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8

昴はしばらくしてから静かに口を開いた。


「人は、人を愛していると思い込んで、実は自分自身だけしか愛していない場合が多いと思う。俺自身もそう思うことがある。だから時々自分を試したりする。」


そう、こんなふうにな…



里桜は明るく返した。


「それでもいいじゃん。愛することを怖がってたら、何も得られないし。私はね…これまでの人生でずっと、誰かに愛される価値のない人間なんだって思ってた。でも…もっと悪いことがあったって最近知ったよ。私自身が心から人を愛そうとしなかったんだよ。」



「・・・」


何も言い返せなくなる。

こんなに心を掻き乱されるのは初めてだと昴は思った。



「同じ星空でも、星座を知ってる人と知らない人とでは、ぜんぜん見え方が違うんだろうなぁ…星座を知らないと絶対繋がりっこない遠く離れた二つの星だって、いったん知っちゃうと他に繋げようがない気がしちゃうんだよね。…人の人生も同じかもって思うんだー」



「それって…」


昴は口ごもった。

柄にもない余計なことをまた言ってしまいそうな気がする。




まだ空を見上げて歩いている里桜に、昴は言った。


「空見るの好きだな。前向いて歩けよ。転ぶぞ。

手繋いでる俺まで転びそうで怖いんだけど。」


「昴も普段から空はよく見た方がいいよ」


「んな余裕ねーよ。いつも。」



すると里桜は不機嫌そうに昴を見た。


「心に余裕がある時に空を見上げるんじゃないよ?空を見るから心に余裕ができるんだよ。」


ハッとしたように目を見開くと彼女はまた上を見て続けた。


「空を見上げるとさー、全ては繋がってるって実感できるんだよね。空は何があってもどこへ行っても一緒にいてくれる。いつだって味方になってくれる」



「なぁ…里桜、俺決めたわ」


「へ?」


突然のその言葉に驚いて昴を見る。

ギュッと繋がれた手に力が入ったのがわかった。

昴は空を見上げたあと、里桜に視線を移して強く言い放った。



「空になるわ、俺。」



彼の高校に輝く銀髪は、月光と星の瞬きで煌々と揺れていた。

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