行こう、君が君でいられる場所へ
昴の家のリビングのソファーで、クマ含めて一先ずいちごミルクを飲む。
大洋は京介との任務で今日は帰ってこないらしい。
連絡によると、S級魔物によって何人もの人間が変形させられていた上に、死者を出してしまったそうだ。
しかし、京介がついていれば、恐らくはどうにかなるだろうと昴は踏んだ。
もしものことがあればすぐに自分がクマと共に行けば…
「で…僕、思ったんだけどさ…」
昴から口を開いた。
"僕"という一人称と、昔よりも随分と落ち着いている態度に、里桜はまだまだ違和感に慣れない。
「僕の生徒の一人、赤嶺大洋。
この子も実は数ヶ月前、突然生き返ったんだ。」
「…え?…どういうこと?」
その後、赤嶺大洋についての経緯を聞いた。
赤嶺大洋はもともと魔術を扱える人間ではなかったらしい。
しかし、麻宮幸愛が行った任務先で大量の魔力を出現させていた。
大洋の友人が魔物にやられて死んでいたからだ。
大洋はそれを引き金に暴走した己の魔力に耐えられず死亡。
幸愛が言うには、その際、辛うじて息のあった友人が大洋の手を握って何かを言い残した。
そして大洋は生き返った。
昴の見解だと、恐らくそれは、
大洋が友人に向けて、友人の死を拒むあまりに強い魔力を発動し、友人は辛うじて息が消えなかった。
しかし友人がそれを破棄したため、魔力の縛りが解除されて大洋に戻ったのでは…と。
「そ…それって…つまり…」
「…うん、ごめん……
僕はその日、翔を…殺したんだ…」
その瞬間、
里桜は時が止まったように動かなくなった。




