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2

鬼頭先生はその夜、ある場所へと案内してくれた。


そこにいたのは…



「え?!なんですかこの愛らしい子は?」


「見ての通り、タヌキだよ。」


「いや…それは分かりますけども…

お名前は?」


「だからタヌキだ。ちなみにオスだ。」


「・・・」



里桜の目の前には今、玩具で遊んでいるなんとも愛らしい小さな赤ちゃんタヌキがいる。


「か、かわいい〜!た、タヌキくん…こんにちは」


しゃがみこんで頭を撫でてみる。

見上げてくる大きな2つの瞳に自分の綻んだ顔が映る。


「こんにちは!」


突然言葉を発したので驚いて目を丸くし、動きをとめた。


「しゃ、喋った!?」



「こいつは突然変異。本来傀儡は己の意思を持たないが、こいつは喋るし感情も持っている。俺はこのタヌキを最高傑作に育て上げるつもりだ。」


鬼頭はどこか得意げにそう言った。

皆と同じように生徒として高専で指導し、どこまでも強い魔術師に育て上げるらしい。


「初めて会った頃、お前は俺の術や能力と似た素質があると、俺は言ったな?

そこでだ。里桜、お前も傀儡魔術学を学べ。」


「えっ?!」


たしかに初めの頃、人形や物に魔力を篭めて操ることが先天的な能力として合っているとは言われた。

しかし人形を使わないでいたのは、いくら魂が入ってないとはいえ単純になんだか可哀想だったからだ。



鬼頭は何食わぬ顔で棚に覆いかぶさっていた布をバッと取り去った。

そこにはたくさんの愛らしいぬいぐるみが飾られている。


「好きなものを選べ」


「え…そんないきなり言われてもっ…

しかも…」


どれも可愛すぎて選べない!

犬、猫、うさぎ、クマ、ライオン、かっぱ、あざらし、などなどなんの動物でも揃っている。


やはり顔に似合わず鬼頭先生は可愛いものが好きらしい。


しかしもともと優柔不断な里桜はぬいぐるみを取ったり戻したりを繰り返すばかりで一向に決まらない。


「ほら、早くせんか。いつまでやってる」


「あっあの!タヌキと相性の良い動物はどれですかね?」


「…なに?」


「せっかくなら、鬼頭先生のタヌキくんとも仲良くなってほしいんです!」


そう言って笑みを零す里桜の隣にいくと、鬼頭はおもむろにクマのぬいぐるみを掴んで差し出してきた。


「え…クマ?ですか?」


「タヌキはクマの類だろ?違ったか?

タヌキはクマで、クマはタヌキ…

まぁ何にせよ似た者同士のほうがいいだろう」


「…はい」


よく分からないが、そういうことにした。



「でっでもっ!私にできますかね?タヌキくんみたいに意志を持たせる傀儡を作ることが…」


「はなからそこまで期待していない。

言ったろう?タヌキは突然変異傀儡だ。だからお前は普通の傀儡を作れるようにさえなればいい」


傀儡は本来、高い戦闘能力を持つことに加え、人形であるが故に痛覚や恐怖心を持っておらず、殴られても怯むことなく襲ってくる。

かなり強い味方にはなってくれるはずだ。



「だがな、もしかしたら里桜ならばその過程でそのクマを傀儡のようにできそうな気がするんだよ。」


そう言って鬼頭は自分の執筆した分厚い本を何冊も渡してきた。

さすが、傀儡魔術学の第一人者といったところだ。



里桜はみるみるやる気に満ち溢れた表情を滲ませた。


「私頑張ります!ずっと弟が欲しいと思ってたんですよ〜」


理玖の弟みたいに、姉様!なんて言わせてみたい。

そんな妄想をしてしまった。



「…弟ね…まぁいい。途中で投げ出すなよ。

人形が可哀想だからな」


「はいっ!タヌキくんに負けないのを作ってみせます!」


クマのぬいぐるみと何冊もの本を大事そうに抱きしめて微笑む里桜に、鬼頭の肩の力はどこか抜けてしまった。


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