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「てめぇが神塚昴か。なるほどな。確かに妙な魔力を感じる」
「っおい…嘘だろ…こいつマジかー」
昴は喋って動くクマという傀儡人形を見てやはり驚愕している。
というか、どちらかというと口の悪さに驚いているようだ。
「こらクマ、もう少し丁寧な言葉を喋らないとダメだよ。」
里桜はクマを抱き抱えてそう諭すも、クマは完全に無視している。
「そっちは小篠瞳な。思ってたより可愛いじゃねぇか。ホクロがチャーミングで。」
瞳の口元にあるホクロのことを言っているようだ。
なんとも偉そうなクマに、瞳は苦笑いした。
「何この子。随分女慣れしてそーじゃん…」
「そ、そんなはずはないんだけどね…」
里桜も翔も冷や汗を流す。
「おいクマ!お前さっきから何様なんだよ!
少しはパパとママを見習ったらどーだ?」
「んだと神塚昴!てめぇも大概口悪ぃそうじゃねぇか!」
「お前よりかマシだわ!可愛いのは顔だけだな!こーゆーのを宝の持ち腐れっつーんだ!わかるかな?」
「なんだそれ!てめぇ調子に乗んなよグラサン野郎!」
「お勉強して出直しな!このプーさん野郎!」
かなり低レベルな喧嘩をしている1人と1匹?に、早くも今後の行く末が思いやられる。
するとそこへ鬼頭が現れた。
「素晴らしいな、里桜。まさかこんな短期間で…
俺を超えたな…さすがだよ。」
やはり最初に感じていた通り…
里桜は自分よりも傀儡魔術学の才能がある。
そう鬼頭は確信した。
しかし…
「おいてめぇが鬼頭だろ?!教師ならこのバカ生徒をどうにかしやがれ!!」
その言葉にはさすがに皆唖然とした。
恐る恐る鬼頭を見ると、鬼頭はサングラスを取って目を細めだす。
ゴクリと唾を飲み込みながら里桜が小さく言った。
「すみません…鬼頭先生…この子ちょっとまだ躾が…」
しかし意外にも鬼頭は冷静だった。
「いやもうこれは直らないだろう。傀儡の性格や性分は初めから決まっているようでな…人間の子供とは違うんだ」
「えっ……」
全員の視線がクマに向くが、クマは表情一つ変えない。
ぬいぐるみだから当たり前なのだが…。
「ところで、どのタイミングでどんな風にこいつが覚醒した?今後の傀儡魔術学のためにも詳しく聞いておかねばならん」
その言葉には里桜も翔も口を噤んで目を泳がせた。
夜、2人でクマを間に挟んで互いに呪力を流し込みながら、そしてクマにキスをしたまま眠っただなんて…
まぁそれが原因かはわからないが、とにかくこの場ではそんなことは言えない。
「…あっ、鬼頭先生、話すと長くなるので後ででいいですかー?」
「…そうか、わかった。しっかし…クマの人形というのは元々気性が荒いものなのかな…こんなに見た目は愛らしくても分からんものだな…」
そう言いながらもどこか嬉しそうに背を向けて行ってしまった。




