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「S級魔術師になったなんて凄すぎますねクマくんは!僕まだクマくんに挨拶できてないんだよなぁ!」


矢作は興奮を隠しきれない様子だ。


「あぁそうだったんだ。でもこの子睡眠時間短いからすぐに目覚めると思うよ」


クマはほとんどの時間起きていて、本ばかり読んでいる。

実はとても勉強熱心なのだ。

それが強さにも繋がっているのかもしれないが。


かと思えば、突然電池が切れたかのようにパタリと寝るのだ。



「実は私も今日、皆さんの訓練を見ていました。まさか翔さんに勝ってしまうとは思いませんでしたが…まぁお二人の遺伝子を継いでいるということならば納得です。」


壱屋が無機質な声色でそう言い、ズズっと缶コーヒーに口をつけた。

顔を赤らめた里桜が慌てて言い返す。


「違う違う!私たちの子供ではないよ!」


「冗談ですよ…どう見てもクマなのですから…」


「・・・」


確かにそうなのだが、壱屋のそんな顔と声で言われたら何が本気で何が冗談なのか非常に分かりにくい。



「いやぁ〜!やっぱワンピースに出てくるチョッパーにしか見えないなぁ〜!」


「確かにそうだが…チョッパーはトナカイじゃなかったか?」


「えっ、そうでしたっけぇ?」


矢作と翔のやりとりに笑いが止まらなくなる。

その反動のせいか、クマはぬくっと起き出した。


「あ!起きた!こんにちは〜クマさん!」


矢作が瞬時に駆け寄ってきて顔を近づけた。

クマは一瞬固まったかと思えばベチンッと目の前の矢作を叩いた。


「っ!ったぁあっ!」


「こらクマ!何してるの!!」


「るっせぇんだよ、人が寝ている時に!」


「矢作くんは廊下で寝ているクマを拾って届けてくれたんだよ?!お礼を言うのが先でしょう!」


「そうだぞ、クマ助。後輩いじめは私が許さない」


クマは黙り込み、まるで両親に激しく叱られて丸くなった子供のようにしゅんとしだした。


「そうか…てめぇが矢作夏樹か。

ご苦労だったな。」


「クマ…それはお礼の言葉ではないよ…」


里桜は呆れ返ったが、矢作は嬉しそうに目を輝かせた。


「僕の名前を知っててくれてるなんて感激だなぁ!

よろしくねクマさん!」


クマは1度見聞きしたものは絶対に忘れないという能力まで備わっている。

そのため、里桜から聞いた高専にいる人の容姿と名前は、脳内で一致させているようだ。


「んで、てめぇが壱屋京介…だな。

確かスウェーデン人のクォーターだとか。」


「そ…そんなことまで…」


壱屋の目が珍しく見開かれる。



「ごめんね、2人とも…

こんな感じなんだけど、どうか仲良くしてあげて」


苦笑い気味で里桜は言ったが、思いのほか2人は強く頷いてくれた。


「クマ、君もなにか飲むかい?」


「うん、いちごミルク」


「「えっ……」」


矢作と壱屋の声が重なった。


「なんだ文句でもあんのか?」


実はいろいろな飲み物を試した結果、クマはいちごミルクが大のお気に入りなのだ。


翔から渡されて嬉しそうにストローでちゅーちゅーと飲んでいる姿はもう愛らしい以外にない。


矢作と壱屋は心底興味深そうにずっとクマを凝視していた。

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