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笑える時は素直に



赤嶺大洋の今回の実習任務では、

昴の引率のはずだったのだが、急遽抜けられない用事ができてしまったらしい。



「ごめんね〜。でも僕の信用できる後輩くんを呼んだから安心して行っておいで!」



そう言われて目の前に紹介されたのは、昴とはまるで正反対ともとれる、とても神経質そうなスーツ姿の男性。


「リーマン魔術師のイッチーくんで〜す!」


「ふざけた紹介やめてください」


「魔術師って基本おかしいけど、こいつは一般社会人として溶け込んでるだけあってそこそこマトモなんだよ!」


「そんなこと誰もあなたには言われたくないですね」



ニコリとも笑わないどころか、ボソリと呟く言葉がかなり辛辣で、大洋は昴と自分とのあまりのテンションの違いに戸惑いを隠せない。



「赤嶺くん、私と神塚さんは全く違うやり方、思考の魔術師です。私はこの人のことは尊敬はしていてもあまり信用していないので」


「あぁん?!」



京介はまだ完全に魔術の世界に戻ってきたわけではなかった。


ただ、昴とのあの会話以降、明らかに自分の中の何かに突き動かされていた。


しかも、今回の任務に限っては、断る訳にはいかないような内容だったため了承。


なかなか危険な呪霊な上に、

そもそもこの少年自体に問題有り…




「あなたの抱えてる問題など知ったこっちゃありません。なのでとりあえず魔物退治にのみ尽力してください。」



「あっ、うん!俺は前向きに頑張ってるよ!よろしくイッチーさん!」



「それ名前じゃありません。壱屋です。あと落ち着いた声の出し方を練習しましょう」



「あ、ハイ……。」



どうも噛み合わないな〜と大洋は不安しかない。


しかし、その後、A級魔術師 壱屋京介の強さには圧倒されていった。






「昴先生といい、イッチーといい、

すげーなー…

ねぇ、イッチーにもやっぱり強ぇ先生がいたのー?」



「……だから壱屋です…。はぁ……

えぇまぁ、私にも"師"はいましたよ。」



「へぇ!やっぱり!どんな?!」



京介は魔物の残骸を見下ろしながら、

何かを思い出すように静かに言った。



「…そうですね……。

とてつもなく強く、口は悪くふてぶてしい感じの…

しかし見た目はかなり可愛らしく、愛嬌は微」



「えぇっ?!イッチーにもそんなに可愛い先生がいたの?!

ズルくない?!その世代ってなんだったんだよー!!

昴先生にもめちゃくちゃ可愛い師匠いたらしいしー!

もぉ〜俺もその世代がよかったなぁ〜!」



「・・・」



京介は仏頂面のまま黙りこくる。


確かに自分たちのあの世代は…

一体なんだったのだろうか…


今思うと、幻だったのでは、

と…そう思ってしまうほど。


あの頃は……




「はぁー…昴先生の師匠ってぜってぇあのクマじゃないはずだし。……隠してるよねぇー…」



「………クマ?」



あぁ、赤嶺くんは、意思のないクマのぬいぐるみを昴さんに紹介されたのか。

京介はそう結論づけてため息を吐く。



「イッチーは会わせてくれるよね?!

その可愛い師匠にっ!」



期待の目で見つめてくる赤嶺を横目で見てから目を逸らす。



「…もう会ったのでは。

それでも残念ながら、あの頃と違って何も学ぶことはできないと思いますが…。」

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