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現校長の鬼頭康広は、窓の外を見下ろしながら言った。
「昴、あのことなんだが…」
言いづらそうにため息を吐く鬼頭。
「この間起きた、お前の生徒が小学校で襲撃された件。あの後、本部から来た捜査術師が調べたところによると…」
「翔の術残穢だったでしょう」
昴は表情を変えずにキッパリと言った。
「あの学校は…里桜が死んだところだ。」
「…あぁ……そうだったな…」
「あいつはきっと…全てを壊したいんだ…」
「……。」
重苦しい空気が流れる。
かつての教え子がこれからまた何かをしでかす?
何かを企んでいる?
あの頃の昴も、あの頃の翔も、
もういない。
俺がどこかで何かを間違えたのかもしれない…
あれからずっと考えてきたことだ。
あの時、
昴はこう言った。
"1番救いたい奴を救えないなら力なんて意味ない"
いつも自分の力に酔っていて、何もかもに絶対的な自信があった昴が、初めて泣きそうな顔で絶望していた。
「なぁ、昴…
もしものことがあった時…
次こそは………できるのか?」
かつての親友を…
翔程の奴をそうできるのは昴しかいないだろう。
しかし、それをさせるのはあまりに惨すぎる。
二人をずっと見て来たからこそ言える。
「……もしも無理ならば…」
なにもできなかった自分の、
せめてもの贖罪として…
命を賭してでもこの俺が…
「僕の役目です」
口を開く前に、間髪入れずに昴は強く言い放った。
「僕と翔の間には、誰も入らせない。」
ズザザザザザ
ざわざわ
その時、突然外の騒がしい音がし、窓の外を注視する。
「まさかあれは……」
「僕が行ってきます。」
「待て昴っ!いくらお前でも今のアイツに近付くのは危険だ!」
しかし昴は窓から身を投げ、一瞬で行ってしまった。




