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数週間が過ぎ、誰も彼のことは話題に出さなくなった。
まるで、初めからその存在はいなかったかのように。
しかし、
信じ難い現実はトドメを刺すようにやってきた。
ゴトッ
ドバー…
「っ!おいくま野郎!っざけんなっ
俺の完璧丁寧な報告書が台無しだ!!」
昴が報告書を書いている机の上で、クマがいちごミルクを飲んでいたのだが、突然そのいちごミルクのパックが落ち、報告書をびちょびちょにした。
「おまっ…んだよもぉ…
突然こんなとこで寝んじゃねぇよ」
普段から、突然電池が切れたかのようにコロリと眠りに落ちるクマだから、今叱っても意味が無い。
散々叱責するのは後にしようと思い、とりあえず報告書をつまみ上げ、同時にクマの腕を掴みあげる。
「……?……え?…」
軽い。
軽すぎる。異常に。
「……クマ?」
報告書を置き、両手でクマの脇を掴みあげる。
そして昴はみるみる目を見開いた。
「お…い……くま野郎…?」
そこにいたのはクマではなく、
ただのテディベアだった。
「…どうなってんの…?
まさか…… 里桜…?」
今、里桜は単独任務へ出かけているはず。
……クマがこうなっているということは…?
昴は急いで里桜に電話をかけた。
電源が入っていないか、圏外だというアナウンスが流れるだけ。
「くそっ…あいつの任務先はどこだ?!」
鬼頭に電話をし、里桜の居場所を確認する。
そして、タヌキにクマを預けると、タクシーに乗り込んだ。
途中まで行ったところで魔力で飛んで瞬間的に移動した。




