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外に出てからも、ドキドキしすぎていて興奮状態が引かなかった。
自分の心臓が飛び出してくるんじゃないかと思うほど。
ベンチによろりと座る里桜の姿を、さぞ面白そうに写メっている昴に何を言い返す気にもなれない。
「こ…こんなに怖いとは思わなかったよ
真面目に心臓止まるかと思った…」
「里桜は掴まるところなかったしね」
「あっはっは!けど絶景だったろー?」
「うん…夜景まですっっごかった。
まぁあれだね、なんか…クセになりそうなアトラクションだね…」
そう言いながら深呼吸して息を整える。
上を見上げると綺麗な星空が広がっていた。
ベンチで翔と昴に挟まれた瞬間、大きな花火の音が後ろから聞こえ、同時に振り返る。
「なにあれ…」
「あープロジェクションマッピングってやつー?」
「え、やば…すごおおい!」
大きな川を挟んで向こう側。
見たことの無い光景が瞳にギラギラと映り出す。
「おし、これバックに写メ撮ろーぜ」
そう言ってたちまち昴によって何回もフラッシュが光った。
また真ん中が私か…
てか結局一日中この2人と過ごしてしまったけど…
イケメン2人を手玉に取ってる謎の釣り合わない女みたいに思われちゃったかな…?
なんとなく複雑な気持ちになって無意識に髪の毛を弄る。
でも昴の写メには楽しそうな笑顔の3人と美しい背景がきちんと写し出されている。
「ずっと思ってたんだけどさぁ、昴って写メ撮るの上手いよね」
里桜のその言葉に、昴はあからさまにドヤ顔をした。
「当たり前だろ〜!だって俺写メるためにスマホ持ってるようなもんだもん。…あ!お前ら2人の写メ撮ってやるよ!」
そう言って突然立ち上がった昴は地面に片膝をついてスマホを構えだした。
「んー…花火が上がったタイミングがいいな…」
後ろの背景を気にしているらしい。
目の前でスマホの角度を整えている昴は真剣そのものの表情で目を見開いている。
「…え、なにしてんの、2人とも。
ここはチューするとこっしょ。」
「っは?!」
冷静な声でさぞ当たり前かのように言われ、
一瞬幻聴かと思ってしまった。
バンバンバンバン!!!!
突然後ろで花火が鳴り出したのがわかった。
それも一瞬の事だった。
「あぁっ!!来た来た!おい早くしろ!!」
「っ?!」
声を出せなかったのは、唇が塞がれたから。
花火の音もシャッターの音も聞こえなかったのは、自分の鼓動がうるさかったから。
瞳に何も映らなかったのは、グッと後頭部を抑えられていたから。
なにも動けなかったのは
彼の唇が何度も啄んできて、
体温も、香りも、かかる息も、髪を滑る手つきも、
どれもが
なにもかもが
優しかったから。
背後のガヤガヤも
周りの人の気配も声も
全部が自分の中から消えた気がした。
ここだけが、切り取られて
たった2人だけの世界になった気がした。
ずっとこのまま時が止まっていてくれたら…
世界が止まっていてくれたら…
このまま…
たった1人の大好きな人と…
夢のような世界で…
昴が切り取ってくれた世界そのままの中で、
元の世界には戻らないで、
翔と…
ずっと
ずっと
永遠に……
不透明な未来のことなど忘れて
きっと永遠に一緒にいられると
そう
信じて。




