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3



「……ぅう……翔っ…

また……会いたい…っ…」



言ってしまってからハッとなる。


こんなことを言ったら昴を傷つけてしまう。

責任を感じさせてしまう。



「……ごめん…昴を責めてるわけじゃ、ないの…」


「いいよ。わかってる…」



翔の死がなかなか受け入れられない気持ちは分かる。

僕だってそうだった。



昴は立ち上がり、鍵付きの引き出しをあけ、あるものを里桜に渡した。


里桜はそれを受け取って目を見開く。




「………これ…って…」


「うん。翔がさ、最期…

これだけは地獄に持って行きたくないって言って…」



里桜があげたクリスタルのピアス。

それは手のひらの上であの頃と変わらない輝きを放っている。



そこにまた、涙が1粒落ちた。





「翔は最期まで、里桜のこと、

好きだったと思うよ…」




"好きだ"


最後に聞いた、彼の言葉を思い出してまた泣いた。



里桜は、ルビーのしてあった穴にそれを埋めた。

新たに装着されたそれは里桜の耳で輝き始めた。



天馬翔という人間はもうこの世にいない。


自分の命よりも大切だった、

この世で1番愛していた人は


もう……




「あいつは地獄にはいないよ。」


ポツリと昴の言ったその言葉に耳を傾ける。



「…翔は…天国にいる。

里桜に会えただろうと思ってたけど、

それはまだ先になりそうだな…」



里桜はギュッと目を瞑り

何度も頷いた。



うん、そう、そうだよ。

きっとそう。

天国で、私のこと待っていてくれてるはず…


それまで…私…生き抜くね。


せっかくあなたが生かしてくれた命なんだから…



そう言いたい…

でも今は……


辛すぎる……っ…






「やっ…ぱり…私のっ…せ……」


涙が溢れて止まらなくなる。



あの頃、私が1番彼の近くにいたはずだ。


もっと彼を見ていれば…


自分のことばかりじゃなくて、

もっと彼の話を聞いていれば…



翔はたくさんの人を傷つけることも、

自分自身を傷つけることもなかったかもしれない。


人殺しにならなくて済んだかもしれない。



それかあのとき、私も無理にでもついていって、翔を説得して、一緒にどこか遠くへ逃げていればよかったかもしれない。


そうすれば、襲撃や事件なんか起こさずに、余計に人が死ななくて済んだかもしれない。



今も尚、翔は生きて私と一緒にいたはずだ。



全部私のせいだ。

私なら、きっとどうにかできた。


翔を止めることができたのはきっと私だけだった。



なぜあの時追わなかった?

なぜあの時離した?

なぜ愛してると叫ばなかった?


どんな手段を使ってでも翔と一緒にいけばよかった。



本当に翔はもうこの世にいないの?


誰か嘘だと言って。


これは夢だと目覚めさせて。




「ごめ…さ……翔……ゆる…して…」


「…なぁ、 里桜のせいじゃないよ。

なんで自分を責めてるの…」


「ぜ、ぶ、っ……私のせい……っ」


「違うったら。なぁ、里桜…」



昴の優しい声はとても逆効果だと思った。



「…うっ……う…翔っ……ごめ…っ」


死んでしまった人たちも…ごめんなさい。

できることならば、私が全て償いたい。



「自分を責めるな、頼むから…

僕を責めてくれよ……なぁ?」



昴が私の手に触れた。

咄嗟にそれを払い除けてしまった。



「っ…あ…ごめっ……」


悲しげな顔で真っ直ぐ見つめている昴の目と目が合った瞬間、急いで視線を逸らした。



「ごっ、ごめん…私…ちょっと冷静になる…

頭冷やして…くる……」


「っ?!おいっ…!」


里桜はバタバタと外へ出てってしまった。


昴とクマだけになった部屋で、なんとも言えない空気が流れる。



「おい、グラサン

追わなくていいんか?」


「………追うよ。

だってこのマンションオートロックだもん」



昴が寂しげに笑うと、クマも少しだけ笑った。



「じゃーおいらはイッチー野郎の様子見に行ってくるわ」


「あんま驚かすなよ。きっと腰抜かしちゃうよ」



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