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「…!!里桜てめぇっ!!」



「………クマ?」



それから…



「…昴?」



目を見開いている昴と、その脇に抱えられているクマ。



「…… 里桜…無事…か?」



昴はすぐさま里桜に駆け寄った。

そしてみるみる目を潤ませる。



「う…うん…?」



どことなく、昴が大人びて見えるが気のせいだろうかと思いつつ、少し笑みを作ってみせる。



昴は、はぁぁあーーーと脱力するような長いため息を吐いたかと思えば、ギュッと里桜を抱き締めた。


幸愛はその様子を目を丸くして見つめる。


今にも泣き出しそうな、こんな昴を見るのは初めてだし、しかも…このクマはなんだ?



「おい、鬼頭の奴はどこ行った。

つーか、お前は誰だ。」



クマに突然話しかけられた幸愛は、お前こそ誰だよと言いたくなったが、とりあえず答える。



「俺は麻宮幸愛…

鬼頭先生は頭冷やしにどっか行っちまった」



「幸愛……あー、どっかで聞いたことあると思ってたら…あの赤毛野郎が言ってた奴か。」



「……赤毛…野郎…?」



まさか、赤嶺のことか?

そう思って口を開きかけた時、クマの口を塞いだのは昴だった。



「あー、幸愛、ごめんね。

里桜のこといろいろありがと。

とりあえず幸愛はもう戻っていいよ!」



「…はぁ?どういう状況か説明してくださいよ。

俺にだって知る権利はあるでしょう?」



幸愛は険しい顔をする。

こんなに何もかもが謎な状況のまま帰されたら、もやもやして夜も眠れない。

それに、単純に気になりすぎる。



昴はその意を察してか、短く息を吐くと

わかった。と一言言った。


今日の昴は珍しく目隠しもサングラスもしていない。



帰ってきた鬼頭を見て、皆唖然とする。


「学長〜どうしちゃったんすか?

顔がアンパンマンになってますよ?」


昴が噴き出すと、鬼頭は

気にするな、と一言。


そして気が付いたようにクマを抱き締めた。



「お前まで!!!なぜ黙っていたんだー!!」


「うううう苦し苦しいっ!!鬼頭てめっ…!」



「ね、ねぇ…?

鬼頭先生はいつのまに学長になってたの?

…あれ?最初からだっけ?」



何もかもがわかっていない里桜に、昴とクマと、そして鬼頭は口々に説明を始める。



今が何年の何月何日なのか、

里桜は死んだはずだったこと、いや、そう皆思い込んでいたこと、クマの覚醒。そして鬼頭は学長になり昴が教師をしていることなど。


全てを聞き終えた里桜は何も言葉を発さずに顔面蒼白にした。

もちろん、幸愛も同じ表情をして押し黙る。



「……ほらよ。」


クマが里桜にペンダントを渡した。

同じものが、クマの首にかかっている。


「…ありがとう……」


里桜はおずおずとそれを着け、確認するようにパカッと中を覗き、また戻した。


幸愛はその一部始終を見つめる。


ロケットペンダントだったのか…

何か大切なものでも入れてあるんだろうか?



「とりあえずさ、里桜は一旦うちに来い。

クマもいるんだ。もう一度詳しく話そう。」


「おう、そうだな。っつってももう一人いるが」


そのクマの口をまた昴は塞いだ。




「…ありがとう。麻宮くん。

またね。怪我、お大事にね?」


別れ際、一番いろいろな感情で複雑なはずの里桜が笑顔を向けてきたので幸愛はそれにすら驚いてしまった。


「…あぁ。そっちも…」


「あはは、里桜って呼んでよ」


「…… 里桜さんも。」


彼女は屈託のない笑みで頷くと、昴とクマに連れられて行ってしまった。

幸愛は無意識に絆創膏をさすっていた。

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