切り取られているその幸せを見つめながらも、

また視界が歪んできたのが分かった。



「怖いんだ…こんなにこんなに…

どこまでも幸せな日常がいつか、

…壊れちゃうんじゃないかって……」




昴に言ったわけじゃなくて、

ただそう静かに呟いた。





「それは…なんの涙?……悲し涙か?」




写真を見つめたまま、振り返らずに呟く。



「ううん。悲しいとはちょっと違う…と思う。」




そう、多分…


これはもっと、

複雑なやつ…

言葉では言い表せないやつ…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ