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そしてクマに訓練をつけ始めてから4日経つのだが…
それが想像以上にいろいろヤバかった。
「おらぁっ!どーした神塚昴!
それでもてめぇは最強なんかぁ?!」
「くっそ!んだよこいつっ!」
そう…
一言で言えば、強いのだ。
とっても。
そして、人間離れしたスピードが半端ない。
パンチの連打、蹴りの連打、避けのタイミング、
攻撃威力と柔軟性。
どれも瞬発力と緩急性があり、鬼頭を含む誰もが目を見張った。
これは初めに近接戦が得意な里桜と訓練をしていた成果で芽生えたものでもあったが、それが鰻登りなので瞬く間に里桜までをも超えている。
「はぁ…はぁ…うぜぇな、プー野郎…」
早くも昴は息を切らしている。
「次は私が相手になるよ。クマ助くん」
「はっ、次はお前かロン毛野郎」
「……パパと呼びなさい…」
ちょっとした言い合いをしながらも次は翔が相手になるらしい。
「さぁどこからでもかかっておいで」
翔は余裕そうな笑みを浮かべて突っ立ったままだ。
クマは鼻を鳴らしながら言った。
「せっかくだから、お前の魔操術とやらを見せてもらおうか」
その言葉に皆目を見張る。
「えっ!ちょっとクマ?大丈夫なの?」
「平気だ。おいらを誰だと思ってる」
「・・・」
「…クマのぬいぐるみだろ」
昴の呆れ声が聞こえた。
「ではクマ、…遠慮なく行かせてもらうよ」
その瞬間、クマの周りは禍々しい暗闇に包まれた。
そこに現れたのは気色の悪い女のような影の魔物。
『こん、こ、こんに、ちは、あなた、は私の、私のこと、す、すき、よね?すき、すき、すき、よ、』
ほほう…
この怨霊はまさしく人間の恋情怨念に対する恐怖を凝縮した質量の高い仮想の魔物…
クマは黒目だけをギョロギョロ動かして鼻で笑った。
「ふんっ…なるほど?
こんな女を使うとは… 弥生里桜がいるというのに、お前なかなかやべぇ趣味してやがるな天馬翔。」
「別に私の趣味という訳ではないよ、クマ助。」
里桜は昴にコソコソ耳打ちした。
「ねぇ、あれってどうなるかな?」
女怨霊は大きな目と口を開いてクマに徐々に近づいていっている。
あっという間にクマの周囲を影で取り囲んだ。
「…あれは怨霊女か…確かなにか傷つけないことを話さないとあの黒い領域から出られないんだよな…」
「うん、そうだったよね…
やっぱクマ次第ってわけか…」
『わた、わたし…のそばに、い、い…てくれる?よね?よ、ね?わた、わたしの……は、はな、離れないで……』
「あーうっせぇな。フツーにきめぇしめんどくせぇーー!つぅかな!おいらが離れたくないと思うのはこの世でたった1人だけなんだよボケカスがあああ!!!!」
バガガガガガガガ!!!!!!
その瞬間、怨霊とクマの同時攻撃が始まった。
なかなかいい勝負で凄まじい音が耳を劈く。
「危険だ里桜、ちょい離れるよ」
「わぁっ?!」
昴によって里桜は屋根に上げられた。




