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里桜は何日間も寝込んでしまった。
気が気じゃない周りは、何度も様子を見に行ったり話しかけたりした。
理玖は、羽実まで連れてきたりもした。
「… 里桜ちゃん、
少しでもいいから、なにか食べるんだ」
「里桜さん、これお見舞いです。」
羽実に渡された高級そうなお菓子の紙袋を受け取る。
「……ありがとう」
笑って見せようとするが、そんな表情にはなっていないだろうという自覚があった。
「あのね、里桜ちゃん…
恋ってのはね…私達を幸せにするためにあるものではないんだ。恋は私達が苦悩と忍従の中でどれほど強くありえるか、ってことを、自分に示すためにあるものなんだ。」
目を見開いたまま、里桜は沈黙した。
「今はゆっくり休んで。
時は悲しみの傷を癒す。人はみな変わる。
過去の自分はもはや現在の自分じゃない。
悩む者も悩ます者も、時が経てば別人になる。」
そう言い残して、理玖たちはひとまず部屋を出る。
「ね、羽実?… 彼女が愛した男を殺したくなっている私は罪深いかい?」
「いいえ、姉様。私もです。」
「私も全く持って同意見です。」
突然廊下に現れたのは京介。
理玖は薄ら笑みを浮かべた。
里桜をここまで悲しませた。
それは彼女を愛する誰もの胸に、同じ感情を抱かせた。
あの男は許せない。
いつかどこかでまた、出会う時があれば…
私たちは全力で……
3人の思いは複雑な感情と共に増幅していっていた。




