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「はぁ…はぁ…はぁ…」
しばらく行ったところでさすがに息が切れてきて振り返るが、追いかけてくる気配はない。
ホッとして前を向くと、当たり前のように昴が突っ立っていて、トンっとぶつかった。
「はい、里桜ちゃん、
行き止まりで〜すっ」
里桜はハッとしたように目を見開く。
あの時の、彼と…
おんなじ…セリフ…
どうしてこうも…
思い出させるの…
残酷すぎるよ
里桜はギュッと目を瞑ると、ドンと押し退けてまた走った。
もう何も考えたくない
夢なら覚めてよ
どうせこれは夢でしょ
初めから、ずーーっと…
ドンッ
また昴にぶつかった…
と思って前を睨んだ瞬間、巡回していたであろう警察官だとわかった。
「君、その制服は…高校生かな?
大丈夫?誰かに追われているの?」
泣き腫らしたような顔と息を切らして必死に何かから逃げているような態度は誰の目にもそう映るのは当然だった。
「あ………はい……」
言ってしまってから、ハッとなる。
つい馬鹿正直に、はいなどと答えてしまった。
警官はたちまち険しい顔をする。
「そうか。…もう大丈夫だからね。」
警官は、戸惑っている里桜を庇うようにして1歩前に出た。
しかし、いつの間にか真後ろに昴の気配がして里桜だけがハッと振り向く。
「昴っ!!」
「?!?!」
警官が振り向く前に手で口を塞がれた。
「おいお前!その子から離れろ!」
昴から小さな舌打ちが聞こえた。
警官は顔面蒼白にしている。
目隠しの明らかに怪しすぎる男が、高校生の女の子の口を塞いでいるなど誰がどう見ても正気の沙汰ではない。
昴はニッコリと笑いながら言った。
「怪しい者じゃないんです〜
この子の担任の教師でして〜」
「あぁ?!」
そんなふうに見えるわけが無いので警官は冷や汗を流しながらも1歩2歩と近づいてくる。
「だよねぇ?里桜、
僕の生徒だよね?」
口を解放され、コクコクと頷く。
しかし、警官は当然、無理やり頷かされていると思っているようで警戒心を崩さない。
「なら身分証を見せなさい。」
「んーっと…はい。」
昴の出した学校の身分証を手に取りまじまじと見る。
「…なんだあの宗教学校か…そっちの子は?」
里桜は慌てて制服を探り、学生証を出した。
警官は2つを手にし、目の前の男女を見比べながら唸った。
そして、里桜のものに、異変を感じたようでぶつぶつと呟き出した。
「んー?あれ…今って△△年だよな…?
この学生証は……ん?…なぜ…発行年月日が…
……偽装…?…か?……」
しまった、と里桜は思った。
発行年月日は10年前のものだ。
こんなおかしなことはないだろう。
「あと、そこの君ね、目隠しを取りなさい」
「あのね、おまわりさん、この子が補習から逃げるものだから追いかけてたんですよ。ってことで急いでるんです。もういいですか?いいですね?」
昴が早口にそう言ってババっと身分証をとると、里桜の手を引いて一目散に駆け出した。
「走れっ」
「っ!こら待ちなさいっ!」
背後からの警官の声は無視し、ひたすら走る。




