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案の定、翔の険しい顔はなかなか直らなかった。



「私にあんなに大口叩いておいて、どういうことだ?

それにクマ…キミも行ったわけだ。何をしていた?」



冷徹な眼光が見開かれ、昴は息を飲んで苦笑いする。

こんなに怒っている翔は珍しすぎる。



「悪かったよ翔。言い訳はしたくないからちゃんと謝る。ちなみにクマはとくになーんにもしてなかったんだ。」


「ふざけるなメガネ野郎!おいらはガキを守りきったし最後まで遊びにも付き合ってやってたんだぞ!」



翔は、昴が送り付けてきた写メを見ながらますます眉間に皺を寄せた。


「こんな写メまで送り付けておいて…

遊びか何かと勘違いしていたんじゃないのか?」


「それはみんな無事だよって翔にソッコー知らせるためのやつじゃん!…つーか、そんなことよりかなり重大な話がある。」


突然真剣な声になる昴を辛辣な顔で見る。


「なんだ?」


そのあとの昴の話に、翔の目はみるみる見開かれ、口を開けたまま固まった。

そんな翔を見ながら昴は言った。


「呪霊操術…翔と同じようにあれを使いこなす能力が里桜にもあったんだと思う。」


「・・・」


まさに言葉を失った。

なんとも複雑な気分になる。


クマは、治療している里桜の方へと行ってしまった。


何も言わないままの翔に昴は続ける。



「そしたらお前と同じように里桜も呪霊を飲み込み続けるだろうな」



「確かにかなり予想外だが…」


ようやく翔がゆっくりとした口調で口を開いた。



「予想外だが、よかった。」


その言葉に、たちまち昴は怪訝な顔つきになる。

翔はどこか朗らかな笑みを浮かべて炭酸水を飲みだした。


「…俺の話聞いてたか?よかったとは言えなくねーか?里桜は翔と同じような思いをしていくんだぞ。」


「あぁ、でも……

共通点、共有点が増えたんだ。これ以上嬉しいことはないね」


「……またそのセリフかよ。」


昴はあえてうんざりしたように言ったが、

また真剣に向き直った。



「とにかくさ、悪かった。

大事な大事な恋人に、傷をつけちゃって。」



翔は顔を上げ、上目遣いで口角を上げた。

その笑みが今まで見たことないくらいに不気味で、昴の眉間に皺が寄る。






「…うん。2度目はないと思ってくれよ」






廊下の方から、

里桜とクマと、瞳の声が聞こえてきた。





「あぁ。2度目はねぇよ。」




「ふ…信じているよ。たった1人の親友を。」




部屋に入ってきた里桜たちは、夏休みのことで早くも浮かれているようだ。

クマはいちごミルクを吸いながら興味深そうに里桜と瞳のスマホを覗き込んでいた。

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