12
月日が流れた。
里桜は表面上は落ち着きを取り戻しつつあった。
今日は昴と墓参りに来ている。
「棗ちゃん…ごめんね…」
この謝罪にはいろいろな意味が込められている。
こんなことになってごめん
なにもできなくてごめん
あれから1度も遊んであげられなくてごめん
棗のペンダントは、自室の引き出しに封印してしまった。
自分はどうしても外すことができなくて、したまんまだ。
隣からが花を手向けた。
「ごめんな、棗。ゲームやってやれなくて…」
静かな掠れた声。
それは里桜の胸を痛くした。
「俺さ…親友なのに…翔のこと、なんにも見れてなかったっぽい。あいつの苦しみや葛藤に、なんにも気付いてやれなかったんだ…」
「……それは私だって同じだよ。
恋人…だったはずなのに…何も…知らなかった。
翔のこと…助けられなかった…支えにすらなれていなかった」
また涙が溢れてきてしまった。
ポタポタと、その雫が供えてある花弁へ落ちていく。
すると、昴の手が頬に添えられた。
促されるままゆっくりと横を向くと、サングラスをしていない大きな蒼眼は徐々に細まった。
そのままの親指が頬を滑り、涙が拭われる。
初めて誰かに涙を拭われた。
その初めての人は今隣にいる、神塚昴…
天馬翔ではない…
どうして…なぜ…
今私はここにいて、こうしている?
「す…ばるっ……」
「ごめん、里桜っ」
その言葉は同時だった。
そして、抱きしめられたのも同時だった。
「ごめん…ごめん…ごめん……」
蚊の鳴くような小さな謝罪の声。
「ど、して…謝るの……」
ギュッと腕の力が強まり、背の高い昴の声が上から降ってきた。
「… 里桜に…悲し涙を…流させたからだ」
クマとした約束を、俺は守れなかった。
翔にさせた約束も、守らせることができなかった。
結局俺は、なにもできなかったんだ。




