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11

里桜は硝子を部屋に寝かせたあと、一旦自室で寝巻きに着替えて歯を磨いてから再度翔の部屋に行った。


ゴミは昴に持っていかせたらしく、何事も無かったかのようにとても綺麗になっている。


翔は布団の中へ里桜を引き込んだ。


「ふふ…あったか〜い」


好きな人の腕の中でこうして包まれて眠れるなんて幸せだ。



「大丈夫だった?昴には何もされてない?」


里桜は、うん。とだけ言った。

手を繋がれたこととか意味深なことを言われたことなどはもちろん言えない。

でも…なぜそんなことを聞いてくるのだろうか?

と思った。


翔はゆっくりと髪を撫でてくれている。

里桜は胸に顔を押し付けながら静かに言った。


「夏休み楽しみだなぁ。あ、でもさ翔、実家に帰ったりしなくていいの?」


そうだ。忘れていた。

私には帰る場所や会いたい人はいないけれど、翔も昴も硝子も、実家に帰りたいはずだ。

自分に気を遣わせてしまっては悪い。


「んー?別に実家なんて近いしいつでも帰れるからわざわざ行かないよ。」


「えっ、でも翔の家族は会いたいんじゃない?少しでも帰ってあげたら?」


「じゃあ里桜はどうするの?」


「どうするって、私はもちろんずっと高専にいるよ」



翔は里桜の後頭部を更にグッと引き寄せた。


トクトクと一定のリズムを刻む翔の心音が、なんだか子守唄みたいで目を閉じる。


ゲームを長時間していたせいか、随分と目が疲れていて、かなりの睡魔が襲ってきていた。




「なら里桜も来るか?」


「えっ?!翔の実家に?」


「そうだよ、やだ?」


嫌なわけはないが、緊張してしまう。

私なんかが突然訪れていいのだろうか…


「い、嫌じゃないけど…っ。いいの?」


「もちろんいいさ。それに里桜をここに1人で置いて行きたくはない。まぁ恐らく1人にはならないだろうけど…」


「え?…どゆこと?」


里桜が残ると言ったら絶対に昴もここへ残るだろう。

そう思うと笑いが込み上げてきた。


「もう何一人で笑ってるの!」


トンっと胸を叩かれる。


「ごめんごめん、とにかく夏休みはずっと一緒。

うちにも来てね。そうしよう。」


「わかった」


翔のおうちに行けるなんて、いろいろ不安はあるけど楽しみが増えたなぁ〜

そう思って胸を高鳴らせる。


「早く夏休みにならないかなー…」


翔がなにか言葉を返した気がしたが、心地よすぎてすでに意識を手放していた。

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