愛の価値は
ふわりと現実に引き戻される。
なんとなく、気配と声を感じたような気がしたからだ。
「あっ、起きたっ!ぷーっ…
いたずらしそこなったわ」
「ん…あれ……」
机に伏せて寝てしまっていたらしい。
顔を上げると、ドリームランドで撮った皆の笑顔の写真が目に入る。
昴が写メを現像してきてくれたものを写真立てに入れてあるのだ。
そしてその隣には、翔の両親と妹の絵。
さらにその隣には、翔と里桜の寝顔の絵。
どちらもクマが描いてくれたものだ。
「おーい、まさかの無視ぃー?
俺のこと認識してる〜?」
ボーっとそれを見つめていると、
上から声が降ってきてようやく気が付き振り向く。
歪んだ視界にぼんやりとその姿が映りこんだ。
「…昴?…びっくりしたぁ…」
「さっきからずっとノックしてたんだけど〜
やっぱ翔の部屋にいたんだな。」
「ごめん、寝ちゃってたっぽい…」
苦笑いしながらこめかみの辺りを指で押す。
昴とようやく視線を合わせると、なぜか昴は驚いたように目を丸くして凝視してくる。
「……?」
「… 里桜……
なんで……泣いてるんだ?」
「………え?」
言われて初めて気がついた。
頬を触ってその指を見ると、透明な液体が光った。
「はは…なんだろ……
変な夢でも見てたのかなー?」
そう言って笑ってみせたが、違うと感じた。
私は多分……
「…怖いんだ。」
また写真に視線を落とす。
切り取られているその幸せを見つめながらも、
また視界が歪んできたのが分かった。
「怖いんだ…こんなにこんなに…
どこまでも幸せな日常がいつか、
…壊れちゃうんじゃないかって……」
昴に言ったわけじゃなくて、
ただそう静かに呟いた。
「それは…なんの涙?……悲し涙か?」
写真を見つめたまま、振り返らずに呟く。
「ううん。悲しいとはちょっと違う…と思う。」
そう、多分…
これはもっと、
複雑なやつ…
言葉では言い表せないやつ…




