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「ひゃっは!やっちまったね里桜!」


「え?…なにが?」


昴と瞳はもう任務から帰ってきていた。


高専につくやいなや、瞳が珍しくテンション高く目の前で手を握られ、意味がわからず口篭る。


昴はと言うと、サングラスをずらした隙間から見える目は見開かれていて、明らかに驚いているのがわかった。


「ね、ねぇ、なに?」


「なっ…知らぬ間に付けてしまうとは!翔もなかなか隅に置けない男だな〜」


ケタケタと笑いながらそう言う瞳をよく見ると、目線は自分の首筋にあった。


「っ?…ちょ、ちょっとトイレ行ってくる!」


瞳の手を振り払って急いでトイレへ駆け込む。

鏡を見て目を見張った。


アザがついている…


あのとき傑はこんなの付けてたの?

初めて付けられたからこれを意味するところはよくわからないが、フツーに恥ずかしい。

コンシーラーで隠すか、絆創膏で隠すしかない。


「でもなんで皆、虫刺されとか任務でできた傷とかって思ってくれないんだろう…あの反応だと、見た瞬間からまるで全てわかったかのような…」


「当たり前でしょ!!」


突然後ろから大声が聞こえて振り返ると、やはり瞳だった。

まだニタニタ笑っている。


「それはキスマーク!もう里桜ったらウブなんだからっ!かっわいいなぁもぉ〜!」


そう言ってわしゃわしゃと髪を掻き回される。



「き、キスマークって、なに?」


「…はっ、ウケる。やっぱ分かってないんだ。」


くすくす笑って瞳は鏡を見つめる里桜の背後へ行き、両肩に手を置いた。

鏡越しに里桜を見つめながら、耳元で囁くように言う。


「これはねぇ…独占欲の表れ。俺のものだって周囲に示す、証。…まぁいわゆるマーキングみたいなものかなー。ふっ…」


「っえ…」


そ、そうだったんだ。

やばい。本当に知らなかった。


顔を真っ赤にして目を見開いたまま唖然としている里桜に瞳はいたずらっぽく笑った。


「絶対とられたくない俺の女!って言われてるようなもんだね。誰がどう見てもわかるよ、これがキスマークだってことくらい。」


「…ちょ!どうしよう!じゃあ隠さなくちゃじゃない?」


「なんでよ?」


「なんでって、恥ずかしいからに決まってるでしょ?!」


「バカね、そんなことしたら翔が可哀想じゃない。」


「・・・」



そう言われてしまうと反論できなくなる。

それに、俺の女っていう独占欲なんて聞くと…

なんだか嬉しい。


「じゃ、じゃあ…このまんまでいようかな…」


「そうしなそうしな!!私ちょっと一服してくるわ〜

あー里桜も付き合ってよ。任務がどんなだったか聞かせて?」


ニッコリ笑って腕を引く瞳の後をついて行く。

彼女は未成年だというのに平気で煙草を吸っている。

一応先生にバレたらヤバいと言って、部屋の換気扇の下で吸っているのだ。


「もー…なんだかいいように踊らされてる気がするなー面白がられてるっていうか…」


その言葉は、彼女の笑いに掻き消された。

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