表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
265/270

4

里桜は、薄暗くなりつつある空の下をひたすら歩いた。

行くあてもなく、ただとぼとぼ歩いていると、次第に街灯がついて明るくなり、いつの間にか導かれるように小さな公園に来ていた。


ベンチに腰掛けて上を見上げる。


まだ、月も星も出ていない。


「……よかった…」


つい、そう呟いてしまった。


出ていたら…

初めて彼とキスをした…あの時のこと…

思い出して、頭がおかしくなってしまいそうだから…



ふと見つけた木の枝で地面をいじくる。




forever





それだけ書いて、その文字をジッと見下ろした。




本当に大好きなの…今でも…


彼の全てを…


"永遠"に愛してるの…


たとえこの思いが呪いでも…



神様…どうかわかってください。

また彼に会わせてください…



「どうか…届いて…」



文字は風で僅かにかき消され、どこかへ飛んでいった。


カランっと枝を落とした音が響く。




あのルビー…やっぱり最期まで使わなければよかったかもしれない。


そうすれば、



死ねたのに…



天国か地獄で…

あなたに会えたかもしれないのに…



「…なんで……私って…ほんっとにバカ……」


後悔ばかりが襲う。



もっと、ずっとずっと前から…



あの時、ああしとけば良かった

あの時も、こう言えばよかった


もっとあなたを


理解できていれば…



「ごめんなさい……」



悲しいとか、悔しいとか、淋しいとか、


そんな単純な言葉で言い表せないほどの感情。



喪失感、絶望感、そんなものでもない。



ただただ今は…


あなたに会いたい。




これ以上めそめそ泣きたくなくて、上を見上げる。

みるみる暗くなっていく空は、涙のせいか、とてもぼやけて見えて、たちまちなにも見えなくなった。



「こんな所で何してるんですかぁ〜

お姫様〜」



「!!!」



昴の声がとても近くから降ってきた。


瞬きをすると、涙が一筋流れ、そして視界が開けた。


何も見えなかったのは、昴の顔が視界を覆っていたからだと気づく。

黒いサングラスのせいか、暗闇に包まれているような感覚がした。



「ふっ…隙がありすぎなんだよなぁ、昔っから。

そうあいつにも言われてこなかった?」



里桜は何も言わずに俯いた。



……言われてたよ。

いっぱい。

注意ばっかされてたよ…




昴は隣に腰掛けた。


「帰ろうよ〜里桜姫〜」



なんで、そんなに明るくいられるの…


意味わかんない…



複雑に絡み合っていた感情は、次第に苛立ちと怒りになっていた。



「あー、なんかどんどん暗くなってきてる〜

こんな所に女の子1人は危ないよー?」



「……放っといて」



「いや、マジでおまわりさんに補導されちゃうよ〜

今、制服姿なわけだし〜」



「放っといてって言ってんの」


そう言ってスクッと立ち上がると、足早に歩を進める。


しかし昴が瞬間的に移動して、一瞬で前に立ちはだかるので、何度も踵を返しながら避けて歩き回った。


……。


また前に立ちはだかった昴をドンッと押し退ける。


「独りにしてって言ってんの」


「じゃあ僕から全力で逃げなよ」


里桜は上目遣いで昴を睨んだ。

サングラスで表情はわからないが、口角が上がっているのはわかる。


この状況のなにがそんなに面白いのだろうか?


そう思いながら、超特急で走った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ