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瞳はピスタチオの殻がうまく剥けないクマを手伝いながら言った。


「まぁでもさ、里桜の親友でもあり保護者的立場の私から言わせてもらえば、天馬は里桜のことを凄く大切にしてるからさ。2人の幸せを願ってるわけよ!」


「里桜の保護者的立場はどちらかとゆーと翔じゃね」


「っ、あー、それな。くくく」


瞳の顔は既に紅潮している。

グラスを提げに来る店員が自分たちのところにばかりやたら忙しないのでクマは顔を顰める。



「なら瞳、1つ約束してくれよ」


「んあー?なぁに?」


クマは外の一点を見つめながらじっとしている。

人がさっきから通りすぎていて、どこを見ているのかは全くわからない。


皆カップルだったり、親子だったり、同じコスプレをした集団だったりする。



「あいつを、里桜を、ずーっと見守っててやってくれよ。たとえおいらや翔や神塚がそこにいなかったとしても。」


唐突に真剣なことを言われ目を丸くする。

ピスタチオを剥いていた手を止めてクマを見つめる。


「は…?何言ってんの…」


「いいから約束しろ!約束好きだろ?」


キリリとした目付きでも、ぬいぐるみはやっぱりなんの迫力もなくて、普通に可愛いと思った。

約束が好きってのはどこから来たのか意味がわからないけど。


「うん。分かったよ。てか、別に言われなくたってそんなことわかってる。私を誰だと思ってんだよ。」



クマはくくくと笑って何事も無かったかのようにピスタチオを食べだした。


「ふん、で、お前は禁酒できたのかよ?」


「ははは、できるわけないじゃーん私が!…絶対バレないように、なんとかちびちび頑張ってましたっ!バレてたら天馬に殺されてたわ!」


グイッとグラスを飲み干してから、瞳はまた店員を呼び止めた。

クマの新たな酒も一緒に注文する。



「やっぱ里桜は酒よえーんだな」


「いや、弱いのかは分からないよ。ただその1件から、天馬が絶対に里桜に酒を飲ませなくなったのよ。一滴も。」


「んなことできんのか?」


「できるに決まってんじゃん。だって初めから里桜は、天馬の言うことしか聞かないくらい天馬信者なんだよ?天馬が、お前は酒が弱い、飲んだら死ぬ的なこと言えば、里桜はまるで暗示にかかったかのように本気でそう思い込むタチなんだから」



「…つーか…そもそもお前らって未成年だろが…」


すでに顔を火照らせている瞳を横目で睨みながらもぐもぐ咀嚼する。



お待たせしました!

そう言って店員が持ってきたそれは、赤黒い液体と透明の液体。


「なんだ…これは?」


「これはワインってやつ!赤も白も試してみよーぜ!そのソーセージには赤が合うよ!食ってから飲んでみな!」


ほら、と言われてクマは言われた通りにする。

目だけで、どう?どう?と言っている瞳を横目で一瞥してから答える。


「うー…まぁ合わなくも…ない…」


「でしょ!じゃー今度は白ね!ほい!」



そんなこんなで次々と酒を飲み続け、食べ続け、周りの人たちが、訝しげに瞳とクマのぬいぐるみをチラ見していることには気が付かないほど盛り上がっていた。

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